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持続化補助金に採択された理容店の事例から学ぶ計画書の書き方②

 「経営の神様」と呼ばれたパナソニック(株)の創業者である松下幸之助氏は、経営のポイントを「雨が降ったら傘をさす」と表現しました。雨が降ってきたら傘をさすことで、体が濡れることを防ぎ、不快度が高まらないようにしますが、それが風邪など疾病の予防に繋がります。

 つまり、外部環境の変化に対応をしないと、結局自分が損をするということですが、そのためにはまず外部環境の変化を認識することが必要です。雨が降ってきたことを知らないと傘をさす必要性を感じないからです。

 小規模事業者持続化補助金に申請する際に作成する<経営計画>の「2.顧客ニーズと市場の動向」欄には、自社の外部環境を記載しますが、日々の業務に追われて外部環境に目を向けることが困難な事業者が、この記載を行うことは、自社の外部環境を認識し、自社の取組がそれに沿ったものになっているかを検討する良い機会です。

 ただし、業績を拡大させるとともに、当補助金の採択を引き寄せるには、適切に外部環境を把握する必要があり、今回の記事は、前回に引き続き当補助金に採択された理容店の計画書を事例に、当欄に何をどのように記載するべきか、そのポイントを見ていきます。

1. 持続化補助金に採択された理容店の事例から学ぶ計画書の書き方【顧客ニーズと市場の動向】編

持続化補助金に採択された理容店の事例から学ぶ計画書の書き方【顧客ニーズと市場の動向】編(1)ターゲットのニーズを示す

 同店は、補助事業で設備投資をして新メニューを導入しますが、このような補助事業のターゲットは20~40代の男性客と幅広い年齢層の女性客でした。そこでこれらの層が抱く顧客ニーズを記載しました。

 このように同店は、補助事業のターゲットを明確にして、当該ターゲットが抱く顧客ニーズを記載したわけですが、補助事業の実施によって充足される顧客ニーズが何なのかを「2.顧客ニーズと市場の動向」欄に記載することで、外部環境に対応した有効な補助事業であることが訴求できます。このことは採択を引き寄せた要因のひとつと言えるでしょう。

持続化補助金に採択された理容店の事例から学ぶ計画書の書き方【顧客ニーズと市場の動向】編(2)書くべきことを書く

 同店は、顧客ニーズを列挙した上で、ある顧客ニーズについては現状の同店では充足できないことや、どのような設備があれば充足できるのかを記載していました。その設備を今回、持続化補助金で調達するわけですが、これらの内容は<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」欄に記載するべきものではありません。

 なぜなら、現状ではその顧客ニーズを充足できないため、新たな設備を導入してそれを充足させたいという考えは、補助事業を行う理由であり、これも含めた補助事業の内容説明は<補助事業計画>「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」欄に記載するべきであるからです。

 このように、書くべきことを書くべき欄に書いていれば、採択はより確実なものになったのではないでしょうか。

持続化補助金に採択された理容店の事例から学ぶ計画書の書き方【顧客ニーズと市場の動向】編(3)根拠を示す

 同店は、記載した顧客ニーズの根拠として、新聞記事や大手企業の調査結果を盛り込みました。弊社では顧客ニーズを「自店を利用することによって達成したい顧客の目的」と定義していますが、これは顧客が直接教えてくれるものではないでしょう。

 よって、接客時の会話や顧客の態度・雰囲気などから店舗側が汲み取っていくものと言えますが、新聞記事や調査結果などから汲み取ることも可能です。よって、それらの内容を示すことで、そのような顧客ニーズがあるという根拠となり、記述内容の説得力向上に繋がると言えるでしょう。

 今回の記事では、持続化補助金に採択された理容店を事例として採り上げ、採択を引き寄せる<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」の書き方のポイントとして(1)ターゲットのニーズを示す、(2)書くべきことを書く、(3)根拠を示す、を挙げました。次回は「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。

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