Web3で地方創生に「稼ぐ力」を取り戻す
2024年末、「デジタル城下町プロジェクト」は、12月20・21日にパシフィコ横浜で開催された「お城EXPO 2024」に参加しました。
開始から1年、おかげさまで100城での展開を達成しました。
昨年も「お城EXPO」に参加していましたが、今年は自治体担当者やお城ファンの方々の多くに「デジタル城下町プロジェクト」を認知していただき、ブースもたくさんの方々に訪れていただきました。
なぜWeb3のNFTプロジェクトである「CNP(シーエヌピー:CryptoNinja Partners)」がキャラクターを使って、「デジタル城下町プロジェクト」を展開するのか?
理解されてないと感じることが多いのですが、人口減少に悩む日本の地方都市にとって、Web3のNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)が真に地域自ら「稼ぐ力」を取り戻すことができる手段だと考えているからです。
それぞれの地域が「稼ぐ力」をNFTを使って、どのように取り戻すことができるのか? 今回のnoteでは、3つのポイントを挙げながら解説します。
①「お城」の価値を上げる
② Web3で地方の稼ぐ力を取り戻し、中長期の安定運営に変える
③ デジタルとリアルの橋渡しをして関係人口を増やす
①「お城」の価値を上げる
17世紀の日本が舞台のドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」が米ゴールデングローブ賞のテレビ部門で4冠に輝き、Netflixのドラマシリーズ「忍びの家 House of Ninjas」は日本をはじめ世界中で週間トップ10の1位になるなど、日本の歴史を題材にしたコンテンツが大ヒットしました。
日本政府観光局(JNTO)によれば、2024年に日本を訪れた外国人観光客は、過去最高だった「コロナ禍」以前の2019年の年間合計3188万人を超え、記録を更新しました。
こうした環境下であれば、地域が持つ「お城」の価値も上げられるはず。ヒントになったのは、「山」です。
登山者のあいだで低山がブームになっており。日本を代表する山岳雑誌「山と渓谷」は、1930年の創刊以来初めて「日本百低山」を選定し、掲載号は完売したそうです(太字は筆者、以下同)。
低山の良い点は、登山がほどほどのアクティビティであるため、それ以外の飲食や宿泊などを楽しむ人が多いところです。地域全体の活性化にとっては、低山ブームは歓迎されるところです。
同じように、登山アプリの「YAMAP(ヤマップ)」の成功があります。
日本には1万7000近くの山があるそうですが、無名だった山に人を呼び込むことで成功しています。
アプリを提供するメリットは、訪問者のデータを持てることです。
やはり登山以外のアクティビティ、観光での消費が新たに生まれています。
「お城」への入城や天守閣に登るのは、低山への登山と同じようなコンパクトなアクティビティです。きっと同じことができるはず。さらに、増え続ける日本好きの外国人観光客を取り込むのに、それぞれの地域がオリジナルで持つ「歴史」というコンテンツがあります。
YAMAPの武器が「山」と「自然」ならば、デジタル城下町プロジェクトの武器は「お城」と「歴史」です。
② Web3で地方の稼ぐ力を取り戻し、中長期の安定運営に変える
プロジェクトの軸となるのは、YAMAPと同じように「デジタル城下町」のスマートフォンアプリです。
地域の「お城」に入城してくれる人たちの記録を残し、たとえばマーケティングのデータとして活用するなどは、アプリを利用してくれることで当然のようにできるDX(デジタルトランスフォーメーション)です。
アプリを起点として、DXの観点で地域のさまざまなサポートができることが、すべての大前提だと考えています。
では、なぜデジタル城下町プロジェクトはアプリだけではなくNFTのようなWeb3のアプローチを用いるのか?
最大の理由は、それぞれの地域が「稼ぐ力」を取り戻すためです。
デジタル城下町プロジェクトは、参加する自治体から費用(税金)を受け取っていません。プロジェクトの目的が「地域のマーケティング」ではなく、「地域の経営改善」だからです。
どういうことか?
私たちは各お城で御城印のような「城下町民証」を発行して無料で配布していますが、そのレアな「シングルナンバー(最初の10枚)」を有償(2,500円)で販売しており、すでに完売しました。
「1城あたり、たった2万5千円(10枚×2,500円)の売上じゃないか」と笑われるかもしれませんが、「お城」を地域にとっての資産、IP(知的財産)のようなものと捉えれば、この一歩は大きいものです。
各お城ごとに1万人限定の「城下町民証」を発行しており、その「お城」にとってのファンコミュニティ、ファンダムを形成していきます。このコミュニティを起点として「お城」がある地域にとっての関係人口を増やし、地域が主体性を持って経営改善にあたっていく構想です。
現在、「デジタル城下町プロジェクト」は一歩一歩、着実に実績づくりに励んでいます。
たとえば、旅行代理店大手の読売旅行とコラボして、お城めぐりツアーを開催する予定です。
愛媛県今治市の「今治城」では、ふるさと納税の一環として町民証NFTを寄付金額1万円×20点を販売し、すぐに完売しました。これで20万円が今治市の経営改善に役立つのです。
まだまだアイデアはあります。
YAMAPは丸井のエポスカードとコラボしていますが、「お城」をIP(知的財産)と捉えれば同じような展開ができるかもしれません。
「お城」だけのグッズ展開では幅が狭くなってしまうのならば、CNPにはキャラクターというIPがあります。
その1つである狼のキャラクター「マカミ」は、すでに等身大パネルとして岐阜城ほか、さまざまなお城に派遣(設置)されています。
「お城EXPO 2024」のときもそうでしたが、記念写真を撮影するときのアイコンとして機能しています。
また、キャラクターがいれば「お城」にもグッズ展開の可能性が開けます。
三重県にある志摩スペイン村と、人気VTuberの周央サンゴさんとのコラボは、大成功していることでよく知られています。
上記記事にある一日平均1000本を売り上げたチュロスだけではなく、そのコラボで売られる各種の限定グッズは、志摩スペイン村のグッズ売上に貢献しています。
「hololive production(ホロライブプロダクション)」というVTuber(バーチャルYouTuber)事務所で有名なカバー社CEOの谷郷元昭氏は、次のように書いています。
CNPのキャラクターたちも同じように、「お城」のグッズ売り上げに貢献して、地域とお城ファンがWin-Winになるようなコラボを設計できると思います。
「お城」という地域の資産を、経営改善のために運用する。つまり、「デジタル城下町」アプリというDXに、CNPというWeb3 NFTのキャラクターのIP(知的財産)を掛け算する「DX×IP」が地方創生に効くと考えています。
そもそも、私が「地域の経営改善」や「稼ぐ力」を取り戻すことにこだわる理由は、それがWeb3が持つ自律分散型の価値観だからです。
実際に、CNPというNFTプロジェクトは、VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達をしておらず、純粋にNFTマーケットプレイスでの二次流通の手数料のみで成り立っており、完全に自立して運営できています。
だからこそ、VCからの短期成長を求められるような歪なプレッシャーもなく、中長期の視点で安定的な運営が実現できるのです。
「地方創生」も政府からの税金を費やすだけでは、持続性はないのではないでしょうか。地域に「稼ぐ力」を取り戻すことで、長く安定的に経営できるはずだと私は思います。
③ デジタルとリアルの橋渡しをして関係人口を増やす
「お城」というテーマに絞ることがニッチに感じられるかもしれませんが、実は「お城」を訪れる人たちの数は想像よりもずっと多くいます。
観光の一環で入城するライトユーザーも多いと思いますが、最多の大阪城で240万人を集客します。
でも、毎年数十万人が訪れる「お城」があったとしても、それは数字として蓄積するわけではなく、毎年同じようにマーケティングやプロモーションをしてお金(コスト)がかかってしまいます。
そこで、「デジタル城下町」アプリは、そうした現実世界(リアル)で「お城」を訪れた方々と、継続的にコミュニケーションする場としてデジタルのコミュニティを用意しています。
ポイントは、「城下町民証」を発行して配布していることです。
たとえば、「御城印」は集めてコレクションとして一人で楽しむことが基本です。つまり、スタンプラリーのように集める楽しさが人を動かすモチベーションになります。
しかし、「城下町民証」はバーチャルなデジタル城下町の一員、メンバーの証です。集めて楽しいのはもちろんですが、町民同士がアプリ上でつながり、「お城が好き」という一つのコミュニティを形成します。
どのような違いが生まれるのかの具体例を挙げると、たとえば「城下町民証」のNFTを持った人(トークンホルダー)は、その「お城」に対して不思議と愛着を持つようになります。
ある「お城」を訪れたコミュニティメンバーに対して、その「お城」の町民が「いいね」「どうだった?」といったように積極的に話しかけるようになるのです。
サンリオのハローキティは、世界にファンが広がっていることで知られていますが、「中国ではSNSにキティの画像をアップすると『いいね』の付き方が違う」そうです。
私たちがCNPや城下町民コミュニティで見ている光景に近いものを感じます。同じトークンを持つ人がいれば、積極的に「いいね」や「コメント」を付けています。
NFTを持つことで、いつの間にかコミュニティの一員、仲間になっているのです。
このようにデジタル城下町というコミュニティを築くことで、リアルな「お城」を頻繁に訪れることがなくても、地域と関わる人(関係人口)を増やすことができるのです。
私たちは、Web3のNFTプロジェクト「CNP」として培ったノウハウを「ICT」というフレームワークにまとめています(お時間があれば前回のnoteをご覧ください)。
「CNP」では、NFTを保有する一人ひとりが「パートナー(partner)」として、主体的にさまざまなプロジェクトに参加するケースが多々あります。
直近の成功事例としては、派生したプロジェクトである「CNPトレカ(CNPトレーディングカードゲーム)」の予約枚数が200万枚を突破しました。1BOXが6,000円なので、単純計算の売上は1億2000万円です。
「城下町民証」を持つ町民たちも、やがて「パートナー」となっていくはずです。それが、私たちが「ICT」というWeb3で生まれたフレームワークを、地方創生に持ち込む最大の成果になると信じています。
たとえば、SNSで発信することで認知度を上げたり、それぞれの場所で「お城」にまつわる歴史を学ぶ勉強会を開催したり、武将のコスプレをしてイベントを盛り上げたり、さまざま生産活動に貢献するようになる。
「デジタル城下町プロジェクト」では、そんな未来を描いています。
最後に
前回のnoteでも書きましたが、日本政府の「新たなクールジャパン戦略」には、インバウンドにおける体験価値の重要性が謳われており、「デジタル城下町プロジェクト」での実践と同じベクトルを目指しているように私には思えます。
「お城」を訪れるという体験(エクスペリエンス)をきっかけに、飲食や宿泊だけではなく、さまざまなグッズ(プロダクツ)を購入するきっかけ・媒介となるのが、CNP(コンテンツ)であればよいと思っています。
もし、「デジタル城下町プロジェクト」にご興味を持っていただける方がいらっしゃれば、いつでもお問い合わせもしくはDMください。アプリをダウンロードして、NFTを保有して、パートナーとして加わってくれる方も大歓迎です。
最後になりましたが、2025年も、どうぞよろしくお願いいたします!