マガジンのカバー画像

詩のようなもの・詩または物語

76
運営しているクリエイター

#物語

会社に行きたい   読み物です

会社に行きたい   読み物です

朝目覚める。
デジタル時計が31時をつげている。

またか。

窓の外をみるとまだ間に合いそうだ。

パジャマを洗濯機に放り込み、スマホで、ニュースをチェックしながら簡単な朝食をすます。

とりたてておかしなことは書いてない。

これならなんとかなりそうだ。
さてと、出勤までに洗濯干すか。

ピーピーピーピーピーピーピー
ピーヨーピーヨピーヨピーヨ

うわ何この洗濯機の音!
やっぱどっかおかしいじ

もっとみる
[物語]遊歩道の薔薇の花

[物語]遊歩道の薔薇の花

路地へと続くわき道をたくさん携えた駅へと続く遊歩道がその街にはあった。
豊かな植栽帯は季節ごとにその表情を変化させ、暑い夏の日には木陰を作ったり、秋の日には美しい落ち葉のカーペットを広げては道行くものを楽しませた。

そんな遊歩道のわき道への曲がり角の一つに誰が植えたか一本の薔薇の木があった。四季咲きの木で、薄い芳香を放ちながら毎日たくさんの淡いピンクの花を咲かせている。

大変美しい上に、夜も昼

もっとみる
[物語]観光地のお店の魔法

[物語]観光地のお店の魔法

世界中の誰もが知る観光地には、誰も知らないお店が時折り現れては消えてゆくことをみなさんはご存知ですか?

おや、まぁご存知ない。

もしあなたが、これから運良くそこへ訪れることがあったとしても、そこがそんなお店だということに気がつかない可能性がありますよ。

でも、このお話を聞いておけば、将来気がつくヒントになるかもしれません。ひょっとして過去に行ってたことに気がつくかもしれませんね。

まぁ、あ

もっとみる
猫鱈家の朝食風景

猫鱈家の朝食風景

猫鱈 永男の家の朝食は賑やかだ。
とはいえ永男は一言も話さない。

新聞を読みながら、妻である
美々子と娘の美由の朝から止まらないおしゃべりを聴いているだけだ。

永男には二人の会話が成立しているのかどうかは全くわからない。
二人はたしかに交互に話しているのだが、全く別のことを話しているように思う。

近頃娘の美由は、学校で気になっているド派手なクラスメイトの報告ばかりしている。どうやら気に食わな

もっとみる
[交渉]もし私が竜ならば

[交渉]もし私が竜ならば

もし私が竜ならば、
私の眠りを覚まし、
私のところへやってくる者は次のような者が良かろう。

意図しない者。
純粋無垢な赤子及び子供。
なんらかの計算があってはならぬ。

うるさければ無視するが、
機嫌が良ければ話の1つも聞かせてやろう。
他のものが聞けぬ質問にも答えてやるやもしれぬ。
背中に乗せて、大人になると忘れる世界をみせてやっても良いだろう。

私を怖がらぬ乙女。
望む物は何でも与えよう。

もっとみる