ときのそら4thアルバム『Sign』感想~空を彩る星々~
ときのそら4thアルバム『Sign』の感想や気付きのまとめです。一曲一曲が珠玉どころかまさに星々。きらきら輝くものから仄暗く光るものまでそれぞれ固有の輝きを放ちつつ、ひとつの形となって空を彩る素敵な一枚でした。
1.ピッとして!マーマレード
アルバムの顔らしく、明るくてかわいい曲だ~なんて思っていたら後半のエモで殴られた曲。夢への想い、道のりと成長、みんなと一緒に、とそらちゃんにとって大事な要素を詰め込みつつ、マーマレードの合言葉が軸になってかすっきりまとまりを感じるのが聴く度すごいと感じる。自身を鼓舞するピッとして!はみんなに楽しんで欲しいという思いとも取れるようで、素敵な合言葉だと思った。綺麗な高音もさることながら、ベースとドラムの低音域が大変良いのでヘッドホンで聴きたくなる。これからも一緒に歩んでいきたいという気持ちが湧き出てくる、本アルバムで一番のお気に入り。
2.ユメゾラ☆ファンファーレ
きらきらした夢と希望を純度そのまま形にしたような曲。ハッピーエンドというフレーズを使いながらその先の未来を見据えた、希望に満ちた前向きさが心地良い。焼き付いた夢色アスタリスクの景色とも重なって、出逢えた喜びとか、夢を叶える瞬間もその先も、とか色々な想いが溢れてくる。5周年ライブでは涙ぐみつつも歌い上げてもらい泣きを誘われたが、今後ライブで歌われる時にはまた印象が変わっていく予感がするのが今から楽しみでならない。
3.ロゴバッジ
頭の2曲とは趣が変わり、夢の起点に立って一緒に育てていく過程を描いた曲。サビの疾走感が気持ちよく、自然と口ずさんでしまう。クラップもあり、トレーラーでの印象に増してライブで盛り上がりそうに感じた。夢を交わし合うというテーマは『Dream!』冒頭の「叶えたい夢は何ですか?」と通ずるようで、しみじみとも聴けてしまう。余談だが「ロゴバッジ」で画像検索すると、星が2つ並んだTAM◯YAのバッジが最初に出てきて、不思議な運命を感じた。
4.羽を手にして
そらちゃん自身も話していたとおり、昔を思い出すあったかくて柔らかい雰囲気の曲。優しい声と音に運ばれて、色んな見え方の空をふわふわ飛んでいくそらちゃんが思い浮かぶ。夢が色づいて行く過程を描く歌詞からは、横アリに夢を見た少女がひとりのアイドルになったことを思わずにいられない。移り変わる空の色に始まりからの変遷が見出せたりして、歌と一緒に空想しながら空を眺めたくなる。
5.空ノ空
曲調もテーマも一転し、現代社会という現実の中で夢を見ること自体を描いた曲。思い悩む歌詞とは裏腹なオシャレでかっこいい曲調がアルバムの中でも独特の色合いに感じられる。現代に蔓延して根付いた諦観と捨て切れない夢への渇望という視点は、自分を含め多くの人に刺さるものではないだろうか。葛藤を破った先、ラストのがむしゃらですらある前向きさが気持ち良く、ライブの場で叫ぶような歌声で聴きたくなる。
6.エゴナデ・ラビリンス
そらちゃんのいたずらっ子な部分にフォーカスを当てて増幅したような曲。小悪魔っぽく笑うそらちゃんが思い浮かぶ。アップテンポで迫り来る色んな音が面白く、ころころ弄ばれるような感覚がくすぐったい。合いの手や囁き声もかわいいし、ラビリンス⤴の歌い方が特にキュートでクセになる。でも鳴かせたいと言う割によく鳴き声を上げているのはむしろそらちゃn色んな形で夢を歌うアルバム前半からの切り替え、後半への入り口の役割も担っているように思える。
7.エレクトリカル・サーフィン
出だしのピコピコ音でもう盛り上がる楽しい曲。「The boooom!」や「手と手とってって」と音としても面白い歌詞が印象強い。インターネット存在としてのVTuberの目線でこちらへ呼びかけてくる描き方は、どこかキャラソンとしてのボカロ曲を思わせる。とにかくノリノリになれる曲で、聴いていると体がウズウズしてくる。ライブでも盛り上がること請け合いだ。
サーフィンサーフィン₍₍ ◝(•̀ㅂ•́)◟ ⁾⁾₍₍ ◝(•̀ㅂ•́)◟ ⁾⁾
8.デジタリックリリック
電子存在の側面がさらに強くなったかっこいい曲。最高音こそ他の曲に譲るものの、サビが怒涛のように高いのでアルバム中で高音の印象が最も強い。やはりそらちゃんはボーカロイドなのでは?
歌詞ではトレーラーでも聞こえていたはずの「101101」の並びに驚かされた。「体温(ネツ)を感じる」ところでエフェクトが切れていく演出や、かっこいい曲調を緩和するような甘みのある「でゅん---☆」がお気に入り。
9.黄昏ミッドナイト
イントロからどこか懐かしさの漂うバラード曲。盛り上がる曲が続く中、ひと息つくような穏やかさが映える。同じくバラード調の『羽を手にして』では時間と共に見え方の変わる空を歌っているのに対して、こちらは誰かを想う気持ちによって見え方の変わる夜空を歌っており、対比するとまたおしゃれに思えた。甘くて切ない歌詞と歌声に包み込まれるようで、静かな夜に浸りながら聴きたくなる。
10.メアリースイート
コミカルさや狂気を交えつつ緊張感の漂うダークな曲。柊キライ氏楽曲の歌ってみた動画でも感じられた妖しい魅力が詰まっている。囁き声から乱打のような激しさまで振れ幅の広い緩急が聴くうちにクセになってくる。
期待する在り方を押し付けられる中、「君」だけには秘密も毒も全てさらけ出そうとする様が氏の言う「過剰な感じ」のように思う。度々出てくるロー・ホーは規範という意味合いでのlaw・法が由来だろうか…なんて考えていたら「知ったつもり」と嗤われた気がした。
11.そらのとき
明るく爽やかな曲調に「ときのそら」なフレーズが散りばめられた、聴くと元気の出る曲。広瀬香美氏の放つパワフルさ、キャッチーさとそらちゃんの歌声とが噛み合って最高になっている。随所に感じる遊び心も面白く、中でも繰り返す「ちょ」が振り付けまでキュートでとても好き(๑σ╹ᆺ╹)σ。
そらちゃんに出会って以来「空」という響きに敏感になった自覚があるのだが、「きみの空をちょうだい」はそういった認識的な意味合いにも思えてくる。コールもクラップも絶対楽しいのが予感される、これもライブでの披露が楽しみな曲。
12.ポラリスソラリス
星座を冠した本アルバムの締めにぴったりな、澄んだ星空を思わせる綺麗な曲。「みんなのことを想って歌ったんだよ」と語っていたように、そらともへ向けた感謝や願いを思わせる歌詞がとても嬉しく、涙腺が緩んでしまう。「ソラリス」はまたそらちゃん自身とも取れる不思議な単語だ。ジャケットにあるこぐま座のポラリスとあん肝座(0期生5人)のソラリス(そらちゃん)という対比に、歌詞中の対比が相まってあらゆる面で美しい。曲中、あん肝の鳴き声に似た音が度々聞こえる気がするのだが、これも製作陣の遊び心だと勝手に思っている。
おわりに
聴けば聴くほどものすごい一枚でした。ライブ映えを意識した曲も多く、ステージでどんな風に観客を巻き込むかが今から気になって仕方ない。曲調もテーマもこれだけバリエーションに富む中、偶然か意図されたものか、どの曲にも「君と一緒に」という想いが軸や根っこにあるように思えて、嬉しさと共に「ああ、そらちゃんらしさだな」と感じました。
大事な宝物をまたひとつありがとうございます。そらちゃんとクリエイターの方々に最大限の感謝を。アルバムを引っ提げての5th Anniversary Live『宇宙と時空のミルキーウェイ』、心から楽しみにしています!