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持続化補助金に採択された美容室の事例から学ぶ計画書の書き方②

 「経営者が6割以上の時間を経営・マネジメントに充てている企業は、6割未満の企業よりも売上高増加率が高い」

 2022年度中小企業白書の第2部「新たな時代へ向けた自己変革力」内「経営者が経営・マネジメント業務に充てる時間」では、上記の分析結果が公表されています。とはいえ、事業の規模が小さければ小さいほど、その事業者の経営者は現場で仕事をする時間が増え、なかなか経営・マネジメントに時間を使えないのが実情です。

 この「経営・マネジメント」のひとつに外部環境分析があります。外部環境は日々変わっていきますので、その変化に対応した事業を展開しなければ、どんなに現場で汗を流しても、生き残ることは厳しくなるはずです。

 小規模事業者持続化補助金に申請する際に作成する<経営計画>の中で、今回見ていく「2.顧客ニーズと市場の動向」は、外部環境がどうなっているのかを説明する欄であり、これをきっかけに外部環境に対するアンテナを立てることが望まれます。

 今回の記事では、小規模事業者持続化補助金に採択された美容室の事例から、当欄をどのように記載するべきか、そのポイントを見ていきます。

1. 持続化補助金に採択された美容室の事例から学ぶ計画書の書き方【顧客ニーズと市場の動向】編

持続化補助金に採択された美容室の事例から学ぶ計画書の書き方【顧客ニーズと市場の動向】編(1)既存事業の競合動向を述べる

 同店から50m圏内には2店の同業者が事業を展開していました。そこで、同店は当欄にこの2店の状況を詳しく記載しました。そして、さらに範囲を広げ、800m圏内に立地する同業者の客層、客単価、メニュー構成を一覧にして当欄に盛り込みました。

 これら競合と比較して優れている経営資源が自社の強みになり、これは次回見ていく「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」に記載することになります。よって、比較対象を分析することは自社の強みの適切性が高まることになるため、既存事業の競合動向を記載した同店が採択を引き寄せたポイントのひとつと考えられます。

持続化補助金に採択された美容室の事例から学ぶ計画書の書き方【顧客ニーズと市場の動向】編(2)新規事業の競合動向を述べる

 同店は新規事業を立ち上げるために店舗改装を行い、その費用の一部を当補助金から調達しようとしていました。よって、新規事業の有望性を把握するために、新規事業における外部環境も把握する必要があり、商圏内に同様の事業を展開している事業者がどの程度存在するのかを一覧表にして盛り込みました。

 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、新規事業を立ち上げる事業者が多い印象がありますが、既存事業の外部環境だけを記載し、新規事業のそれを記載していない計画書が散見されます。同店は、既存事業だけでなく新規事業の外部環境も把握して記載しましたが、そのことも採択を引き寄せたポイントのひとつと考えられます。

 なお、採択事例の多くは当欄に市場規模や商圏内の人口動向といったマクロ環境と呼ばれる内容も記載していますが、同店の場合は競合動向と次に述べる顧客ニーズといったミクロ環境のみを記載して採択されたという特徴があります。

持続化補助金に採択された美容室の事例から学ぶ計画書の書き方【顧客ニーズと市場の動向】編(3)顧客ニーズを定義する

 当欄のタイトルは「顧客ニーズと市場の動向」ですから「顧客ニーズ」と「市場の動向」を述べる必要があります。同店は「市場の動向」として競合動向を述べましたが、これだけでは片手落ちになってしまいますので「顧客ニーズ」も記載します。

 ここで、顧客ニーズとして「顧客からいただいた声」を記載するケースが散見されますが、同店では顧客ニーズを「同店を利用することによって達成したい顧客の目的」と定義づけ、顧客からいただいた声やその動向から同店が汲み取った内容を顧客ニーズとして記載しました。

 今回の記事では持続化補助金に採択された美容室の事例から、採択を引き寄せる<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」の書き方として(1)既存事業の競合動向を述べる、(2)新規事業の競合動向を述べる、(3)顧客ニーズを定義する、を挙げました。次回は「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。

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