持続化補助金に複数回採択された流通業の計画書作成事例⑤
これまで4回にわたって制服や作業着の卸売・小売を営む企業を事例として取り上げ、採択を引き寄せる計画書の書き方を見てきました。具体的に1回目では<応募者の概要>、2回目では<経営計画>「1.企業概要」、3回目では「2.顧客ニーズと市場の動向」、4回目では「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見てきたわけですが、これらの内容は主に現状分析でした。
これに対して今回取り上げる<経営計画>「4.経営方針・目標と今後のプラン」の内容は、今後の事業展開に関する内容であり、下図公募要領内の「審査の観点」における書面審査の項目にも記載があるように、現状の分析結果を踏まえる必要があります。
このように、これまでの現状分析を踏まえて「経営方針・目標と今後のプラン」を記載していく必要があるわけですが、今回の記事では、同社はどのように当欄を記載して2度目の採択を掴み取ったのかを示していきます。
1. 持続化補助金に複数回採択された流通業の計画書作成事例「経営方針・目標と今後のプラン」編
持続化補助金に複数回採択された流通業の計画書作成事例「経営方針・目標と今後のプラン」編(1)3つに切り分ける
当欄のタイトルは「経営方針・目標と今後のプラン」ですが、これらをまとめて述べようとすると内容が冗長になり、伝えたいことが伝わりにくくなるリスクが高まってしまいます。そこで同社では【経営方針】【目標】【今後のプラン】と3つの見出しを設け、当欄の内容を切り分けて記載するようにしました。
持続化補助金に複数回採択された流通業の計画書作成事例「経営方針・目標と今後のプラン」編(2)経営理念を盛り込む
経営理念は「自社が存在する理由」と言い換えることができますが、同社は【経営方針】という見出しの下に経営理念を盛り込み、その上で経営方針を示しました。
ここでのポイントは、経営方針が経営理念に則ったものであるかどうかという点です。経営方針が、自社の存在意義に則っていないということは、自社の基本的な考え方から外れているわけで、有効に機能しないリスクが高まってしまいます。
持続化補助金に複数回採択された流通業の計画書作成事例「経営方針・目標と今後のプラン」編(3)目標には期限を設ける
同社は【目標】という見出しの下、3年後に達成する売上高を盛り込みました。単に達成したい売上高を述べるのでは「いつまでに」達成するのかという視点が抜けており、目標達成は困難と言えるでしょう。よって「いつまでに」達成するのか、その期限を明確に示しました。
持続化補助金に複数回採択された流通業の計画書作成事例「経営方針・目標と今後のプラン」編(4)今後のプランには時間軸を設ける
同社は【今後のプラン】という見出しの下、縦軸に今後とるべき行動を、横軸に3年の時間軸をとった表を盛り込み、いつ何を行うのかが明確に分かるようにしました。この横軸は1年を四半期に分割し、より具体性を高めました。
【今後のプラン】で頻繁に見かける残念な例は、今後とるべき行動は示されていても、いつそれを行うのかという時間の概念がないケースです。【今後のプラン】は計画ですから、時間の概念は当然に盛り込まれるはずです。数年先の行動を具体的にすることは困難かもしれませんが、せめて時間の概念だけは設けないと、計画として機能しにくくなってしまうでしょう。
今回の記事では、複数回採択された事業者の事例を用いて<経営計画>「経営方針・目標と今後のプラン」のポイントとして、(1)3つに切り分ける、(2)経営理念を盛り込む、(3)目標には期限を設ける、(4)今後のプランには時間軸を設ける、を挙げました。次回は引き続き<補助事業計画>「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」記載のポイントを見ていきます。
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