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IBD患者:5-ASA長期内服、栄養の注意点

潰瘍性大腸炎やクローン病は腸管の炎症疾患であることから、栄養障害の問題点がでてくることが多い。
特に、小腸粘膜傷害を伴うクローン病で、経腸栄養(エレンタール)中心にしている患者で特に注意すべきことがある。
それは、セレン欠乏微量元素欠乏である。

以前は”中心静脈栄養の点滴内に微量元素を補充する”という、忘れると問題となっていたが、現在は全てパッケージされた高カロリー輸液が登場してからは気をつける機会が減っている。
しかし、食事制限や食事を十分に摂取できていない場合は、この微量元素欠乏は注意しなければならず、これを疑う場合はビタミン系を測定しておき、不足していれば補充しておく。

セレン欠乏になると拡張型心筋症のようなうっ血性心不全を呈し、短腸症候群の高カロリー輸液継続投与中の患者は特に注意が必要である。
※セレンが含まれた栄養剤があり、あまり美味ではないが、ポートからの高カロリー輸液を継続している患者さんには必ず飲用してもらう。

炎症性腸疾患の基本薬剤として5-ASA製剤がある。
これは軽症から重症患者まで、基本的には内服を継続していく必要のある薬剤である。しかし、長期内服していると葉酸欠乏を呈することがあり、採血検査で経過をfollowしている場合は、時々、葉酸を測定することを忘れないようにする。
そして、葉酸欠乏や葉酸欠乏による大球性貧血を認めた場合は、フォリアミン(葉酸)を内服してもらう。



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