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統計:信頼区間とは?

信頼区間という言葉、論文にはほとんど記載されており、論文を記載するときにはほぼ必須の内容だと思います。

今回はそのなかでもよく使用される「95%信頼区間」について書きたいと思います。

定義から記載すると、
母集団から標本を抽出した場合、95回はその区間の中に母平均が含まれる
という意味です。

抽象的ですので具体的に記載すると、
具体例:日本人男性の身長の95%信頼区間は?
→信頼区間は日本人の身長が95%以内に入る区間
身長 175 cmの男性であれば、95%信頼区間に含まれますが、身長210cmの男性は含まれません。
95%信頼区間というと、統計学専門用語でわかりづらいですが、健康診断の採血データに付記される基準範囲を連想してもらえればわかりやすいかと思います。

この基準範囲というのは、疾患をもっていない人(健常者)の95%信頼区間を元に作成されています。
その健常者の測定結果を集計すると,通常は正規分布の形をとり、このうち極端に高い数値2.5%と低い2.5%を除く、つまり95% 信頼区間が基準値として用いられている。基準範囲を超えたことは病気による異常かももしれないし、そうでない場合もありえます。

例えば、
・身長が195cmは基準範囲外ですが、それは病気を示しているでしょうか?
・100m走が10秒台の人は、基準範囲外ですが、それは病気でしょうか?
 →ともに否です。
 それは単純に基準範囲(95%信頼区間)から外れているだけです。健康な人でも5%は基準値からはずれますし、逆にすべて基準範囲内のほうが珍しいのではないでしょうか。

正確な診断には基準値(基準範囲)との比較だけではなく,医師による個別的な診察が必要となります。
例えば、足が速いことは問題ではない。(100m走 10秒台)
しかし、100m走で50秒の場合は、歩行に問題がある、または筋肉に問題があるなどの可能性を考慮するなどです。

基準範囲内へのこだわり、基準範囲外であることの不安などをもっている患者さんに遭遇することはよくありますが、その基準範囲外の意味を理解する必要があります。
※腫瘍マーカーは特にその傾向が強いです。CEAは10前後までは過去の喫煙や体質も影響します。しかし、CEA 100以上であれば悪性腫瘍を積極的に疑います。
(基準範囲との乖離具合も理解する必要があります)

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