免許合宿(2017)
大学一回生2月中旬。
私は東京を離れ山形に免許合宿へ向かった。
幼い頃父親のグランツリスモを横で見ていた私には車に対する憧れがあったし、将来車が運転できたら色々と便利であろうと思った。
自分の一番近い教習所は
住んでる場所から少し遠くの場所にあるし、教習所に行った際に小中高の同級生と目があうも目を逸らされてしまい傷つくことを恐れた私は16万円という金額の山形へ1人で免許合宿に行く事を決意したんだ。
今思うとなんだその理由と思うが、私は器がちっちゃくこの程度のダメージで当時は落ち込んでしまうような人間であった。
これを読んだ君たちは小中、何度か同じクラスだった人間に忘れられる恐怖を知らないでしょう。何度か遊んだりもしたのにさ。。。
それはさておき、修学旅行以来の新幹線だ。
駅弁なんかも初めて買ってとても上機嫌である。
(ここが元気の絶頂期!スーパーハイテンション!)
3時間くらいで山形についた。
山形に着くと教習所の人達が待っててくれて
移動用のバスに案内してくれた。
大量の若者たちと昭和の匂いがするバスにゆられている。
少しエモーショナルな気持ちになったが
冷静に周りを見渡すとみんな髪が染まっている。
黒髪は俺だけだ。
帰りたい、なんだか怖いからだ。
教習所でスケジュールの説明を受け、
本日から合宿に来た人達全員で食事会があるらしい。
嫌な予感がする。
案の定最悪の最悪だ。
男子2人女子1人の仲良しグループと
食事の席を囲むことになったのだ。
プリーズガットヘルプミーである。
男子2人女子1人グループ通称山猿組は
我を敵対、一言も会話する事なく食事を終えた。
せっかくの米沢牛が味がしなかった。
俺がジョジョのヴァニラアイスじゃなくてよかったな。今頃
食事ってのは何を食べるかでなく、誰と食べるかが重要だと改めて実感した。
食後でかい民家の宿に案内され2Fの8畳の部屋に到着。
部屋はとても居心地が良かった。
山形のローカルテレビを見て少し散歩をして
風呂に入り就寝しようと思った時事件発生。
このクソ部屋エアコンがねぇ。
灯油ストーブのみである。
不安ながら眠りにつくが5時起床。
部屋の温度は-3℃。
寒すぎて目が覚めてしまった。
ストーブの灯油が切れた2月の山形だ。
突然こうなる。
1Fに灯油を入れに行き二度寝をした。
宿の人にエアコンが付いている部屋に移動出来るかと聞いてみたが、男の子3人グループと同じ部屋でいいならと言われてしまった。
要約
1人で免許合宿にくるバカなまずはくそきめーから寒い部屋で凍え死ねばいいさw。
僕はこの山形が嫌いになった。
昨晩雪すげーー!さみーー!と上機嫌で散歩してた自分。免許合宿税込16万の安さでこの場所を選んだ自分を真底恥じた。
でも私は寒さを選ぶ。
毎朝5時代に寒さで目が覚める生活を3週間程送る事を決めたんだ。
こうして教習が始まった。
自然とできあがるグループ。
生まれる孤立。
私はこれを知っている。
闇の季節春に神様が使う速攻魔法
ヒエラルキークリエーションだ。
今年の春は少し早いなー。
そう思いながら私はいつも通りヒエラルキーの
底辺を1人で支えることになった。
1日目に食事をした山猿組も同じクラスだった。
男子2人グループ女子2人グループの海猿組や
男子2人グループのラバダブボーイズ。
女子2人グループのチームナチョス。
いろんな奴らが交わり始めた。
どいつもクソッタレだ。
こっからは何が起きるわけもなく、
同じ日常が続く。登場人物は私と教習所の先生のみだ。
自分のコミュニケーション能力の低さに
教習所の先生に気を遣われたり、
1日に発する言葉がはい。ありがとうございます。
この二つだけだったりする日もあったが
なんとか凍える冬の山形を過ごした。
金もないし、酒も飲める歳じゃないし、
この街には娯楽なんか一つもない。
吉幾三さんの気持ちがよくわかった。
おら、東京に帰りたいだ。
山形の薄味の飯じゃなくて
母ちゃんのハンバーグが食いてえ。
空き時間はパラパラとか踊って暇を潰した。
この山形という街はなんで退屈なんだろう。
そう思ったが、違う。
私はもともと退屈な人間なのだ。
部屋に漫画、小説、ゲームがないだけで
他は大して変わりがないと気づいてしまった。
散歩。散歩しか今の私には無いのである。
景色の変わんねークソ景色を眺め散歩。
散歩し続ける事で私は時間を浪費した。
wifiもねぇ、クソだ。
教習のない日に1人で米沢のゲームセンターに
行って少し遊びにいくもつまらなすぎて
おしっこを漏らしてしちゃうし。
あとトトロの森という場所に片道2時間位頑張って足運んだんだ。でも冬にきても何にもトトロを感じる事ができなかった。
にっちもさっちも行かない。
こうして存在したかもどうかもわからない俺の免許合宿は最終日を迎えた。
肝心の教習だが特に何事もなく終わった。
最後に退校日が同じ人たちと集合写真をとるのだが、私は写真に写らなかった。写れなかった。
3週間誰とも話してない私は集合写真に写る権利というものが無い感じがして逃げ出してしまった。
帰り際に集合写真を貰ったが無論私はいない。
この写真は今でも私の引き出しにしまってある。
この事実を忘れちゃいけないためだ。
9割はコミュニケーション能力が著しく低くて
えらく冴えない私が悪い。
だがな、1割はな、おめーらだ。
お前らの顔…忘れんぞ!
こうして東京に帰り、地元の温泉に行き
私は嘘みたいに眠った。
結論
何が言いたいかというと、
友達1人も作れねーやつは1人で免許合宿なんていくな。大人しく教習所いけ。バカな真似するな。
後この時点で私は一人暮らしに向いてないと
気付いてしまった。
キャリーケースしかおしゃべり相手がおらず
ひとりぼっちすぎて頭禿げちゃった。
人はこうして大人になっていく。
ありがとうございました。