医師講演会で話す内容:トレンドを意識する
講演会を依頼されたときに最も重要なのは聴衆はだれかということ。
その講演会に来られる方はどういうことを聴きたいかを考える。
これは基本になるが、それに+αとして追加したい項目がある。
それはクラシック(データ開示+論文紹介)とトレンド(流行りの分野:コロナ感染、新規薬剤の登場、新規治療、新ガイドライン)のバランスである。
講演会で自分の研究内容だけでなく、自分の主張に合わせたクラシックは重要だが、そこにいれるトレンドの分野について書きたいと思う。
現代の医療ではガイドライン全盛であり、ガイドラインを守れという流れがある。
ガイドラインはその疾患だけのことに集中している傾向があり、その反動がでている。例えば、抗血栓薬は内服すると確かに脳梗塞や心筋梗塞のリスクを減少するが、その反面、出血性リスクが上がり、出血性疾患で亡くなられる患者さんもでてくる。
データに基づく治療はエビデンスベーストメディシンと呼ばれる。
しかし、医療における判断はグラデーションの中で答えを選択する必要性があり、それを単純にエビデンスに基づいた答えを示したとしても、抽象的すぎて臨床の現場では応用できないことが多いのが現状である。
つまり、ガイドラインに従うだけでなく、患者さんに合わせて統合的に医療を考える必要があり、それは手探りでバランスをとれる状態を見つけ出さなければならない。誰もその患者さんの最適解はわからないし、主治医がそれを探し出さなければならない。
このトレンドがガイドラインと離れすぎても自分勝手の主張になるだけだし、ガイドラインとほとんど変わらないければ話す価値はほとんどない。
これも手探りで見つけていくしかないのである。。。