サンクコスト・バイアスに惑わされるな
サンクコストとは、自分が投下した労力・お金が、時代の変化に伴い回収できなくなったことをさす。
そして、サンクコスト・エフェクトは、自分が金銭的・精神的・時間的投資を続けることが損失になるとわかっていても、それまでの投資を惜しみ、ずるずると続けることをさす。
これは医師でも往々にしてあることだ。
例えば、ピロリ菌除菌治療が広がるとともに衛生環境の改善で日本におけるピロリ菌感染者は激減している。これは全体としては非常に喜ばしいことだが、ピロリ菌専門医にとっては自分の仕事がなくなることを意味している。
(日本ヘリコバクター学会があり、ピロリ菌認定医は存在する)
そのまま、ピロリ菌認定医をもっているから、その分野を続けるサンクコスト・エフェクトが起こりうる。他にも、C型肝炎の減少で肝細胞がんも減少しており、近い将来、肝臓の専門領域の縮小も避けられないだろう。
このように日常生活だけにとどまらず、医療分野においても自分の研究した内容、専門分野が衰退していくことはよくある。そのときに、早く衰退分野の出口をでて、次の活発領域の入り口へはいっていく勇気が必要となる。
これに気づくためにはセンスが必要であり、たくさんの経験(失敗経験のほうが有効)と判断を積み重ねていくことが重要となる。