初めてコミケにサークル参加した話

また、ご無沙汰してしまっておりました。

日記を書くのも忘れるくらい、ここ1-2ヶ月は多忙でして、ようやくその多忙から解き放たれました。
というのも、タイトルの通り8/13(土)のコミックマーケット100(C100)にサークルで参加しまして、その同人誌作成と当日までの準備が佳境だったからです。そこに輪をかけて、普段のサラリーマン業務も超がつくほど多忙になったこともありほとんどそれ以外のことに時間を取れておりませんでした。

無事にコミケも終わり、一段落(実際にはついてないのですが)つきましたので忘れないうちに日記に残すことにします。
結果としては大満足・大成功に終えられたのですが、制作過程での学びや次回に向けての戒め?と出来ればと思います。

初めてのサークル参加

コミケ自体には一般参加として過去に2度参加したことがあったのですが、今回は一般参加ではなく、「同人誌を頒布する側」としてサークル参加をしました。なんのサークル?という疑問もあるかと思いますが、過去の記事でも掲載していたお絵描き練習会のメンバーで出展をしました。

きっかけは、去年の11月に一部のメンバーが冬のコミケの当落ツイートをしているのを見て、自分も当落ツイートしたいな、と思ったからです。あとは同人誌作ってみたい、という気持ちがちょっとあったからです。
そんな薄っぺらいきっかけではありますが、せっかく日頃から絵を描いているのでその成果を出せる場所としてもちょうど良かったのでその場で練習会のメンバーにも相談しました。

共同主宰のp-honeさんや他のメンバーもいっちょ噛んでくれるとのことだったので早速Discordにチャンネルを作ってプロジェクトを始動させることに。

コミケ当日までのお話

そもそも勝手が全くわからない状態からのスタートだったので、練習会メンバーの経験者からアドバイスをもらいつつ進めることに。とりあえず申込書セットってやつがいるみたいなので、購入をしてWebで申し込みを。

イラスト本という案もあったが、本にできるほどのイラストを描くとなるとかなりの枚数が必要になるし、版権イラストメインにすると後々電子での販売がしづらくなることもあるようだったので練習会の成果を活かすことも念頭にお絵描きメソッド本を作ることにした。

第1回の定例会を実施し、以下スケジュールを策定。サークル名は「萌え萌えCompany」。メンバー内ではおなじみのscrapboxでプロジェクトを進めることに。

sclapboxでのスケジュール案

言い出したタイミングからコミケ当日まで10ヶ月と十分な期間はあったが、こういったスケジュールは遅延が付きもの。ということもあってかなり余裕をみたスケジュールを決めて望んだ。
途中多少のスケジュール前後はあったものの、概ねスケジュール通り完成し一番安い価格で印刷できるタイミングで入稿も終えられ、その点に関しては自分を褒めたいところ。

ちなみに、各コンテンツの取りまとめはベース案をこねくり回す段階はすべてsclapboxを、実際の原稿・校正作業・データのやり取りはGoogle Drive・スプレッドシート・ドキュメントを利用。

sclapbox
Google Drive

みんな色んなツールを知っていて、使いこなしていてすごい。
ベースのテキスト部分は大まかに各メンバーに担当の章を割り振って進行をお願いし、校正作業はメンバーのhighlandさん、全体進行管理と原稿への流し込みやレイアウトは自分とp-honeさんを中心に対応を進めた。
ちなみに表紙・ロゴデザインとページ用の汎用素材の作成は自分の友人に有償ではあるものの無理を言って作ってもらった。これがまためちゃくちゃいい感じ。もしかして市販されているのではと錯覚するレベル・・・。

最終的な表紙

出版用のデータはほとんどの場合、天下のAdobe様のInDesignというツールを使うのが一般的だが、これがまためちゃくちゃ高いので互換ツールのAffinity Publisherというツールを利用した。7割の機能はInDesignと同じものの違いもちらほらあり、しかも利用人口が少ないため頼みの綱のネット情報も少なかった。

Affinityの画面

月額サブスク(単品3,000~Suite6,500円/月)のAdobeに比べて機能・情報が劣るがAffinityの買い切りで5,000円という魅力には勝てなかった。やむなし。(しかも購入時ブラックフライデーで半額)
最終局面で色々と苦労もあったが、なんとか完成までたどり着けた。(p-honeさんの知り合いの方にも多大なる支援をいただいた)

当初、35ページくらいかなー、なんて言っていたものが完成した頃には72ページまで膨れ上がっていたが、手にとってくれる人からしたらボリュームがあったほうが読みごたえもあっていいのではと思ったのでそのまま押し切った。ちなみに本文もフルカラー。正直、売れなかったらどうしよう、とは多少思うくらいの経費にはなった気がする。

メンバー・関係者への配布分とWebカタログのお気に入り数も参考に余ったら委託や別のイベントに持ち込めばいいやの気持ちも持ってちょっと背伸びした部数を用意して臨むことにした。二次創作でもないし、自分の宣伝効果も低いこともあり、そもそも参加者の目に止まらないのでは?という不安ではあった。ただ、表紙がいいので意外と・・・と思う部分もあった。

コミケ当日のお話

当日はサークル参加の受付時間が9時?までとかだったのでそれに間に合うように現地入り。始発で大阪からとか起きれないし無理なので備品買い出しも兼ねて前日入りしてp-honeさんの家に厄介になった。

当日のスペース


当日のスペース


先に結論を書くと、メンバーのツテや当日の環境的な幸運も重なって用意した部数が時間内に完売することができた。まじで感謝。ほんとにありがとうございます。対面で面と向かって買ってもらえる瞬間、なんか快楽物質でもでてるんじゃないかと思うくらい嬉しかった。

10時半の開場と同時にテレビとかでよく見る、オタクの皆さんが競歩の如く早歩きしてくる姿は壮観だった。開場して1-2分で1冊目が売れて驚いた・・・。

1冊目売れたときのやりとり

女性の方が来られて、1冊ください!と。あまりの早さに、どこで知っていただいたのかと聞いてみたところ、当日仕事で来られない友人の代理とのこと。そこまでして買いに来てくれて感謝。そこからは波はありつつ、15時過ぎたころに完売を迎えることができました。

台風の影響もあってカンカン照りじゃなかったことが不幸中の幸いで、中は座ってる分には涼しいくらい、歩くとやっぱり蒸し暑い、そんな感じの環境。めちゃくちゃ懐かしい顔ぶれとの再開もあったり。

ただ、終わってみたら帰りのタクシーで意識飛ぶくらいには疲れました。終わってから食べた焼肉が今までで一番美味しかった。

良かった点

今回の結果について良かった点とその考察をまとめてみる。

  1. 表紙をめちゃめちゃこだわった

  2. (結果的に)ボリューム満点になった

  3. デザイナーさんの力に助けてもらった

  4. お隣さんの集客力に助けられた

  5. 初心者目線でのメソッドにこだわった

  6. 良い紙、フルカラーにこだわった

  7. メンバーのフォロワー・友人に助けてもらった

  8. オタクはみんな絵を描きたい説

<表紙をめちゃめちゃこだわった・(結果的に)ボリューム満点になった・デザイナーさんの力に助けてもらった・良い紙、フルカラーにこだわった・メンバーのフォロワー・友人に助けてもらった>

今回、表紙や汎用素材は本業デザイナーさんにお願いをした。表紙のイラストはメンバーが描いた絵で自分含めまだまだ発展途上ではあったが、それを持ってしても「めちゃくちゃ良い」と言える表紙にしていただいた。その上で72ページとかなりボリューミーな内容に結果的になった。そして良い紙でかつ本文もフルカラーにした。(これもデザイナーさんアドバイス)
これはかなり大きかったと思う。
今回の懸念点は「宣伝力」「集客力」が一番だと思っていたが、表紙・中身まで目に留めてもらえれば、、、という多少の自信もあったからこそ、表紙は間違いなく目に留めてもらえる良いデザインにしてもらった。
デザイナー様様。自分もデザインの本を読んだりしたけどもやっぱり本業は流石だなと実感した。実際、スペースに来て見本誌を見ずに買う人(お気に入り登録している人と推測)のほか、見本誌を立ち読みしてから買ってくれた人(ウインドウショッピングの人と推測)も半数近くいたと思う。

<お隣さんの集客力に助けられた>

お隣さんの集客力も絶大だった。お隣さんは、CLIP STUDIOを使った漫画制作のツール解説本を頒布されており、こちら目当てで来られる方(=絵を描きたい人)が一緒にうちのサークルにも目を向けてくれた。漫画じゃなくイラスト目当ての人だった場合は隣のサークル主さんがうちを紹介してくれた。優しい世界。ちなみにクリスタで漫画の描き方しりたかったので自分も購入させていただいた。

<初心者目線でのメソッドにこだわった>

これは、まさに自分たちの練習会の成果そのものだと思う。お絵描き初心者のメンバー一同が知識の共有や色んなコンテンツからの学びをもとに成長できた経験をメソッドにしたこともあり、本当の意味で初心者に寄り添った内容が作れた。多くの市販されている技術書やその他コンテンツでは基礎のキ過ぎてスルーされがちな部分(モチベーションコントロール等)についても言及できたことで、実は初心者の人が欲しかった内容を届けられたのではないかと思う。メンバー以外の人からもそういった声を貰えたのは純粋に嬉しかった。

<オタクはみんな絵を描きたい説>

個人的な感覚ではあるが(偏見かもしれないけどごめんなさい)、自分も含めたコミケに来るオタクは絵や漫画、音楽と言ったカルチャーが好きだから来ているはず。見るだけじゃなくて作る側になってみたい、という気持ちは大小の違いはあれど持ったことがあるんじゃないかと思う。
そういった潜在的な需要を考えるとコミケに参加する9万人が潜在的顧客となりうるのではないかと感じた。これはあくまで自分個人の考え。

このあたりの点が上手く作用して、今回の結果に繋がったんじゃないかと思う。

大変だった点

次に、制作過程で大変だった点をまとめる。

  1. まあまあお金がかかる

  2. 集客・告知が大変

  3. Affinity使いづらい

  4. 小物系の用意が結構必要

  5. 印刷部数決めるの難しい

  6. 入稿データを作るのが難しい

<まあまあお金がかかる・印刷部数決めるの難しい>

さっきも書きましたが、しっかりしたものを作ろうと思うと個人負担にしてはまあまあお金はかかる。部数にもよるが、経費回収も考えるとある程度の部数を印刷しないといけなくなるが、全部売れる保証は無い。値付けと印刷部数と見込み販売数を読みづらい。万が一全部売れなくても生活に支障をきたさないくらいの量を印刷するのが良いと思う。複数人が参加する場合は金銭面の話はちゃんとしておかないと後々ややこしくなりそう。

<集客・告知が大変>

文中でも書いてますが、本当に告知・集客が難しい。ターゲットは無限大だが、そのターゲットにどうやってアプローチしたら良いかがわからない。Twitterのフォロワーを増やせれば、と思うがどうやったらフォロワーって増えるんだろう。

<Affinity使いづらい・入稿データを作るのが難しい>

やっぱり世の中Adobeで回ってるんですよ。ってひしひしと感じた。入稿データもPDFかPSDか、みたいな。一部のAIファイルとかAffinityで開いたら全く違うものしか見えなかった。お金があるならAdobeにすべき。
あと、初心者には入稿データ作るの難易度高い。「ゼロから始める同人誌制作の書」って作ったら需要あると思う。

まとめ

色々と書きましたが、初めてのコミケサークル参加、めちゃくちゃ楽しめました。純粋に自分たちが作った本が売れるのも嬉しいし、こういった機会に久しぶりに会える人もたくさんいて本当にいい機会だったしいい経験だったと思います。制作に関しては本当にメンバー含め周りの人に助けられっぱなしだったなと、もし1人で一冊の本を作るってなったらゾッとします。

あと、やっぱり同人誌と言えど、人様からお金をいただいて自分たちの作った本を買ってもらうという重みみたいなものも実感しました。趣味の領域ではあるものの手にとって良かったと思ってもらえるような本を作りたいなと思います。ものづくりって楽しいね。

絵を描くときもよく言われるけど、やっぱり何かを作るときはどこかに完成物を発表して、見てもらって、意見や感想をもらって初めて次の成長につながると思うし、やりたいと思ったことはできるチャンスがあるなら実践するべきだなと改めて感じました。

最後に宣伝します。C100で販売した「ゼロから始めるお絵描きの書」はBOOTHにて電子版販売中です。これからお絵描きを始めたい人や道具は揃えたけど何から始めていいかわからない人、1人だと長続きしない人におすすめの一冊となってますので興味ある方はぜひ手にとっていただけたら嬉しい限りです。表紙・本文フルカラー72ページ。¥1,000。

冬コミも参加できればと思うので、萌え萌えCompanyの次回作にもご期待ください。

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