
電柱添架式道路標識の共架方式
道路標識を設置する際に、電柱、信号柱、街路灯等の既存柱に共同で設置する方式を「共架」という。この共架の方式は都道府県によって異なっている。この記事ではその違いを見ていくことにする。
添架式道路標識の共架方式
道路標識を既存柱に共架する際に、既存柱側に使う金具は柱の直径、形状、材質等によって色々な種類がある。一方、標識側に用いる金具は、主に2つの方式「直接型」「間接型」に分けられる。
直接共架
1つ目は直接型共架金具と呼ばれるひとつの金具を使って、標識柱を共架する方法である。

直接型共架金具は以下の写真のようなものである。

金具の「アーム」にあたる部分は長さにバリエーションが存在する。
アームが短い金具またはアームがない金具 (間接型の金具)を使っている場合や、共架金具や標識柱を使わずに既存柱に直接標識をU字バンド等でつけている場合もある。

共架金具なしで既存柱に直接つけている場合
間接共架
2つ目は、間接型共架金具と呼ばれる金具を使って、短い標識柱を共架する方法である。短い標識柱からは、標識を取り付ける別の標識柱とをアーム金具で接続する。

直接型共架金具は以下の写真のようなものである。この金具に標識を取り付ける標識柱を直接取り付けることもあり、その場合は長さの短い直接共架となる。

仕様は都道府県ごとに決まっている
どちらの共架方式を取るかは都道府県によって決まっている。交通標識の仕様書は各都道府県や市区町村などの設置者に委ねられており、共架方式を始めとして交通標識には都道府県ごとにいろいろなバリエーションが存在する。
仕様書の例: 道路標識制作仕様書 (岐阜県警察本部)

北海道では斜めの電柱に共架するための特殊な金具も使われている。

東京の銀座・京橋・日本橋地区を走る銀座通り・中央通りのデザイン街路灯に共架されている道路標識は東京都の間接共架ではなく直接共架に近い特殊金具になっている。

参考: 過去のその他の方式
京都府では、1990年代に電柱等に共架された公安委員会の標識は、曲がった標識柱の一端を電柱に共架する方式であった。

2000年代までは残っていたようであるが、現在ではほぼ更新されてしまっている。

1999年、京都・河原町 pic.twitter.com/cirekAx0mz
— ちょっと昔の日本の景色bot (@japan80to00) February 23, 2023
千葉県でもかつての京都府の共架方式と似た方式が、いまも残っている。京都方式と異なるのは、標識柱を支えるアームが別途ついていることである。


都道府県ごとの共架方式
以下は、Google ストリートビューで都道府県庁所在地や主要都市にある標識を確認したものである。
北海道: 直接共架 (中以下の長さのものが多い、共架金具使わないケースも有り)
青森: 直接共架 (中以下の長さのものが多い)
岩手: 直接共架
宮城: 直接共架
秋田: 直接共架
山形: 直接共架
福島: 直接共架
茨城: 間接共架
栃木: 間接共架
群馬: 間接共架
埼玉: 間接共架
千葉: 間接共架
東京: 間接共架
神奈川: 直接共架 (短)、ごく一部に間接共架
新潟: 直接共架 (中以下の長さのものが多い)
富山: 直接共架
石川: 直接共架
福井: 直接共架
山梨: 直接共架
長野: 直接共架
岐阜: 直接共架
静岡: 直接共架
愛知: 直接共架
三重: 直接共架
滋賀: 直接共架
京都: 直接共架
大阪: 直接共架 (短、共架金具使わないケースも有り)
兵庫: 直接共架
奈良: 直接共架 (短、共架金具使わないケースも有り)
和歌山: 直接共架 (短)
鳥取: 直接共架
島根: 直接共架
岡山: 直接共架
広島: 直接共架
山口: 直接共架
徳島: 直接共架
香川: 直接共架
愛媛: 直接共架
高知: 直接共架
福岡: 直接共架
佐賀: 直接共架
長崎: 直接共架
熊本: 直接共架
大分: 直接共架
宮崎: 直接共架
鹿児島: 直接共架 (短が多い)
沖縄: 直接共架

直接共架 (本来は間接共架に使う短い金具)と間接共架が混ざっている例
(歩道の標識や古い標識は間接共架になっている場合もある)

ひとつの短い直接共架金具で標識柱の下を支えて設置している。
間接共架は、東京を含む一都五県で採用されているが、全国的には直接共架のほうがメジャーである。
状況を日本地図にプロットしてみたので掲示する。
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ちなみに、電柱に共架する場合は、年額1,000円程度の費用が発生する。一方、標識柱自体の価格は1~2万円だが、コンクリートを使っての基礎工事を入れると10万円単位になり、標識の耐用年数を考えても、共架するほうが割安になるようだ。
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