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「◯◯専用」信号機とは?
信号機の中には、特定の交通のみを対象とした「◯◯専用」信号機が存在する。この記事ではその内容に迫る。
根拠となる法律の条文
「◯◯専用」信号機は、道路交通法の施行のための法律や命令の中に記載を見出すことができる。
(信号の意味等)
第二条 3 公安委員会が信号機について、当該信号機の信号が特定の交通に対してのみ意味を表示するものである旨を内閣府令 (=道路交通法施行規則) で定めるところにより表示した場合における信号機の第一項の表に掲げる信号の意味は、当該信号機について表示される特定の交通についてのみ表示されるものとする。
(信号の表示)
第三条の二 令第二条第三項の規定による公安委員会の表示は、別記様式第一の二の標示を、当該信号機の信号に対面する歩行者、車両又は路面電車がその前方から見やすいように、信号機の灯器に接して設けて行うものとする。
別記様式第一の二には、以下の3つの様式が記載されている。❶❷は歩行者等の信号機に対しての標示、❸は車両を対象にした信号機に対しての標示である。
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(交差点において斜めに道路を横断する歩行者を除く)
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別記様式第一の二の3つ目の「車両又は特定の車両」に対して表示する標示について、実際に設置されている例を見ながら、代表的なものを見てみよう。
実は、「〇〇専用」の〇〇の部分には車両の種類の名前が必ずしも入るわけではなく、場合によっては車両通行帯や道路の種類が入るケースもある。よく考えてみると、車両の名前が入っている場合でも、結果として車両通行帯や道路の種類のことを指していることが分かる。何故なら、仮に同じ車両通行帯や道路に異なる種類の車両が並んで信号待ちをしている場合を考えてみると、車両の種類によって信号が異なることになってしまい交通がうまく流れないからである。
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それでは、「車両又は特定の車両」の部分に入る「車両」や「車両通行帯・道路」の種類について見てみよう。
車両の種類
自転車専用/軽車両専用
市街地でよく見られる。一歩通行路の出口にある交差点の信号機に表示されていることが多い。都道府県によって一方通行路の除外車両が「自転車」もしくは「軽車両」であるケースがあり、それにより信号機に表示されている車両の種類も異なる。
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加えて、市街地の交差点における自転車横断帯がある交差点で、縦型の自転車専用信号機が設置されているケースもある。
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バス専用/コンテナ車専用
バス専用信号機は、バスレーンや交差点手前にバス停がある場合などに設置されている。また、駅などのターミナルの停車場からの出口に設置されているケースもある。「路線バス専用」「バス等専用」といった表示になっている場合もある。
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コンテナ車専用信号機は、港湾地区など、コンテナ車が多く走行している道路で、特定の道路から出てくるコンテナ車向けに設置されている信号機に表示されている。
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歩行者・自転車専用
これは今までのものと少し異なる。主に自転車専用通行帯がある道路等の交差点で見られ、横断歩道と自転車横断帯が併設されている場合に、歩行者用信号機に表示されている。この場合、自転車は車道ではなく自転車横断帯を走行して道路を横断し、かつ車両用信号機ではなく、「歩行者・自転車専用」と標示された歩行者用信号機を見て横断しなければならない。
根拠となる法令は以下である。
(自転車の横断の方法)
第六十三条の六 自転車は、道路を横断しようとするときは、自転車横断帯がある場所の付近においては、その自転車横断帯によつて道路を横断しなければならない。
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車両通行帯・道路の種類
右折車専用/左折車専用
主に東京都で見られる標示で、時差式信号機の右折レーン等で「右折車専用」の標示がなされた専用の信号機がよく見られる。
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レアケースだが、同様に「左折車専用」の標示がなされた信号機も存在する。
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側道専用/陸橋専用/高速出口専用
陸橋や高速道路の出口で側道と本線の信号機が並んで設置されていてまぎらわしい場合に、それぞれの信号機に表示されている場合がある。
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