なかなか見られないレアな道路標示3選
標識令には、様々な道路標示が例示されている。教習所では一通り習っているはずだが、実際に見たことがある標示、ない標示もあるだろう。それぞれ何らかの役割を果たしている。
しかし、中には「これは殆ど見ない!」「実際にもう使われていない」という標示も存在する。この記事ではそのような道路標示を3種類を紹介する。
右側通行 (202)
主に山岳地帯の未整備の道路のカーブで、車両が通過するときに道路の右側部分にはみ出さなければ通行できない場所/区間に設置される道路標示「右側通行」。種類は「指示標示」。交通規制基準では、設置場所は以下のように定義されている。
ただし、近年は山岳地帯でも幹線道路は道路幅拡張やバイパスの整備がなされ、このような場所/区間は減ってきている。「右側通行」が設置される場所は、対向車が頻繁に来る場合は正面衝突の危険もあるため、徐行することが前提となるだろう。
国道や都道府県道にも、通称「酷道」や「険道」と呼ばれる、とてもそうは見えない道路もまだまだ存在していて「カーブで、車両が通過するときに道路の右側部分にはみ出さなければ通行できない」という場所/区間はあるが、そのような場所では道路の中央線や矢印の道路標示をするほどの整備がなされていないことが殆どである。
筆者がフォロワーの皆さまと一緒に全国の道路で「右側通行」の例がないか探したところ、いずれも「車線減少」(「安全地帯又は路上障害物に接近」の一部) や「カーブあり」(進行方向の変形版) であり、「右側通行」は今のところ見つかっていない。もし「これは」と思うものを見つけた際には筆者までご一報願いたい。
右左折の方法 (111) - 右左折先の通行帯を指定
片道4~5車線以上の一方通行路と交差する交差点に設置されるのがこの道路標示である。種類は「規制標示」。交通規制基準では「図例 (5)」と呼ばれており正式な名称はついていないが、この記事では「右左折先の通行帯を指定」と呼ぶことにする。同文章では設置場所は以下のように定義されている。
このような一方通行路が存在するのは東京都心や大阪市中心街などごく限られた場所になり、かつこのような一方通行と交差するすべての交差点で設置されるわけではなく、設置されるケースのほうが例外的である。筆者は現在のところ人形町交差点と大江橋北詰交差点の2箇所のみで存在を確認している。
前方優先道路 (211)
横断歩道を予告する「ひし形」の標示 (「横断歩道又は自転車横断帯あり (210)」)とよく似ている逆三角形の標示は、前方の交差道路が優先道路であることを示す「前方優先道路」。種類は「指示標示」。「止まれ」の場合は法定外表示だが、本件の場合はそうではない。停止線は併設されない。交通規制基準では、設置場所は以下のように定義されている。
前方優先道路は限られた道県でのみ運用されており、「前方優先道路」標識の設置は北海道と石川県の一部地点 (それぞれ2箇所と3箇所)と、残りは沖縄県 (約40箇所)のみに見られる。(標識の場所は以下のマップで確認できる)
ただし、道路標識の設置は必須ではないため、道路標示のみで運用されている箇所も存在する可能性はあり、前方優先道路が運用されている場所はもう少し多い可能性がある。また、道路標識が設置されている場所で道路標示の併設も必須とはなっていない。
たとえば沖縄県中頭郡北谷町の「国体道路入口」の左折レーンでは、前方優先道路の道路標示が見られる。
*
こちらもどうぞ。