マガジンのカバー画像

詩のようなもの・詩または物語

76
運営しているクリエイター

2024年4月の記事一覧

パン屋のなぞなぞ

パン屋のなぞなぞ

A「ねぇねぇちょっときいて。」

B「なんのはなしですか?」

A「なぞなぞ考えたの。
なぞなぞだしてもいい?」

B「いいですよ。」

A「じゃあいくね!」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ゆうがた
まちのパン屋さんで
かってくれるお客さんを
まっている
うれのこりのパンたちが
おしゃべりをしていました

気取り屋のパリジャン
心のひろいナン
落ち着いたあんぱん

の3人です

「次に誰が

もっとみる
[蛇足]自分の詩を読んで出てきた疑問

[蛇足]自分の詩を読んで出てきた疑問

さっき失踪しそうな女が
豆腐を買いに行く詩を書いた。

だいたいあんなもんだと思う。

豆腐買いに行くって
台詞もそうだけど

エプロン姿で
つっかけで桶持って
出てくんだから
なるべく帰ってこようとは
してる。

帰ってくる時は
帰ってくるし

帰って来ない時は
帰って来ないよな。

家で待ってるほうは
「やばいな。」
と察知して追いかけるより
「そっか豆腐買いに行くのか。」
って思ってると

もっとみる
【詩のようなもの】豆腐を買いにゆく心理

【詩のようなもの】豆腐を買いにゆく心理

女は

疲れたのだ

言い争いにも

話し合いにも

繰り返しても

また同じこと

消えてしまいたい

もはやその心情を

説明する気力もない

けれども

ほんのわずかだが

また戻って来れそうな

感覚もある

家路ににつながるその細い

感覚の糸の感触を

たしかめるため外に出る

黄昏時の哀しげな

ラッパの音に誘われて

桶を片手に外に出る

ちょっと豆腐を買ってくる

[勝手に想像💭]天女の羽衣の天女の嘆き

[勝手に想像💭]天女の羽衣の天女の嘆き

天女は飛び立った。

羽衣をみつけてしまった以上は
天に帰らなければならない。

男は地上を走り追いかけて来る。
泣きながら名を呼ぶ声がうるさい。

天女もまた泣いていた。
怒っていた。悲しくて。
「だったらなんで羽衣を燃してしまわなかったのか?」
「なんでとっておいたのよ!」
「あの幸せな毎日は偽りだったのか?!」

天女は知っていた。

自分は
この哀しみも、幸せな日々も
天帝のもとに帰れば

もっとみる
[物語]グレースと伝令者テオリア(ラーナの地より愛を込めて)

[物語]グレースと伝令者テオリア(ラーナの地より愛を込めて)

昔、ハイノンという国のラーナという街に1人の娘がいた。
名はテオリア。
娘は少し変わったところはあったが両親に愛されすくすくと育った。

そうしてテオリアは15になる頃には、ラーナの街の他の娘と同じようによく働く娘となった。

17になった時のことである。テオリアは連続して不思議な夢を見た。

枕元に立った大きな白い牡鹿が毎晩のように話しかけてくるのだ。

「テオリア。やらなくてはいけないことなど

もっとみる
「信じる」ということについての発見

「信じる」ということについての発見

ものを知らなければ知らないほど
簡単に信じることができる。

博識であればあるほど
信じる過程が複雑となる。

これが
良いことか
悪いことかは
時と場合によるが

自己暗示をしたい場合は
ものを知らないほうが
簡単そうだ。

花が咲くのをみるだけで
希望が持てる。

【詩】裏切前夜

【詩】裏切前夜

私は知っている
お前が勝負を賭けてくるのは
明日だ

明日でなくてはならぬ

手塩にかけて
それをお前に教えこんだのは
私である

お前は今
絶頂の最中にいる

自分の力を試したくて
こらえきれないでいる

驕りは若さを引き立てる
眩しくもある

正直私はまだ勝てる
しかし明日私はお前に王座を譲ろう

お前の他に譲れるものがおらぬのだ

ギリギリの勝負をしてやる
私からの花向けだ

私を倒し
この

もっとみる
アブラ蝉の一生

アブラ蝉の一生

考えごとが止まらない。
止まらなすぎて
ついには
考えることについて
考えるようになってしまった
洋子は困ってしまって
別のことで脳を満たすことを
思いついた。

なんでも良い。
ふと目に留まった
子どもの理科の本を手に取る。

アブラゼミの育ち方…。
まるで食指がわかないが
読んでみることにした。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

夏の終わりに枯れた木の幹などに産みつけられた卵はそのまま冬を

もっとみる

クリスマスのお芝居

おかあさんは2人で
クリスマスのお芝居を
みにいこうと
おうちゃんを誘いました

おうちゃんは
クリスマスのお芝居を
みるのははじめてです
ウキウキしました

おかあさんも
いつもよりお洒落して
ウキウキしています

おかあさんと2人で
バスに乗って
電車に乗って
それからずいぶん歩いて
劇場に到着しました

おうちゃんは
たいへん元気の良い子でしたので
おかあさんは
幕が開けるまえに
お芝居の間

もっとみる
田んぼみち

田んぼみち

ちいちゃんと
おとうさんは
田んぼみちを
あるいていました。

おとうさんのせなかには
つかれてねむってしまった
いもうとがいました。

田んぼみちは
どこまでもまっすぐ
つづいています。

いえをでるとき
おとうさんは
えきまでいこうと
いっていました。

ちいちゃんは
えきにいったことが
まだありません。

ずいぶん
あるいたきがします。

えきまでいったあと
いえにかえるには
いまきたみちを

もっとみる
花散ラシノ雨ヲ讃ヘル

花散ラシノ雨ヲ讃ヘル

花ヲ散ラス雨ハ
ヨキモノナリ

宴ノ余韻ヲ
掃キ清メヨ

空中ノ塵ヲ
花ビラニ包ミ
海マデ届ケヨ

海ノ神ハ
ソヲ眠ラセ
浄化シタモウ

花ヲ散ラス雨ハ
ヨキモノナリ

ソノ祝福ヲウケテ
桜ヨ
夢カラ醒メテ
葉ヲ出シタマエ

モウジキ届ク
初夏ノ光ヲ
一身ニ受ケル
準備ヲ始メヨ

万物ハミナ
オ前トトモニアル

花散ラシノ雨ヨ
桜ヲ優シク
起コシタマへ

[自由詩]蝶をみかけた

[自由詩]蝶をみかけた

桜が咲いてきた
今朝庭で
この春はじめての
蝶をみかけた

モンキチョウ
ありふれた蝶だ

イモムシは
蝶になるまえ
サナギの時期に

いったん溶けて
ドロドロの液体になると
聴いたことがある

私はもうすぐ蝶になるかもしれない

ならないかもしれないけど
少なくとも脱皮はしそうだ

何回かの脱皮を繰り返して
イモムシは蝶になる

嬉しくて
なんだか
体がむずむずしてきたぞ

桜が咲いてきた
今朝

もっとみる