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胃体部の画像① 読影


画像1

内視鏡していればどこにでもある画像だが、今回はそれを読影したい。
(何でもない画像だが、観察力を鍛えるために使用した)

胃の粘膜
内視鏡の位置は胃体部に存在し、やや見上げで観察している画像と思われる。
送気をしている状態で胃は拡張している。拡張性はいいので、腫瘍性病変を疑うものではない。(スキルス胃癌は否定的)
(胃の伸展性が不良ならば、腫瘍を疑う必要あり)

背景粘膜に粘膜はやや発赤調で、表面は全体的に凹凸を認めている。
軽度陥凹している部位は褪色調の領域である。
粘調性の粘液付着はない。
小彎側に陥凹+ひきつれが散在あり、発赤+褪色部あり。
小彎側後壁に血管+少量の出血あり。
→送気しているだけで出血しているのであれば、易出血性。
遠景であるが、血管が見える。その血管は太いが、直進の血管に一部蛇行しており、血管は炎症性>腫瘍性と考える。

上記をまとめると、
地図状発赤(粘膜表面の小さなでこぼこ、わずかに陥凹している領域)あり、ピロリ菌持続感染を疑うような粘調性粘液の付着はなし。
潰瘍瘢痕が散在しており、おそらく胃潰瘍の既往があり、ピロリ菌除菌治療をされたのだろう。

萎縮性胃炎の背景あり。
潰瘍瘢痕像が散財+地図状発赤を認めており、ピロリ菌除菌後粘膜の可能性が高い。※胃潰瘍の既往があり、ピロリ菌除菌された病歴が推測される。

一枚の写真で患者の病歴や過去を推測し、そこから患者のなりやすい病気やどのように経過をみていくかの方針を決めることができる。
シャーロック・ホームズのようだが、それも内視鏡を楽しむ一つツールである。

この画像からいえることは、
この患者さんはピロリ菌除菌後であり、萎縮性変化も進行していた。
今後は除菌後でもピロリ菌感染期間は長く、定期的な内視鏡検査によるfollowが必要と思われる。


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