点滅信号の意味と最近の状況
信号機の中には、青、黄、赤のサイクルで点灯せずに黄色や赤色の点滅を繰り返すものがある。これを「点滅信号」という。この記事では、その意味やどのような場所にあるか、そして最近の状況について見てみよう。
点滅信号とは?
点滅信号は「交通の方法に関する教則」にその意味が書かれている。車両の場合は、注意しながら進め、または停止位置で一旦停止ということを表している。
灯器の種類
灯器には、通常の信号機の形をしていて黄色または赤色の灯器が点滅している状態と、最初から黄色または赤色の灯器1つのみがついている「一灯点滅式信号機」の場合がある。
通常の信号機の形の点滅信号は、試験期間中、夜間のみ点滅式、または信号機の点灯サイクルの中で点滅信号が出てくるなど、時間限定の場合が多い。恒常的な点滅信号の場合は一灯式信号機であることが多い。
ちなみに、黄色の点滅を繰り返す灯器を持つものとして「予告信号」や「分岐点用点滅灯」があるが、これはいわゆる「点滅信号」とは異なるものである。(予告信号機は前方にある信号機が坂やカーブ等のために見通せない場合に注意をうながすための信号、分岐点用点滅灯は中央分離帯や分岐点の先頭に設置され衝突しないよう注意を促すためのものである。)
出現場所とパターン
出現場所は、交差点または一本道に横断歩道がある場所の信号機である。パターンとしては主に4種類に分類できる。
① 交差点における優先道路と非優先道路を示す
十字路またはT字路で優先道路と非優先道路を示すために、黄色の点滅信号と赤色の点滅信号が交差する道路のそれぞれに設置される。
恒常的な場合は一灯式信号機で設置される場合が多い。また、一灯式信号機のみの交差点の場合、都道府県によっては設置コストを節約するために通常は最低4本の信号柱を設置するところを、1本のみにして4方向の点滅信号をすべてまとめて釣り竿のように交差点中心部に釣り上げる設置方式をとっているところもある。(冒頭の写真)
昼間は通常の信号、夜間のみ点滅信号となる「夜間点滅式」も存在する。夜間点滅式の場合は、信号機の横に標識がある。
また、通常の信号機と恒常的な一灯点滅式信号機が組み合わさっている場合もある。
② 交差点における交通量が少ない道路の点灯サイクル
通常の交差点に交わる道路で他と比べて交通量が極端に少ない道路の場合、恒常的な点滅信号ではないものの、信号サイクルの中で点滅信号が挟まれる場合がある。
③ 右折車専用信号機の点灯サイクル
右折レーンでは対向車に注意しながら右折する必要があるため、右折車専用信号機が設置されている場合、黄色の点滅信号が点滅する。
④ 一本道の横断歩道の点灯サイクルの1つ
一本道を渡る横断歩道に設置されている信号機は、都道府県によっては青色の点灯の代わりに黄色の点滅信号がサイクルに入っている。横断歩道があるので注意して進めということなのだろう。押し釦を押すと、青信号に変わり、暫くして黄信号、赤信号となる。
最近の点滅式信号機の事情
一灯点滅式信号機は1984年に福岡県で初めて設置され、全国に広がった。そのため設置数は福岡県が一番多く、また、西日本に設置数が多い。
一方、太陽光で蓄電して発光する一時停止標識や道路標示など、道路標識・道路標示の進化により単純に注意や一旦停止を恒常的に促すだけの点滅式信号機はその役割を終えるようになってきた。
また、一灯点滅式信号機の導入後の交差点において人身交通事故が増え、信号機の見落としや理解が原因となっているという北海道における報告結果もある。(出典: 一灯点滅式信号機設置交差点における標識・標示の在り方に関する調査研究報告書 平成11年)
2015年より警察庁は一時停止標識で代替可能な場合、一灯点滅式信号機の撤去を行う方針を出し、既出の①のパターンのうち恒常的な点滅式信号機の撤去が進んでいる。
2020年3月末現在、全国での一灯点滅式信号機の設置数は約4,600、4年前と比べると約1,200減っているという。
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