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持続化補助金に採択された学習塾の事例から学ぶ計画書の書き方③

 「うちには強みなんてありません」かつて、このような発言をした経営者がいましたが「強み」とは顧客に価値を与えることができ、競合と差別的優位性のある経営資源と表現することができます。よって、それがあることで顧客が自社を利用する理由が発生し、自社が存在し続けることが可能になります。

 にもかかわらず、自社の強みを正しく認識していない事業者は、冒頭の経営者含め相当数存在している印象があります。弊社では、業績の大小にかかわらず事業を継続できている以上、その事業者には強みが必ずあると信じてご支援に当たっています。

 今回見ていく<経営計画>「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」には、顧客に価値を与えることができ、競合と差別的優位性のある経営資源を列挙することになりますが、採択の可能性を上げるには、そのいずれかを活用した補助事業を展開していくというストーリーが必要になります。

 今回も前回に引き続き、当補助金に採択された学習塾の計画書作成プロセスを参考に、当欄を記載するポイントを見ていきます。

1.持続化補助金に採択された学習塾の事例から学ぶ計画書の書き方【自社や自社の提供する商品・サービスの強み】編

持続化補助金に採択された学習塾の事例から学ぶ計画書の書き方【自社や自社の提供する商品・サービスの強み】編(1)切り口を明確にする

 前述の通り弊社では、強みを顧客に価値を与えることができ、競合と差別的優位性のある経営資源と定義していますが、経営資源の構成要素として「人」「物」「金」「情報」が挙げられます。

 よって、同社は当欄に「金」つまり「財務的資源」を除いた「人的資源の強み」「物的資源の強み」「情報的資源・ノウハウの強み」という見出しを設けて、自社の強みを述べていました。具体的な内容は以下になります。

  • 人的資源の強み:経営者や勤務する講師のスキル・人脈・知名度

  • 物的資源の強み:事業に使用する建物の立地条件や導入しているシステム

  • 情報的資源・ノウハウの強み:受発信したり管理したりする情報の質と量

持続化補助金に採択された学習塾の事例から学ぶ計画書の書き方【自社や自社の提供する商品・サービスの強み】編(2)結果を強みにしない

 同社が記載した強みの中には「質の高い授業を提供できる」という内容のものがありました。ですが「質の高い授業を提供できる」ということはあくまでも結果であり、なぜ「質の高い授業を提供できる」のかを検討する必要があります。

 つまり、どのような経営資源があるから「質の高い授業を提供できる」のかを認識する必要があるということであり、その経営資源が同社の強みであるということになります。これを踏まえて同社には強みを再度洗い出していただきました。

持続化補助金に採択された学習塾の事例から学ぶ計画書の書き方【自社や自社の提供する商品・サービスの強み】編(3)競合と比較する

 同社は、新聞折込チラシを用いて集客力を高めていることを強みとして挙げていましたが、強みは差別的優位性を有している必要があります。よって、競合も新聞折込チラシで集客力を高めているのであれば、差別的優位性があるとは言えないことになります。

 よって、チラシの折込枚数やチラシに掲載した内容の充実度など、競合と比較して有利になっている点を強みとして挙げる必要があるでしょう。もしそれが見当たらないとしたら、強みとして記載することは避けた方が賢明です。

 差別的優位性があるということは、競合よりも抜きん出ているということですから、それを強化したり活用したりすれば、より競合に差をつけ、市場での存在感をより大きくすることができます。よって、競合と比較して差別的優位性の有無を検証する必要があり、同社にはその作業を行っていただきました。

 今回の記事では、持続化補助金に採択された学習塾の事例から<経営計画>「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」欄記載のポイントとして(1)切り口を明確にする、(2)結果を強みにしない、(3)競合と比較する、を挙げました。次回は「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見ていきます。

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