「二輪を除く」と「2輪のものを除く」の違いとは!?
規制標識の対象車種を限定する補助標識には、似た表現が使われているものがある。最も紛らわしいのが「二輪を除く」「自動車 (二輪を除く)」「2輪のものを除く」である。この記事では、これらの違いについて解説する。
「駐車禁止」や「一方通行・車両進入禁止」の本標識に添加される似たような表現の補助標識
「駐車禁止」や「一方通行」「車両進入禁止」といった規制標識には、対象車種を制限する補助標識が添加されることがある。これには地域色があり、「2輪のものを除く」は島根県や広島県北部、「2輪を除く」は岡山県を中心に使われている。「自動車 (二輪を除く)」は、「駐車禁止」の場合は四国4県と岩手県を中心に使われ、「一方通行・車両進入禁止」の場合は、滋賀県、和歌山県、香川県、佐賀県を中心に使われるなど、「駐車禁止」と「一方通行・車両進入禁止」とで使われている場所が同じとは限らない。
単語から読み取れるそれぞれの意味の比較
「二輪を除く」「自動車 (二輪を除く)」「2輪のものを除く」を標識令や道路交通法関連法によりそのまま解釈した場合、本標識の除外対象になる車種を✅、除外されず対象になる車種を❌で表にすると以下の通りとなる。なお、数字 (2) と漢数字 (二)の違いに意味の差はない。
自動車 (2輪を除く)
バイク・原付・自転車が除外対象となる。「自動車」と限定された時点で、原付 (=一般原動機付 "自転車")と自転車は対象から外れる。
「二輪を除く」の解釈
バイク・原付が除外対象となる。標識令における「二輪」の意味を正確に解釈すると、自転車は除外されない。
「2輪のものを除く」の解釈
車輪が2つのバイク・原付・自転車が除外対象となる。車輪が3つ以上のバイク・原付・自転車は除外対象とならない。
根拠となる法令
「二輪」などの、補助標識に出てくる車両の種類は「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 (標識令)」別表第二(第三条関係)(六)車両の種類の略称や「交通の方法に関する教則」 付表4「車両の種類と略称」に記載がある。「二輪」は標識令では
という定義になっている。「二輪」を二輪という言葉を使って定義しているので "循環定義" か?とも見えるが、道路交通法関係の文中で出てくる「二輪の」という表現は、"車輪が2つの"という意味で解釈する。「二輪の自動車」というと、「大型自動二輪車、普通自動二輪車」のことを指す。
また、似たような表現が道路交通法施行規則第一条の二にある。
この条文でも「二輪の」と「三輪以上の」を対比していることから、"車輪が2つの"という意味で使われていることがわかる。
「2輪のものを除く」は、標識令上の「二輪」でなく、「二輪の」つまり"車輪が2つの"という意味で使われている解釈となる。
実際に県警に問い合わせてみると…!?
2輪のものを除く
以上が法令からの解釈になるのだが、実際に島根県警察本部交通部交通規制課に問い合わせてみると以下の回答を得た。
つまるところ「自動車 (二輪を除く)」と同じということである。「2輪のもの」であっても、規定を満たす3輪の自動車・自転車も含まれる。
二輪を除く
「二輪を除く」についても岡山県警察本部交通部交通規制課より以下の回答を得た。
つまり、標識令の「二輪」の意味で使っているということで、軽車両は除外されないとのこと。
ただし、実際の運用を見てみると、「自動車 (2輪を除く)」と混同されて使用されているケースもある。実際問題として、バイク・原付は除外されるのに自転車は除外されない駐車禁止や一方通行の規制は使い所がない。
ドライバーの視点からすると、同じ規制であるならばどの都道府県でも同じ表記を行ってもらったほうが規制の意味が正しく伝わるので、「自動車 (二輪を除く)」に統一してほしいところである。外国人にも分かりやすくするなら以下のような標識がいいだろう。既存の標識令にも沿った表記である。
参考: 標識令上の「自二輪」「小二輪」
補助標識には「自二輪」「小二輪」という表記がされることがある。これらも標識令に定義がある。
大型自動二輪車、普通自動二輪車は道路交通法施行規則に定義がある。
道路運送車両法で定義される別の分類や、免許の種類も含めて表にまとめると「二輪」関係の分類は以下の通りとなる。
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