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臨床

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日常臨床における有益な情報を記載していきます。
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#臨床

医師:カンファレンスプレゼン

医師:カンファレンスプレゼン

医師の臨床で行うプレゼンは大きく3つある
・ベッドサイドプレゼン:数秒
・病棟カンファレンス:1分間前後
・症例報告:5分前後

今回、症例提示に使うプレゼンの注意点をいくつか記載したい。
①略語はできるだけ使わない
 略語が参加者全員が理解している場合は可能と思われるが、研修医や学生も参加している場合、研修医や学生も知っている用語を使うこと。
また、科によって略語の意味が異なることもあるので、他

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医療のサービスは今後どうなる?

医療のサービスは今後どうなる?

現在、所有から利用・体験へ消費トレンドが変化しており、コロナ禍でそれがさらに加速している。
例えば、音楽もCDを買って音楽を聴く から ストリーミングアプリを利用して音楽を聴くという体験へ変わっていった。

医師も薬処方よりも健康を提供するサービスへ変わっていくと思う。
(薬よりも健康となるようなコンサルティング)

・利便性(在宅医療、往診)
・コスト優位性(オンライン診療、後発医薬品)
はすで

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医師講演会で話す内容:トレンドを意識する

医師講演会で話す内容:トレンドを意識する

講演会を依頼されたときに最も重要なのは聴衆はだれかということ。
その講演会に来られる方はどういうことを聴きたいかを考える。
これは基本になるが、それに+αとして追加したい項目がある。

それはクラシック(データ開示+論文紹介)とトレンド(流行りの分野:コロナ感染、新規薬剤の登場、新規治療、新ガイドライン)のバランスである。
講演会で自分の研究内容だけでなく、自分の主張に合わせたクラシックは重要だが

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受験エリートに気をつけてほしいこと

受験エリートに気をつけてほしいこと

医師には受験エリートが少なくない。
いや、東大理Ⅲは全員が受験エリートといっても過言ではない。
東大理Ⅲ類の小ネタをすこし。
この東大理科Ⅲ類入学者は、全員が医学部に進学するわけではない。
入学後はみんな勉強しないから、それに怒った教授陣が全員進学できないようにしたというのがその経緯らしい。

そして、理科3類から医学部に進学しない学生は生贄君と呼ばれる。
※入学後に医学よりも他の数学、物理、工学

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うつ病の原因はヒトヘルペスウイルス?

うつ病の原因はヒトヘルペスウイルス?

Cell pressでヒトヘルペスウイルス6の活性化でうつ病になるという報告があった。これについて知見を述べたい。

この論文の主な内容は、ヒトヘルペスウイルス6の感染がうつ病の原因である可能性(マウス実験)が高い。そして、その抗体の検出量を健常人とうつ病患者を比較したところうつ病患者に有意に多かったという報告である。(オッズ比:12.2)

うつ病をはじめとした精神科領域の問題点としては、診断が

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Amazonで成功率は3割

Amazonで成功率は3割

GAFAという成功企業の象徴のひとつであり、アマゾンは皆さんもご存じだと思います。成功ばかりしているイメージですが、実はアマゾンは多くの事業を行い、そして失敗・撤退をしています。
(私が昔、よく利用していたamazon prime nowも終了)
以前はスマートフォン事業にも乗り出していますが、撤退しています。

アマゾンでさえ多くの失敗をして、成長しています。
逆に言えば、多くの事業を手がけたか

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試行錯誤を繰り返した後に、最適解をみつける

試行錯誤を繰り返した後に、最適解をみつける

答えのない世界で生きたことがない世代は、とにかく教えられた答えを覚えて吸収しようとする。学校で答えを教わる教育ばかりを受けてきたから、手探りで失敗を繰り返しながら答えを導き出す習慣がほとんどない。だから新聞に書いてある情報やテレビが流す情報を、すべて正しいものだと思い込んで覚えようとする。
                               -大前 研一

医療の世界は不確実であり、これ

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IBD患者:5-ASA長期内服、栄養の注意点

IBD患者:5-ASA長期内服、栄養の注意点

潰瘍性大腸炎やクローン病は腸管の炎症疾患であることから、栄養障害の問題点がでてくることが多い。
特に、小腸粘膜傷害を伴うクローン病で、経腸栄養(エレンタール)中心にしている患者で特に注意すべきことがある。
それは、セレン欠乏と微量元素欠乏である。

以前は”中心静脈栄養の点滴内に微量元素を補充する”という、忘れると問題となっていたが、現在は全てパッケージされた高カロリー輸液が登場してからは気をつけ

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消化器内科よく聞かれるシリーズ:食事再開はいつ?(消化管出血)

消化器内科よく聞かれるシリーズ:食事再開はいつ?(消化管出血)

消化管出血で入院中。
消化器内科で最も聞かれる質問のひとつに、

「食事はいつから再開したらいいでしょうか?」

がある。

これに対して、私なりの見解を述べたい。
一言で返答するなら、

消化管出血が止まっているのを確認できたら

となる。

消化管出血が止まっているのを確認するためには、
・患者の症状(貧血症状がない、便色が普通便、腹痛がない)

・血圧、脈拍、検査データ(Hb、BUN、Cre

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サンクコスト・バイアスに惑わされるな

サンクコスト・バイアスに惑わされるな

サンクコストとは、自分が投下した労力・お金が、時代の変化に伴い回収できなくなったことをさす。
そして、サンクコスト・エフェクトは、自分が金銭的・精神的・時間的投資を続けることが損失になるとわかっていても、それまでの投資を惜しみ、ずるずると続けることをさす。

これは医師でも往々にしてあることだ。
例えば、ピロリ菌除菌治療が広がるとともに衛生環境の改善で日本におけるピロリ菌感染者は激減している。これ

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知識×経験=スキル

知識×経験=スキル

本を読んだだけでは知識のみが身につき、何もスキルは身につかない。
医学部でいくらテキストを読んで勉強しても、スキルは身につかない。

臨床研修病院をどこにしようか考えている医学生は多いと思うが、どの選択基準はなんだろうか。
残念ながら、医師の場合は臨床研修病院で給料の差はほとんどない。
QOL重視の先生は別枠として捉えるが、通常は住環境+スキル向上を狙える病院が第一候補になると思う。

スキル向上

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グローバル人材がいる診療科は?

グローバル人材がいる診療科は?

m3.comに医師に対して、世界のトップランナーの診療科はどこかというアンケート結果が提示された。私の診療科である消化器内科が第1位に選ばれており、素直にうれしいがそれについて意見を述べたい。

(m3.com調べ)

まずグローバル人材の定義だが、

どの世界でも価値を生み出す存在。そして、その国の医師よりも優れている。

とした。

言葉の壁があり、言葉が通じないとグローバル人材になりえない。

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高カリウム血症の補正

高カリウム血症の補正

電解質異常のなかで、カリウム値異常のときの判断はナトリウムの時と比べて簡単だ。(ナトリウムは水分との相対的な問題であるが、カリウムは絶対値で過剰か不足かを判断できる)

なぜなら

高カリウム血症:体内のカリウムが多い または、検査エラー(溶血)
低カリウム血症:体内のカリウムが少ない

が成り立つ。

患者背景(大量のカリウム投与または急激な腎機能低下)からカリウムの突然の上昇が考えにくい場合は

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ビジネスは劇場

ビジネスは劇場

ビジネスは2つに集約されていく
”エンタテインメント化” と ”ヒューマンヘルス化”

その両方が組み合わさることでより強みがでてくる。
レストランを例に挙げると、
・エンタテインメント要素:オシャレな空間、スタッフからの料理説明など
・ヒューマンヘルス要素:無農薬の野菜、健康にいい食材使用など

それらを提供する場所が劇場となる。

レストラン(劇場)では、料理や説明するシェフ、スタッフがそれを

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