窓拭きをやめるとどうなる？フルサービスのガソリンスタンドの新しい戦略
１．窓拭きをやめるとどうなる？フルサービスのガソリンスタンドの新しい戦略
多くのフルサービスのガソリンスタンドでは、給油中に車の窓を拭くというサービスを実施しています。しかし、窓拭きをすることにどのような意味があるのでしょうか？窓拭きをすることで、スタッフや顧客にどのようなメリットやデメリットがあるのか、考えてみましょう。
■窓拭きのメリットとデメリット
給油中に窓拭きをすることには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
【メリット】
スタッフは給油中に手持ち無沙汰感を抱かなくて済む。
顧客は窓拭きをされることで、スタッフの丁寧な対応を感じることができる。
【デメリット】
スタッフは窓拭きをすることで、油外商品の販売や他の作業に割くことができる時間を失う。
雑に拭かれたり、油で汚れたタオルを使用されたりすると、余計に窓が汚れる場合がある。
■窓拭きをやめることで得られる利益
窓拭きをすることには、メリットもありますが、デメリットも大きいことがわかります。では、窓拭きをやめることで、どのくらいの利益が得られるのでしょうか？
ここで、簡単な計算をしてみましょう。例えば、1日の販売量が5,000リットルのガソリンスタンドがあったとします。1台あたり平均給油量が20リットルとすると、1日の来店客は250台となります。この250台に対して窓拭きのための時間を1台に1分間使っていたとすると、250台×1分で250分、スタッフ全員で1日4時間強を費やしていることとなります。
つまり、窓拭きを止めることにより、1日約4時間以上が浮くことになります。多くのガソリンスタンドは、洗車やオイル、タイヤなどガソリン以外の油外商品の販売が課題です。しかし、窓拭きを止めると4時間以上の時間を油外商品の販売に充てることができます。
そして、毎日窓拭きをしないとしたら、4時間×31日で月間124時間の油外販売の機会が生じることになります。
窓拭きを省略し、油外販売の機会を作ってくれたお客様には、ガソリンや軽油などの燃料油を１リットル１円安くするとします。1日の販売量が5,000リットルで、全ての顧客が窓拭きをしないで済むとしたら、5,000円の利益を喪失します。ですが、1日４時間の油外販売の機会が新たに生まれることになり、タイヤ交換を1台、もしくは、オイル交換を2台受注できれば、5,000円を取り返すことは可能ではないのでしょうか。
さらにこの取組は、価格に拘る顧客の集客力向上に繋がります。特に雨の日は客足が落ちますので、「あそこのスタンドは雨の日に不要な窓拭きを断れば、代わりにガソリンが安くなる」という認識を植え付けることができれば、雨の日の集客力が向上することが期待できます。
■窓拭きをやめて儲かるガソリンスタンドになろう
以上のように、窓拭きをするかしないかの選択肢を与え、窓拭きをしない顧客に価格のメリットを与えることで、ガソリンスタンドの利益向上が期待できます。
窓拭きをやめても儲かるフルサービスのガソリンスタンドになるためには、以下のようなステップを踏むことが必要です。
天候に関わらず、顧客に窓拭きをしないことのメリットを説明する。例えば、「窓拭きをしないでいただくと、燃料油が１リットル１円安くなります」というポップやチラシを作る。
顧客に窓拭きをするかしないかを選択させる。例えば、「窓拭きは必要ですか？」と問いかける。
窓拭きをしないで済む顧客には、油外商品販売のアプローチを行う。例えば、「窓拭きを省略された時間を利用してタイヤの空気圧点検をしましょうか」と問いかける。
給油後に1リットル1円を値引いた額で会計をする。
このように、窓拭きをやめることで、ガソリンスタンドの利益を高めることができるかもしれません。もし、あなたがガソリンスタンドの経営者やスタッフなら、ぜひ試してみてください。窓拭きサービスが本当に必要か、考えてみましょう。
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