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持続化補助金に採択された居酒屋の補助事業計画書から学ぶ「補助事業の効果」の書き方

1.持続化補助金に採択された居酒屋の補助事業計画書から学ぶ「補助事業の効果」の書き方


 小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)は、小規模事業者が販路開拓や生産性向上を図るために必要な広報費や委託・外注費などの経費の一部を補助する制度です。今回の記事では、当補助金に採択された居酒屋の補助事業計画書を参考に「補助事業の効果」の書き方について解説します。

 「補助事業の効果」は、補助金を使うことによって、どのような効果を見込んでいるのか、つまり、自社に補助金を交付する価値を訴求する欄であり、丁寧かつポイントを押さえて記載することが採択の可能性を高めると言えます。

 「補助事業の効果」の書き方の具体的なポイントは、①適切な見出しを設ける、②方針・目標との関連を示す、③顧客が得られる価値を示す、④地域経済に対する影響を示す、です。以下で詳しく見ていきます。

■持続化補助金に採択された居酒屋の補助事業計画書から学ぶ「補助事業の効果」の書き方:ポイント①適切な見出しを設ける

 同店は、当欄に(1)自社の効果、(2)顧客の効果、(3)社会的な効果、という3つの見出しを設けました。これは、近江商人が守り続けてきた商いの心得「三方よし」を意識したものです。

 「三方よし」とは、売り手、買い手、社会の三者すべてが利益を得られる商売をすること、つまり、すべての人に利益をもたらす事業を目指す考え方であり、多くの企業で取り入れられています。

 同店は、これを踏まえて見出しを設けたわけですが、見出しが設定されていない、もしくは見出しが不適切であると、読み手である審査員は、内容の要点が把握できず、記載内容に興味を抱けないリスクが高くなってしまいます。

 また、見出しは文章の視覚的な要素でもありますので、見出しを設けないと文章のメリハリがつかず、読みにくくなってしまうリスクも発生してしまいます。よって、同店が適切な見出しを設けたことは、不採択のリスクを低下させ、採択を引き寄せたポイントのひとつと言えるでしょう。

■持続化補助金に採択された居酒屋の補助事業計画書から学ぶ「補助事業の効果」の書き方:ポイント②方針・目標との関連を示す

 同店は「補助事業の効果」として、自社の効果を複数記載しましたが、その中に、経営計画の「経営方針・目標と今後のプラン」に記載した方針と目標が達成できることを述べました。これは、下に示した公募要領「審査の観点」内「書面審査」の赤枠部分を意識したものです。

小規模事業者持続化補助金<一般型>第13回公募 公募要領より抜粋(一部加工)

 上図の赤枠部分は、補助事業の実施によって、経営計画「経営方針・目標と今後のプラン」に記載した、方針と目標が達成できることを記載しないと、補助事業計画が有効と判断できないと述べているとも解釈できます。

 よって、この審査項目を意識して自社の効果を記載したことは、不採択のリスクを低下させ、採択を引き寄せたポイントのひとつと言えるでしょう。

■持続化補助金に採択された居酒屋の補助事業計画書から学ぶ「補助事業の効果」の書き方:ポイント③顧客が得られる価値を示す

 同店の補助事業には、ホームページの作成・公開やチラシの作成・配布が含まれ、これを実施することによって、自社の強みをより多くのターゲット顧客に知らせることができます。

 このことは、ターゲット顧客にとって、自身が持つニーズを叶えてくれる店舗を知ることが出来るということであり、これが、当補助事業で顧客が得られる価値のひとつとなります。そして、このことが顧客の増加を通じた業績拡大に繋がっていくでしょう。

 よって、補助事業の効果として、顧客が得られる価値を示さないと、業績の拡大は見込みにくくなり、不採択のリスクを高めてしまいます。同店が、顧客の得られる価値を示したことは、そのようなリスクを低下させ、採択を引き寄せたポイントのひとつと言えるでしょう。

■持続化補助金に採択された居酒屋の補助事業計画書から学ぶ「補助事業の効果」の書き方:ポイント④地域経済に対する影響を示す

 同店は、補助事業を実施することによって、自店の活性化を通じ、競合他店の工夫が生まれ、当地域へ近隣地域から顧客が流入してくることが見込め、地域経済の活性化が期待できることを述べました。

 このような地域経済に対する影響を示さないと、補助金という公的資金を使う者としての相応しさが欠如していると判断され、不採択になるリスクを高めてしまいます。地域経済に対する影響を示したことは、そのようなリスクを低下させ、採択を引き寄せたポイントのひとつと言えるでしょう。

 以上、持続化補助金に採択された居酒屋の補助事業計画書から「補助事業の効果」の記載ポイントを4つご紹介しました。「補助事業の効果」は、自社の補助事業は補助金を使う価値があることを示す重要な項目です。

 ①適切な見出しを設ける、②方針・目標との関連を示す、③顧客が得られる価値を示す、④地域経済に対する影響を示す、というポイントに注意して、興味を持ってもらえるような計画書を作成しましょう。第13回持続化補助金の締切は、2023年9月7日(木)です。ぜひこの機会に挑戦してみてください。

■ロードサイド経営研究所ホームページ

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