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ホームページ刷新をきっかけに新規事業を立案!経営革新計画を策定した看板制作企業の事例
1.新規顧客からの失注とその原因
店舗用看板の制作を手掛ける同社は、ある日、長年お付き合いのある顧客から、新たな顧客を紹介していただきました。この新規顧客は、特定のデザインと機能を持つ看板の制作を希望していました。
そこで同社は、新規顧客の要望に応じて、詳細な提案書と見積もりを準備しました。しかし、最終的には他の業者に発注されてしまいました。
失注の理由を探ったところ、その顧客が同社について「ホームページが古いので、いい看板を作れるか不安を感じた」と述べていたという情報を得ました。実際、同社のホームページはかなり昔に作ったものであり、一切更新はしておりませんでした。これが、同社ではなく他社に発注した大きな理由でした。
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この経験を教訓に、同社はホームページのリニューアルを決意しました。最新のデザインとユーザビリティを追求し、情報の更新頻度も高めました。この取組みが、新規事業の立案に繋がります。
2.新規事業の立案と実施
同社は、ホームページ刷新を機に、新たな事業の展開を検討しました。
それまでの同社は、取引先の看板設置業者から注文を受け、看板を制作し、発注した看板設置業者に納品していました。この業者が最終ユーザーの店舗に看板を設置します。このビジネスフローを見直すことにしました。
立案した新規事業は、同社が最終ユーザーである店舗から注文を受け、看板を制作し、発注した店舗に同社が看板を設置するというものです。ただし、既存取引先である看板設置業者と顧客の取り合いが発生しないように、ターゲットとする商圏や業界を棲み分けるようにしました。
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これは、新たなホームページで新規事業をより強く訴求できると判断した結果です。さらに、中間に業者が介在しないことや、看板設置にかかる費用の一部を補助金で賄えるように提案することによって、最終ユーザーの負担軽減を目指したものです。
同社はこれらの取組みを経営革新計画にまとめました。
3.経営革新計画の策定
経営革新計画は、以下に示したような従来の事業とは異なる新しい取り組みによって、経営の相当程度の向上を実現することを目的としています。
新商品・新サービスの開発・提供
既存商品・サービスの販売・提供方法の革新
新たな事業分野への参入
その他、従来の事業とは異なる独創的な事業活動
このような新規事業をテーマとした経営革新計画を作成し、都道府県の審査を経て承認を得ることで、以下のメリットを享受することができます。
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低利融資が受けやすくなる:金融機関の低利融資の審査を受けることが出来、資金調達を円滑化することができます。
販路開拓の支援を受けられる:販路開拓のための情報提供など、行政機関による支援を受けることができます。
補助金に採択されやすくなる:経営革新計画の承認を得た事業であれば、ものづくり補助金の審査で加点を得られます。
4.専門家派遣制度の活用
なお、経営革新計画の策定について、十分な専門知識がない方、客観的な視点を取り入れたい方などを対象に商工会・商工会議所では、会員企業を対象に経営革新計画策定を無料で支援する専門家派遣制度があります。当制度の活用は以下のメリットが期待できます。
新たな視点を取り入れ、質の高い計画を作成できる
専門家の豊富な経験と知識を活用できる
自社だけでは気づけない課題を発見できる
計画策定の効率化と時間短縮につながる
当制度を利用するには、お近くの商工会・商工会議所へ専門家派遣の申込をします。商工会・商工会議所が、貴社の課題に合った専門家を選定し、日次調整の上、経営革新計画策定の支援が受けられます。企業側から専門家を指定することも可能です。
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当社はこの制度を活用して、経営革新計画を策定しました。
5.まとめ
今回の事例は、店舗用看板制作企業がホームページの刷新をきっかけに、新たな事業を展開した実例です。
ホームページの更新は、企業の信頼性を高め、新規顧客の獲得に直結する重要な要素です。そして、新規事業の立案は、既存のビジネスモデルにとらわれず、顧客のニーズに応える革新的な取り組みを可能にします。さらに、経営革新計画を策定することで、融資や販路開拓、補助金の面で多くのメリットを享受できます。
商工会・商工会議所の専門家派遣制度を活用することで、無料で専門的なアドバイスを受け、質の高い計画を作成することができます。この制度は、企業の新たな挑戦を支援し、経営の発展を強力にサポートします。
経営革新計画の策定により、新しい視点を得て、未来への一歩を踏み出しましょう。