うどめし
先日、高等学校時代の同級生とお食事会を開催した。
お食事会と言っても参加者は2名のちゃんとしたサシ飯での開催ではあったが。
その同級生とは高等学校の卒業以来お顔を会わせていなかったので、9年半ぶりのご対面となった。
高等学校3年生の時に同じクラスではあったが、特段仲良しだったわけではなかった。
クラスの女性の中では比較的おしゃべりをしていた部類の方ではあったが、老後の不安などを打ち明けるほどの間柄ではなかった。
高等学校卒業後の9年半、1度も連絡をとっていなかった同級生となぜ今回このお食事会が開催される運びとなったのかだが、先日SNSに芸人活動を応援しているとおぼしきメッセージをいただいた。
そこでいくつかの意見交換をおこなっている際、現在東京に在住であることが判明した。それならと、お得意の社交大辞令でご飯のお誘いをした。
すると、南国宮崎県出身の2人とは思えない計画性でポンポンと話が進んでいった。
その同級生が鵜戸という地域の出身だった為、この食事会を"うどめし"と名付け、今回実現することとなった。
本来は19時に集合をしてお酒を嗜もうと思っていたが、ネタ合わせが入ったので前倒しの17時に新宿駅東口集合となった。
東口ってドンキがあるところだよね?と、集合直前に連絡が入っていた。
多分それは東南口だよ。と思ったが、そこは敢えて
そうだよ!と返信をした。
ドンキのある東南口を東口だと思っているパターンだと思い東南口に向かうが見当たらない。
そこで連絡をするともう着いていると言う。
そうなると、本当に東口にいるのか?と思い東南口から東口に向かって歩きながら大捜索が始まった。
すると、改札も出入口も無い東南口と東口の間あたりにいた。
新宿駅というこれ以上手の加えようが無い駅に、新たに東南東口を作り出していた。
予定より6分遅れで無事合流できた。
宮崎県出身の2人にしては合流が充分早すぎる!!
幸先の良いスタートであった。
だが、すぐに問題が発生した。
僕は食事に浅学である。
空腹さえ満たせればなんでもいいと思っている。
5日連続カレーでもいけるし、炒飯をオカズにおにぎりだって食べられる。
旅行先でもチェーン店でご飯を食べてしまうような僕からしたら、相手様が行きたいところに全然合わせるよん!のスタンスだった。
マジでどこでも良かった。
だが、同級生は僕が東京10年目であり、よく新宿に来ているという話から美味しいお店を知っていると思っていたらしい。
とりあえずで歩き出し、僕は目に入ったお店で同級生が興味を示したところに入れば良いと思っていたし、同級生は同級生で僕が目的のお店を決めてて、そこに向かって歩いていると思っていたらしい。
そんなこんなで30分ほど新宿を歩いていたら、さすがにお互い異変に気付いてくる。
あれ?今日お散歩の日だっけ?となっていた。
このままでは、お気持ち程度の運動不足解消で終わってしまうとなり、一旦駅に戻り作戦を練ることにした。
結局、安心安全が売りのルミネの飲食店で良くね?となりルミネの高い階にあるご飯屋さんに入ることにした。
ご飯屋さんで僕はハンバーグを同級生はオムライスを注文した。料理が来るまでに卒業後から現在に至るまでをお聞きした。
同級生は卒業後福岡の学校に進学をし、名古屋で就職後、1、2年ほど前に転職して東京に越してきたようだった。
転職をする際に福岡と東京で迷い、東京を選んだらしい。友人が居て学生時代に住んでいた福岡より知人がおらず土地勘もない東京で自分を高めようと思ったらしい。
強え女だった。向上心すぎた。
お食事に舌鼓を打ちながら学生時代の思い出に
花を咲かせ草を生やした。
1時間ほどお食事をしお店を出ることにした。
ネタ合わせの集合時間までまだ時間があったのでカフェに行こうとなった。
これまたルミネの高い階にある、抹茶を売りにしているお店に行くことにした。
お店の入り口に電子モニターがあり、そこにメニューが表示されていた。メニューを見ていると5秒ほどで広告に表示が変わる。少し経つとまたメニューが表示されるがまた5秒ほどで広告になる。
たった5秒でメニューを見なければならなかった。
メニューを見る時の5秒は思っているよりあっという間だ。最初の5秒で見た商品を次の5秒でおさらいをしていると広告に変わる。その次もまたその商品をおさらいしているとまた広告にすぐ変わる。
一生同じ商品しか確認できなかった。
結局4回ほど電子モニターでメニュー確認チャレンジをしたが、抹茶ソフトクリームラテ¥680しか確認することができなかった。
東京のカフェってこんなに難易度高かったっけ?と思っていると、注文カウンターに呼ばれた。
そこにはちゃんと紙のメニュー表があり時間に追われず注文を決めることができた。
だが、ここで飲みたいものをゆっくり選んでしまうと、さっきのたった5秒で唯一商品名と値段を確認できた抹茶ソフトクリームラテ¥680に申し訳が立たない。
迷わずそれ一択で注文をした。
同級生はメニューを見て悩んでいた。
ほうじ茶ラテを注文していた。注文の仕方も注文の内容も僕より大人だった。
やっぱり強え女だ。
それからカフェでも近況や思い出話など特段書くようなこともない会話をした。
久しぶりに聞く宮崎訛りは少し懐かしさを感じた。
宮崎という田舎出身の2人が9年半ぶりに会い、こうして新宿のカフェで茶をしばき回していることに不思議さを感じた。
ネタ合わせの時間となったので宴もたけなわではあったが、また機会があれば9年後に第2回大会も開催しようと約束をし解散をした。
だが、久しぶりに同郷のご友人と会って気が少し緩んでいたのかもしれない。
同級生とバイバイをした後に思い出したが、抹茶ソフトクリームラテ¥680の¥680の部分をどう考えても僕が担っていなかった。
電子モニターの知識だけで先に注文をして満足げになり、肝心のお代を支払う作業をしていなかった。
完全に申し訳ねえのやつだった。
僕の不手際から第2回大会は9年後とは言わず、近いうちに開催することになりそうだ。