なんで信号機には横型と縦型があるの?
日本で免許を取ると、教本に出てくる信号機は灯器が横に並んだ「横型」だろう。一方、本州日本海側や北海道では見かける信号機はほとんどが灯器が縦に並んだ「縦型」である。この違いは何だろうか?そして都道府県毎に縦型と横型のどちらが設置されているのだろうか。この記事では信号機の縦型と横型の謎に迫る。
日本では横型の信号機が標準
日本では、免許を取得/更新する時にもらう、全日本交通安全協会が発行する「交通教本」を見ると、信号機は横向きで表現されていることがわかる。
アメリカやイギリス等のヨーロッパの信号機や、日本でも鉄道の信号機は縦型になっている一方、中国、韓国、台湾などアジアでは日本と同じ横型の国と地域が多いように思える。
また、日本でも高架橋の下などスペースが限られた場所への設置、カーブで見にくい場所、重要文化財が近くにあるなど景観に配慮すべき場所での設置、右折車専用信号、側道用信号、自転車用信号、予告信号等、特殊な条件下では縦型や変則的な形状の信号機が設置される場合がある。
縦型で設置される場合、アーム (信号機を信号機柱に設置するために支える器具) は歩行者用信号と同様に信号機の上下から支える短い形状を取ることが多い。
日本海側では実は縦型の信号機が標準
一方、同じ日本でも本州日本海側と北海道では、実は縦型の設置が標準となっているのをご存知だろうか。この場合、長いアームに縦型の信号機が設置されているため、標準的な縦型信号機の設置方法とは異なっている。
では、なぜ本州日本海側と北海道では信号機は縦型に設置されているかというと、冬に雪が降った時に雪が積もってアームに負担がかかり故障するのを防ぐためである。縦型のほうが雪が信号機に積もる量が少なくて済むからだ。
故に、標準で縦型に信号機が設置されている地域は一般的に豪雪地帯であると言えるだろう。
都道府県別、信号機の設置方向 (縦/横)
そこで気になるのが、都道府県別で信号機は縦型なのか横型なのかである。中には、県の北部と南部で設置方向が違う場合もある。これは北部と南部で雪の降り方が違うことを表しており、興味深い。
以下は、Google ストリートビューで都道府県庁所在地や主要都市にある信号機を見て、設置方向を割り出したものである。
おおよそ、本州の分水嶺あたりを境界に日本海側は縦型、太平洋側は横型になっているようだ。ただし、一続きになっている地域の南限は滋賀県北部で、長野付近の線はより日本海側に領域が引っ込み、青森はより太平洋側まで縦型信号機の領域が伸びている。石川県の平野部は意外にも横型である。兵庫県山間部と鳥取県南東の山間部、および島根県山間部にも離れ小島の縦型地域が存在する。
日本地図にプロットしたものを掲示する。
近年では、フラット型信号機の一部は着雪対策が施されているものもあり、いままで縦型信号機だったところの更新で横型のフラット型信号機が設置されるケースもあるようだ (青森県西部、岐阜県北部など)。ただし、LED型であるフラット型信号機は雪に弱いとも言われており、実際の環境における今後の検証と改善が必要となってくるだろう。
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