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持続化補助金に採択された不動産業の事例に見る計画書の書き方(2)

 私たちは、気温が上がると薄着になり、気温が下がると厚着をしますが、このように気温に応じた服装をすることで、快適さや健康状態を保って生きています。気温が上がっても厚着をしていると、過度な発汗や体温の上昇で体調を崩すでしょうし、気温が下がっても薄着をしていると、体温が奪われてやはり体調を崩すでしょう。

 同様に外部環境の変化に応じて、経営も変えていく必要があることは言うまでもありません。気が付いていたら外部環境が変わっていたということでは、遅きに失する状況になってしまうことも十分に考えられます。

 今回見ていく、持続化補助金を申請する際に提出する計画書の<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」は、この外部環境を説明する欄であり、その内容を踏まえて今後の計画を立案する必要があります。

 今回の記事では、当欄に具体的に何をどのように記載するべきか、当補助金に採択された不動産業の事例から、そのポイントを見ていきます。

1.持続化補助金に採択された不動産業の事例に見る計画書の書き方【顧客ニーズと市場の動向編】

持続化補助金に採択された不動産業の事例に見る計画書の書き方【顧客ニーズと市場の動向編】①見出しを設ける

 当欄に限りませんが、見出しを設けることによって、読み手は見出しを見れば、そこに書いている内容が把握できるため、読みやすさの向上が期待できます。読みやすいということは理解しやすくなることに繋がり、採択にポジティブな影響を及ぼすでしょう。

 同社は当欄のタイトルを活かした【顧客ニーズ】と【市場の動向】という見出しの他に【競合の動向】という見出しを設けました。なぜ当欄のタイトルに含まれていない【競合の動向】という見出しを設けたのか、次で説明します。

持続化補助金に採択された不動産業の事例に見る計画書の書き方【顧客ニーズと市場の動向編】②「強み」の根拠を述べる

 今回見ている「顧客ニーズと市場の動向」の次には「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」という欄がありますが、この欄で記載する「強み」は、競合と比べて優れている経営資源を指すと考えています。よって、比較対象となる競合の動向を計画書に盛り込むことは、記載した「強み」の説得力向上が期待できます。

 そして、競合の動向は外部環境ですので、同社はその内容を「顧客ニーズと市場の動向」に盛り込みました。なお、マーケティング環境を分析する際に用いる観点として「3C分析」があります。

 この3Cとは、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の頭文字を取ったものですが、Customer(市場・顧客)とCompetitor(競合)の動向を「顧客ニーズと市場の動向」に、Company(自社)が持つ強みを「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」に記載することで、3C分析が成立することになります。

持続化補助金に採択された不動産業の事例に見る計画書の書き方【顧客ニーズと市場の動向編】③外部環境を踏まえた今後の方向性を述べる

 同社は、記載した【市場の動向】と【顧客ニーズ】を踏まえて、今後どのようなサービスを展開すると需要を取り込むことができるのかという内容を記載しました。単に外部環境を記載するだけではなく、このように今後の方向性を決める材料として活用するからこそ、外部環境を分析したことになります。

 そして、その内容が<経営計画>「4.経営方針・目標と今後のプラン」に反映されることになりますが、これは公募要領に記載のある審査項目「経営方針・目標と今後のプランの適切性」の中の「経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。」「経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。」を満たすことになり、採択を引き寄せたポイントと言えるでしょう。

 今回は持続化補助金の採択を引き寄せる<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」の記載ポイントとして、①見出しを設ける、②「強み」の根拠を述べる、③外部環境を踏まえた今後の方向性を述べる、を挙げました。次回は「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。

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