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持続化補助金に採択された飲食店の事例から学ぶ計画書の書き方②

 新型コロナウイルス感染症の影響は、飲食店の時短営業や営業の自粛へと繫がり、それに応じた店舗には協力金が支給され、自店の売上をはるかに超える金額が支給されるケースも多発しました。この場合、協力金は仕入が発生しませんので利益も大幅に上昇しますが、これが恐ろしいのは店舗の成長が阻害されやすくなるということです。

 適正な営業時間の下で営業をしていれば、顧客が訪れ、様々な顧客ニーズを把握するきっかけが得やすくなり、それを満たすためにどうすればよいのだろうといった問題意識も生まれやすくなります。時短営業・営業自粛はこのような機会が発生しにくくなることが想定されます。

 このように、顧客の声に触れ、顧客ニーズを検討するということは重要であると言えますが、今回見ていく<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」には、自社が把握した顧客ニーズや、市場の動向として様々な外部環境を記載することになります。

 前回の記事で取り上げた飲食店は、店舗の改装と販促物の充実を補助事業として申請し、無事採択されました。今回も同店の計画書をもとに、どのようにして当欄を記載するべきかを見ていきます。

1.持続化補助金に採択された飲食店の事例から学ぶ計画書の書き方【顧客ニーズと市場の動向】編

持続化補助金に採択された飲食店の事例から学ぶ計画書の書き方【顧客ニーズと市場の動向】編(1)当欄を切り分ける

 当欄のタイトルは「顧客ニーズと市場の動向」ですから、当然のことながら「顧客ニーズ」と「市場の動向」を記載するわけですが、これらをまとめて記載しようとすると、内容が混在しがちとなり、冗長性が高まってしまい、内容が伝わりにくくなるリスクが発生します。

 そこで同店では【顧客ニーズ】、【市場の動向】といった見出しを当欄に設け、内容を切り分けやすくしました。当然のことながら【顧客ニーズ】という見出しの下には「顧客ニーズ」を、【市場の動向】という見出しの下には「市場の動向」を記載しますが、見出しと内容にズレがないように留意したのは言うまでもありません。

持続化補助金に採択された飲食店の事例から学ぶ計画書の書き方【顧客ニーズと市場の動向】編(2)人口の推移を記載する

 同店は「市場の動向」として、同店が立地する市の人口とその伸び率を5年刻みで過去20年間にわたって記載しました。これは同店の商圏が当市であり、商圏人口を把握することで今後の取り組みの妥当性を検討する狙いがありました。

 同店の場合、商圏人口が減少傾向でしたので、その数少ない人口を取り込むべく、店舗の未利用部分を利用できるようにすることや販促活動を強化することにより、生き残りを図る必要があるという形で、市場の動向の内容と補助事業の内容が繋がっていくことになります。

持続化補助金に採択された飲食店の事例から学ぶ計画書の書き方【顧客ニーズと市場の動向】編(3)競合の動向を記載する

 同店は「市場の動向」として人口の推移の他に、競合の動向を記載しました。具体的には、店名・住所・URL・特徴を一覧表にしましたが、この「特徴」は自店から見た主観的なものを記載しました。ですが、概ね間違った見方にはなっていないように感じました。

 今回見ている「2.顧客ニーズと市場の動向」の次には「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」という欄がありますが「強み」は競合と比較した差別的優位性ですから、競合のことを記載することにより、比較対象が明確になりますので、記載した「強み」は説得力を高めることになります。

 今回は<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」の書き方におけるポイントとして(1)当欄を切り分ける、(2)人口の推移を記載する、(3)競合の動向を記載する、を述べました。次回は「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。

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