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意気込みが違う~「緋牡丹博徒」
以前、東映の任侠路線が邦画を没落させた、と思っていた。
とはいえ、それはそれで当時ウケていたというのは事実であって、とすると何かしら引き付けるものがあるのではないか。そう思うと、つい観てしまうのである。
今回は1968年公開「緋牡丹博徒」
そうなのだ。観てみると案外ちゃんとしている。面白い。
もちろん玉石混交で、いまいちな作品も多く作られていたかもしれないが、本作は女優スターとなる藤純子の主演作として、意気込みが違う。
どの役者もそれぞれの役割をまっとうして、その俳優の一番いい部分を見せられている作品だと感じた。
藤純子はまっすぐで美しく、高倉健はかっこいい。待田京介もその目力がすごいし、若山と山城はどこまでも情けなく憎めない。そして大木実の小物でありながらワルい奴の感じがぴったり。締めもしっかりしていて、無駄な余韻もない。
本作の健さんはおそらくそのカッコよさはピークのころだと思う。出るだけで画面が締まる。でもそれだけにところどころしか出ない。あくまで主演は藤純子なのだから。その彼女も賢明な演技で座長を張っているのがよい。
いろいろと調べてみるとこの「緋牡丹博徒」シリーズはどれも評判がよいのだ。うーん、任侠モノにはまってしまうかもしれない。