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【客単価を上げる!】ガソリンスタンドの顧客管理と心理的リアクタンス

1.顧客管理と心理的リアクタンス


 以下の記事で、車両ナンバー情報と接客履歴を紐づけて管理する顧客管理システムの作成方法について述べました。

 この仕組みは、店頭にエクセルがダウンロードされたパソコンがあれば、簡単に導入できます。ただし接客の都度、車両ナンバー情報と接客履歴をメモとして残すことが前提となり、スタッフに新たな負荷が発生することから、メモを取ることに対して消極的になってしまうケースがあります。

 そこで、リーダーはこのようなスタッフが持つ「心理的リアクタンス」を理解して、積極性を引き出す必要性があります。当記事では、新たな取組みで業績を伸ばそうとしている現場リーダーに向けて「心理的リアクタンス」の内容とその対応を述べていきます。

2.私がガソリンスタンドの顧客管理と心理的リアクタンスについて述べる理由

 私がガソリンスタンドの顧客管理と心理的リアクタンスを述べる理由は、ガソリンスタンドの実務経験とその中で得た教訓があるためです。

 私は現在、中小企業診断士として経営コンサルティングを仕事としていますが、かつてガソリンスタンドを運営する企業に21年間勤務し、そのうち13年間は店長を務めました。

「ガソリンスタンドの事例を紹介するよ」

 店長として自店舗に新たな取組みを導入しようとすると、大なり小なりスタッフの抵抗に遭遇するものです。この抵抗を「心理的リアクタンス」と呼びますが、これを押さえつけるのではなく、まずはそれを認めることが、スタッフの協力を得る第一歩となります。では、まず「心理的リアクタンス」の内容について述べていきます。

3.心理的リアクタンスとは

 心理的リアクタンスとは、個人の自由や自己決定権が制限されたり強制されたりするときに生じる心理的反発を指します。具体的には、自由が侵害されたと感じた時に、反発しその制限を回避しようとする心理的な反応です。

 例えば、帰宅したら勉強しようと思っていた子どもが、「ただいま」と帰ってきた際に、親から「勉強しなさいよ」と強制された場合、勉強したくなくなってしまう心理を言います。

「『勉強しなさい』は逆効果になることも」

 では、この「心理的リアクタンス」がガソリンスタンドのスタッフにどう作用するのでしょうか。

4.ガソリンスタンドにおける顧客管理で生じる心理的リアクタンス

 ガソリンスタンドにおいて、店長がスタッフに「メモを取りなさい」と指示を出したとします。このように、外部からの指示で行動を強いられると、自分の自由や決定権が侵害されたと感じることがあります。

 つまり、普段は直感や経験に基づいて接客し、顧客管理の必要性を深く理解していないスタッフが、顧客管理のために接客履歴についてメモを取ることを強制されると、「自分の仕事の進め方が否定された」と感じるということです。

 このような状況では、指示に対して反発心を抱き、メモを取ることを避けることがあります。このようなケースはベテランスタッフに多く見られ、リーダーは手を焼きがちです。では、どのように接するべきでしょうか。

5.承認による心理的リアクタンスへの対応

 心理的リアクタンスを抑えるために、私がガソリンスタンドで実践していたのは「行動の承認」を積極的に行うことでした。承認は、スタッフの行動に対して具体的なフィードバックを与え、適切な行動を強化する非常に有効な方法です。

 例えば、スタッフメモを取った場合、その努力や結果を具体的に認めることが重要です。私が行っていたのは、メモを取ったスタッフに対して、以下のような言葉を掛けることでした。

「メモを取ってくれたんだね。」
「今日は10件のメモを記録してくれたね。」

 承認する際には、具体的な事実を指摘することがより効果を高めます。「今日は10件メモしてくれた」というような事実を承認すると、彼らは上司がきちんと事実に目を向け、関心を持ってくれていると感じやすくなります。このようなフィードバックは、行動をより定着させ、継続させるために大きな効果を発揮します。

 このようにして、承認の積み重ねがスタッフのモチベーションを高め、次第にメモを取ることが「負担」ではなく「達成感」を伴う行動に変わっていきました。これにより、スタッフは次第に自発的にメモを取るようになっていきました。

「承認という報酬を得たのであった」

 結果として、顧客管理システムが機能し、接客の高度化が図られ、実績拡大に繋がっていきました。

6.【客単価を上げる!】ガソリンスタンドの顧客管理と心理的リアクタンスのまとめ

 ガソリンスタンドにおける顧客管理システムの導入には、心理的リアクタンスの理解とその対策が重要です。スタッフが新たな取り組みに対して心理的な反発を示す場合、その背景には「自由の制限」や「自己決定権の侵害」があります。

 これに対処するために、スタッフが新しい取り組みに応じた際には、具体的でポジティブなフィードバックを行うことが重要です。スタッフが望ましい行動を強化することで、心理的な抵抗感が和らぎ、取り組みがスムーズに進行します。

 顧客管理システムを通じて得られる精度の高いデータは、より効果的な接客や売上向上に繋がります。心理的リアクタンスを克服し、スタッフ全体の協力を得ることで、ガソリンスタンドの顧客単価を上げるための基盤をしっかりと築くことができるでしょう。

 なお、個別のガソリンスタンドにおける生き残り策のご相談も受け付けています。以下のリンクからお気軽にご相談ください。

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