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持続化補助金の採択で店舗改装をしたケーキ店の計画書作成事例⑥

 これまで5回にわたって、システム開発を主たる事業としている事業者が、新規事業としてケーキ店を開設するために小規模事業者持続化補助金に採択された事例を用いて、採択を引き寄せる計画書の書き方をご紹介してきました。

 最終回の今回は<補助事業計画>の「4.補助事業の効果」の書き方を見ていきます。当欄の前段階「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」欄で、補助金をどのように活用するのかといった内容を具体的に述べるわけですが、それらによってどのような効果が見込めるのかが明確になって、初めて補助金を使う有効性が分かるはずです。

 そのような意味では、当欄も採択に大きな影響を及ぼすはずですが、ケーキ店を開設した同社はどのように記載したのか、以下に示していきます。

1.持続化補助金の採択で店舗改装をしたケーキ店の計画書作成事例⑥

持続化補助金の採択で店舗改装をしたケーキ店の計画書作成事例【補助事業の効果】編(1)中長期的な効果を見込む

 同社はシステム開発に高い専門性を持っています。よって、ケーキの製造・販売を通じて、店舗で商品が売れていくシステムを構築しようとしており、新規に開設するケーキ店は、同社のパイロットショップ的な位置づけとなっていました。

 このことは、短期的な効果としてはケーキの製造販売によって同社の売上が向上しますが、中長期的な効果としては、小売業をターゲットとした売れるシステムの開発ができることを意味します。

 補助事業の効果を「売上が上がる」「顧客が増える」といった直接的かつ短期的なものとしてしまう例が多い印象がありますが、同社のように戦略的に効果を考え、中長期的な効果を狙ったことも採択を引き寄せたポイントと考えられます。

持続化補助金の採択で店舗改装をしたケーキ店の計画書作成事例【補助事業の効果】編(2)ターゲットに応じた効果を示す

 同社のケーキ店におけるターゲットは、美味しく健康的なケーキを求める消費者です。これに対して、ケーキ店の運営を通じて開発したシステムを販売するターゲットは、小売業を展開する事業者になります。

 よって、同社は補助事業展開による「顧客の効果」として「ケーキを購入する消費者の効果」と「システムを購入する店舗事業者の効果」という2種類の効果を記載しました。

 このように、短期的な視点だけに捉われず、中長期的な事業展開におけるターゲットの効果も記載し、より戦略的な取組であることを訴求した点も採択を引き寄せたポイントと考えられます。

持続化補助金の採択で店舗改装をしたケーキ店の計画書作成事例【補助事業の効果】編(3)社会的な効果も記載する

 ここまで、自社と顧客の効果を見てきましたが、補助金という公的資金を活用する者としては、自社の取引先以外の方々に及ぼす効果も検討したいところです。ここで同社が着目したのは、新型コロナウイルス感染症の影響です。

 これにより、ビジネスマンが取引先に直接訪問する機会が減少し、訪問時に持っていく贈答用の生菓子に対する需要も減少してしまいました。このことは苦境に陥ったケーキ店の増加が想定されます。そこで、同社の売れるシステムを導入することで該当する店舗が活性化することが想定されます。

 この点は「顧客の効果」として記載することも可能ですが、新型コロナウイルス感染症というキーワードを用いて「社会的な効果」の色を強めました。

 また、同社はケーキの通信販売も実施するため、非対面販売が新型コロナウイルス感染者の増加を防ぐことも期待できます。

 ここまで6回にわたって同社の事例を採り上げ、採択の可能性を高める計画書作成のポイントを述べてきました。各回で述べたポイントは以下の通りですが、小規模事業者持続化補助金の採択を目指す方々の参考になれば幸甚です。

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