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詩のようなもの・詩または物語

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#ミルコの物語

会社に行きたい   読み物です

会社に行きたい   読み物です

朝目覚める。
デジタル時計が31時をつげている。

またか。

窓の外をみるとまだ間に合いそうだ。

パジャマを洗濯機に放り込み、スマホで、ニュースをチェックしながら簡単な朝食をすます。

とりたてておかしなことは書いてない。

これならなんとかなりそうだ。
さてと、出勤までに洗濯干すか。

ピーピーピーピーピーピーピー
ピーヨーピーヨピーヨピーヨ

うわ何この洗濯機の音!
やっぱどっかおかしいじ

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🌌銀河童伝説🌌

🌌銀河童伝説🌌

あるところにかっぱがいた。
かっぱの名はかっぱだった。
と言うのは、その村には河童はそのかっぱ1匹だったからである。
かっぱはただかっぱと呼ばれるだけで他の名を持たなかった。
かっぱもそれを何の不思議と思わなかった
かっぱは人間と仲良くなりたかった。
それで数々のいたずらをして人間に嫌われてしまった。
ある夜、村外れの池でカッパはしくしく泣いていた。
その姿を空の上から見ていたものがある。
かっぱ

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松になった透明人間

松になった透明人間

「砂丘で透明女をみかけた。
 誰も信じてくれない。」

それが、老人の犬を撫でている少年のいいぶんだった。

犬を連れて砂丘近くの浜辺にやってきた老人は、少年の話を聞き終えるといった。

「私は君のいっていることを信じるよ。みたことはないけれどね。透明人間はたくさんいる。実際に私はそう信じています。」

少年は犬から目を上げた。
目の奥がキラリと光っている。
でも警戒心もあるようだ。

「子供騙

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[物語]遊歩道の薔薇の花

[物語]遊歩道の薔薇の花

路地へと続くわき道をたくさん携えた駅へと続く遊歩道がその街にはあった。
豊かな植栽帯は季節ごとにその表情を変化させ、暑い夏の日には木陰を作ったり、秋の日には美しい落ち葉のカーペットを広げては道行くものを楽しませた。

そんな遊歩道のわき道への曲がり角の一つに誰が植えたか一本の薔薇の木があった。四季咲きの木で、薄い芳香を放ちながら毎日たくさんの淡いピンクの花を咲かせている。

大変美しい上に、夜も昼

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[物語]観光地のお店の魔法

[物語]観光地のお店の魔法

世界中の誰もが知る観光地には、誰も知らないお店が時折り現れては消えてゆくことをみなさんはご存知ですか?

おや、まぁご存知ない。

もしあなたが、これから運良くそこへ訪れることがあったとしても、そこがそんなお店だということに気がつかない可能性がありますよ。

でも、このお話を聞いておけば、将来気がつくヒントになるかもしれません。ひょっとして過去に行ってたことに気がつくかもしれませんね。

まぁ、あ

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カボチャ物語

カボチャ物語

「頭が痛いの。」
母さんがケイに言ってきた。
ケイは
「母さんは頭が痛いのか。」
と思った。

「だから少し横になって休ませてちょうだい。」
ケイは黙ってゲームをする手を止めた。

母さんはゲームの音が苦手なんだ。
特に「頭が痛い時」は。

仕方がないけどつまらない気持ちでケイは庭にでた。

ケイは庭が好きだ。
友達はみんな変わってるというけれど、ケイは植物を育てることが好きだった。育てている植物

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無題PART12或は縁を活かす

無題PART12或は縁を活かす

「すみません。ちょっと夜抜け出したりできますか?」
社員旅行の行き先が、わかったとたん
夜子はボスのところに聞きに行った。

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ユキと夜の音

ユキと夜の音

午前三時かっきり。
ユキは目を覚ました。
また起きてしまった。
目を閉じて耳を澄ます。
言葉を発することをほとんどやめて以来、
ユキにとって夜は音の世界だ。
音はいつもユキが耳を澄ますのを待ってたかのように耳に飛び込んでくる。
?!
それは水の音だった。
いつもは鳥や虫の声、それに風のうなり、
降り始めの雨の音、遠くの落雷だ。
水の音など珍しい。
これは家の中か?
ユキは体をおこし、ベッドからはい

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🏫無題PART7或はある青年の高校生活

🏫無題PART7或はある青年の高校生活

どうせこの後俺は
そこそこの大学へ行き
親が満足するような結婚をし
あの家を継ぐだけだ。

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無題PART8 或は名刺交換とFAX📠

無題PART8 或は名刺交換とFAX📠

「あー。いい資料なかなか見つからないな。」
ナナは頭を抱えていた。

ナナは今少し畑違いの資料を探していたのだ。
探しする手を止めて、コーヒーを入れに給湯室に入った時、1枚の名刺の存在を思い出した。

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