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「貨物集配中の貨物車」のための路上駐車規制緩和標識
街中で「貨物集配中 (積卸し中) の貨物車に限る」や「貨物集配中 (積卸し中) の貨物車を除く」という補助標識のついた駐車禁止規制、駐車可の標識を最近よく見かけるようになった。これらの標識の意味と設置経緯、それにより解決された問題と課題についてまとめてみた。
規制緩和の経緯
インターネット通販の拡大等により、宅配貨物は年々増加している。国土交通省が毎年発表している「宅配便・メール便取扱実績」の統計によると、2023年度の宅配便取扱件数は約50億個で30年で約5倍に増加、メール便取扱冊数も約36億冊となっており、都市部で交通規制のルールが制定された当初と比べて環境が大きく変わっている。
特に、駐車スペースの少ない都市部における宅配貨物の各戸配達における駐車場所の確保に苦慮する事業者から、住居や事業所に近い場所での集配用の駐車スペースの設置要望が挙がっていた。
警察庁も都市部での駐車場増加などの事情による違法駐車件数の減少傾向も受け、より合理的な駐車対策を行うことに力を注いでいる。2016年4月1日現在の一般道路の実延長距離約121万3,500kmに対する駐車規制率は約14.3%、約17万3,900kmであったが、当時の規制区間の約19%、約3万3,000km (約4万4,100区間)に対して過去15年の間に解除・緩和を行っている。
貨物集配中の貨物車に対する規制緩和についても、2018年に警察庁から出された「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しの推進について」(平成30年2月20日付警察 庁丁規発第3号)において、地方公共団体、道路管理者、民間事業者等に対して貨物集配中の車両が駐車可能な路外駐車場の整備、共同住宅やビル等の敷地又は建物内における貨物集配中の車両の駐車場所の確保について働きかけを行った。
これを機に、都道府県公安委員会や道路管理者でも、駐車禁止規制の緩和が推進されている。
駐車にあたっての細かい規則は各都道府県公安委員会にゆだねられているが、おおむね以下の通りである。
貨物集配中の貨物車: 現に貨物の集配を行っている貨物車のこと。
貨物車: ナンバープレートの「種別及び用途」が1、4、6のもの、および冷蔵冷凍車などの8の貨物を含む。事業用、自家用の区別はなし。
● 貨物車であっても、貨物集配以外 (食事や休憩) の利用は不可。
● 駐車枠をはみ出しての駐車、枠内であっても、1枠内に2台の駐車、および法定禁止場所での駐車は不可。
● 20分以内の駐車を奨励。(警視庁の場合)
● 「駐車可」による規制緩和場所/区間では、駐車禁止等除外標章の対象にはならない。
「貨物集配中の貨物車に限る」駐車可標識による限定的解除
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駐車禁止規制が敷かれている区間において、貨物集配中の貨物車の規制を一部の区間/場所で(限定的に)解除する際に「貨物集配中 (積卸し中) の貨物車に限る」という補助標識が付いた「駐車可」標識が設置される。
駐車可となるのは、指定された区間、白線で描かれた駐車枠内、駐車ベイ (ローディングベイ) 内など、場合により異なる。
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以下が設置されている標識の例である。
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「貨物車専用」と書かれた駐車スペース内で、指定時間帯のみ目的に沿った駐車が認められている。
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標識で指定された区間で、指定時間帯のみ目的に沿った駐車が認められる。
駐車禁止から「貨物集配中の貨物車を除く」
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駐車禁止規制が敷かれている区間において、貨物集配中の貨物車の規制を全区間で(限定的に)解除する際に「貨物集配中 (積卸し中) の貨物車を除く」という補助標識が付いた「駐車禁止」標識が設置される。
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その他の方法による緩和策
より広い「貨物」の緩和
「貨物集配中の~」(現に貨物の集配を行っている~) という条件がなく、貨物車であれば指定時間帯のみ駐車が許される区間も存在する。
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東京でも「貨物(車)」の私的のみで、「貨物集配中」かどうか限定していない規制緩和方法がある。
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大元の駐車規制に曜日や時間規制がある中で、異なる時間帯で「貨物(車)」の規制をさらに緩和している。
貨物車専用のパーキングメーター枠
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「時間制限駐車区間」の規制標識の対象となる駐車枠に「貨物車(専用)」と書くことで、貨物車の優先的な利用を促す方法である。規制標識の補助標識には特に特別な記載はしない。
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ただし、実際には乗用車など他の車種の車両が駐車してスペースをふさいでいることも多く、実効性が薄くなる。
駐車許可証、駐車禁止等除外標章
駐車せざるを得ない特別な事情がある場合に「駐車許可制度」を利用して、駐車の機会を特定した上での警察署への都度申請/一括申請(最長6か月単位)が可能である。貨物の集荷も対象となる。ただし、許可基準が判然とせず警察署による門前払いも多数あるようだ。
郵便法に規定する郵便物の集配の場合は「駐車禁止等除外標章制度」も利用できる。ただし、こちらは公共サービスを対象としているため、民間の貨物集配は対象とならない。
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