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最後の審判

私はステージ4の癌サバイバーだ。

癌は肺門リンパ節に転移しており、多発肺転移も確認され、
一時期、余命は1年ももたないだろうと言われた。

その時、私の呼吸は苦しく、話せば話すほど意識が遠のいていく感じに襲われた。
緩和ケアの医師や、お見舞いに来てくれた親友と会話することはかなり厳しく、
いつも意識が遠のくので、ベッドの上で5分話すのが精いっぱいだった。

命の危険を感じる度に不思議な夢を見た。

とある晴れた昼下がり、海沿いを歩く夢を見た。

他の人も何人か歩いていたが、突然津波のような水が押し寄せ、水が膝下まで押し寄せてきた。

周りを見回し、高台へ避難する必要があった。

山の入り口にお稲荷さんのような神社の鳥居を見つけ、
いくつもの鳥居をくぐり抜け、道なき道を大急いで駆け上った。

最後は木登りの状態で上り続け、空の色が赤く夕焼け色になっていた。

すると数人の巨人が天に帰っていくのが見えた。

昇り終えた先に、大きな巨大なお屋敷があって、そこにはだれもおらず、
私は誰も見つからないように、その場から下へ下へと降りていった。

 ここは来てはいけなかった、と直感で思った。

 。。最後の審判の場所、そう思った。

丁度その頃、私は完全オーダーメイドの癌治療を受けはじめ、
危険な時を脱することができた。

もし、していなかったら、私の寿命は尽きていたのであろうか。

もうすぐお盆である。
あの世にいってしまったご先祖様たちの魂を祀り、
最後の審判の時までに、人徳を積んでおこうと改めて思う。

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