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詩のようなもの・詩または物語

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2024年7月の記事一覧

山のある風景

山のある風景

歌舞伎絵を探してたら北斎がでできて北斎をみてたらしまいに富嶽三十六景にみいってた。

こんなことしているから時間がいくらあっても溶けていく。

探していた絵は全く違うものが気に入ってそれを使う。

そしてまた戻って富士の絵ばかり感心して眺めている。

感心して眺めているなら、富嶽三十六景の絵をおとなしく使えば良さそうなのだが、それではただの絵画鑑賞である。

ここはひとつ写真でなければならない。そ

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新しい朝 或は夜明け前

新しい朝 或は夜明け前

瞼の向こうに眩しさを感じて
目が覚めた

照明は消えているし
太陽もまだ昇ってはいない

寝室にあるのは
エアコンの音だけ

あの眩しさはなんだろう
不思議に思って
気がついた

寝室のスリット窓の向こうで
金色の満月が
静かに私をみてた

満月に起こされた

こんなことは
初めてだ

「お月さまおはよう」

私は嬉しくなって
ベッドを抜け出し

朝の静寂を今愉しんでいる

透明女と砂

透明女と砂

海から吹きつける強い風は
浜の砂を巻き上げて
容赦なく私を叩きつけてくる

ああ、少し痛いけれど
気持ちいい

そう私は透明女 
誰も私の姿を見るものはない

私はここにいるのか
永い時間の中で
時々私もわからなくなる

ところがどうだ
この風は
砂で私を叩きつける

砂が私の身体を弾くとき
私は実感できるのだ

ああ私はここにいると

風がどんどん強くなってきた
私の輪郭があらわれくる

ああ痛

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松になった透明人間

松になった透明人間

「砂丘で透明女をみかけた。
 誰も信じてくれない。」

それが、老人の犬を撫でている少年のいいぶんだった。

犬を連れて砂丘近くの浜辺にやってきた老人は、少年の話を聞き終えるといった。

「私は君のいっていることを信じるよ。みたことはないけれどね。透明人間はたくさんいる。実際に私はそう信じています。」

少年は犬から目を上げた。
目の奥がキラリと光っている。
でも警戒心もあるようだ。

「子供騙

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「令和百人一首恋の巻他の部」に参加します

「令和百人一首恋の巻他の部」に参加します

三羽 烏様の企画
『令和版百人一首 恋の巻』の【他の部】に参加させていただきます。

みなさんに冬の部で20人に選んでいただきありがとうございました。

嬉しくてすっかり舞い上がってしまい、今回は参加だけなのですが、またまた挑戦してみることにしました。

今回の作品はこちらです。

あきたのよ
波打ち際の
遊びには
おいで大波
仕留めてみせて

作品の解説です

パターン1
長すぎる春、そろそろプ

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[物語]遊歩道の薔薇の花

[物語]遊歩道の薔薇の花

路地へと続くわき道をたくさん携えた駅へと続く遊歩道がその街にはあった。
豊かな植栽帯は季節ごとにその表情を変化させ、暑い夏の日には木陰を作ったり、秋の日には美しい落ち葉のカーペットを広げては道行くものを楽しませた。

そんな遊歩道のわき道への曲がり角の一つに誰が植えたか一本の薔薇の木があった。四季咲きの木で、薄い芳香を放ちながら毎日たくさんの淡いピンクの花を咲かせている。

大変美しい上に、夜も昼

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[物語]観光地のお店の魔法

[物語]観光地のお店の魔法

世界中の誰もが知る観光地には、誰も知らないお店が時折り現れては消えてゆくことをみなさんはご存知ですか?

おや、まぁご存知ない。

もしあなたが、これから運良くそこへ訪れることがあったとしても、そこがそんなお店だということに気がつかない可能性がありますよ。

でも、このお話を聞いておけば、将来気がつくヒントになるかもしれません。ひょっとして過去に行ってたことに気がつくかもしれませんね。

まぁ、あ

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❤️ネコミミ😻ソネットつくりました❤️山根先生ありがとうございます

❤️ネコミミ😻ソネットつくりました❤️山根先生ありがとうございます

山根あきらさんの

世界一わかりやすいソネット入門の
記事がとても面白かった。
(引用させていただきまーず❣️)

ソネットって縛りがものすごい。
シェイクスピアって天才とは聞いてたけど、本当に天才なんだなと思った。

気になってソネットを検索したら
ヴィヴァルディの「四季」にも
ソネットがついている。
作者は不明だけど、ヴィヴァルディ自身の作でもあるという説もあるらしい。
イタリア語みたいで音読

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SF[マドカサチコの仕事風景]

SF[マドカサチコの仕事風景]

「その汚い手をどけてちょうだい。」
マドカサチコは、部屋に入るなり横柄に肩を抱き寄せてきた男に言い放った。

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ショッピングモール

ショッピングモール

夏休みがやってきた。

子どもの欲望につきあい
涼を求めて
自分はたいした
目的もなく
ショッピングモールを彷徨う。

降りのエスカレーターにのっていると
降り口を精一杯のおめかしをした女子中学生の群れがふさいでいる。

ああ夏休みだなと思う。
どうやってあそこを子どもと
すり抜けようかとぼんやり考えていると、
集団は向きを変えていってしまった。

何か話し合った様子はない。
誰がリーダーという感

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無題PART15或は新米監督夜子

無題PART15或は新米監督夜子

さて、現場もわかる図面引きに憧れた夜子であったが、なにぶん小さな会社なので優雅に現場を視察して図面ばっかり引いているというわけにはいかなかった。

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カボチャ物語

カボチャ物語

「頭が痛いの。」
母さんがケイに言ってきた。
ケイは
「母さんは頭が痛いのか。」
と思った。

「だから少し横になって休ませてちょうだい。」
ケイは黙ってゲームをする手を止めた。

母さんはゲームの音が苦手なんだ。
特に「頭が痛い時」は。

仕方がないけどつまらない気持ちでケイは庭にでた。

ケイは庭が好きだ。
友達はみんな変わってるというけれど、ケイは植物を育てることが好きだった。育てている植物

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真夜中の案内状

真夜中の案内状

昼間どこからか赤ん坊の泣き声がきこえる。
まだうまれたばかりかな?
可愛い声だ。

アカリは編み物する手を少し休めて
声のする方向に意識を向けた。

あれ?
赤ちゃんがいそうな家ってあったからしら?
そして不思議なことだと呟きながらまた編み物に取りかかった。
今複雑な模様の始まりに差し掛かっているので集中力をとぎらせるわけにはいかないのだ。

アカリは2人の子を育て終えて今1人でこの家に暮らしてい

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