(209の2)「落石のおそれあり」にまつわる話
山間部の道路脇でよくみられる警戒標識「落石のおそれあり」、いわゆる「落石注意」であるが、「いったい何を注意すればいいのか」といった声が聞かれる。この記事では、この警戒標識の意味や、図柄にまつわる話について解説する。
「落石注意」と言われても何に注意すればいい?
山間部の道路で、道路脇に急な崖が切り立っているような場所で、「落石注意」の警戒標識が設置されていることが多い。山奥で最高速度等の規制標識、動物注意等の他の警戒標識や案内標識が設置されていないような場所でも、この「落石注意」の標識は結構設置されている場合が多い。
この標識だが、図柄に記載されているように「崖の上から落ちてくる岩をゲームのように避けながら運転しなければならないのか!?」といった声が聞かれる。本当のところはどうなのだろうか。
標識令には、以下のような場所に設置するように手引きがある。
ここで「落石注意」の内容であるが、国土交通省のウェブサイトに以下の記載がある。
つまり、落ちてくる岩・石と落ちている岩・石の両方に注意を払う必要がある。ただし、確率的にいうと岩・石が落ちてくる瞬間に出会うよりは、岩・石が落ちてきて路面に散乱している状態に出会う場合の方が多いと思われる。
同じ分類の警戒標識
国土交通省の道路標識一覧を見ると、実は「すべりやすい」「落石のおそれあり」「路面凹凸あり」の3つは同じ通し番号209が付いている。これらに共通しているのは、いずれも「路面に関する状態への警戒」を表していることだ。歴史的にみると、1967年 (昭和42) に「落石のおそれあり」「路面凹凸あり」の2つの標識が「すべりやすい」のカテゴリに追加された。
図柄のバリエーションに関する話
「落石のおそれあり」の警戒標識の図柄には、よく見ると面白いことがいくつかあるので紹介しよう。
石の数や形
様々な「落石のおそれあり」の警戒標識を見てみると、石の数や形、山の形が異なっていることに気づくだろう。実は、道路管理者によって細かいデザインが異なっているのだ。
実は、最新の国土交通省の道路標識一覧や標識令の図柄では、石は3つになっており、岩が出てくる部分の山は欠けていない。
一方、警察庁の交通の方法に関する教則では、石は4つであり、丸く大きな石となっている。
実際に設置されている標識を見ると、石の数はほとんどの場合4つである。
左右対称の図柄
「落石のおそれあり」の警戒標識は左側に山があり右側に石が落ちる図柄で定義されており、左右対称の図柄については正式に定義されていないが、路上の設置を見ると、道路の右側に崖がある場合は、右側に山がある左右対称の図柄がよく用いられている。
なだれ注意
「落石のおそれあり」の警戒標識の変形版として、豪雪地帯では「なだれ注意」の警戒標識がある。これには様々な図柄がある。
動物注意との合体
東京都小笠原村の父島には、ノヤギの動物注意と合体した落石注意の標識がある。
区間で警戒
落石注意は、崖が続く限り警戒が必要な区間があるため、正式な定義はされていないものの「(505-B)始まり」などの補助標識と一緒に使われることがある。(ただし、区間内や終わりの標識はないことがほとんどである。)
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