ルーキのマインドを保つ方法
第6章 そして、永遠のルーキーに!
世界の一流が持つルーキーとしての資質
好奇心
軽い興味などではなく、何かを知りたい、学びたいという強烈な欲求。好奇心がある人は、周囲の人たちから学ぶことで、物事を理解し、欲求や探索をしたいと思っている。謙虚さ
永遠のルーキーたちは、多くの成功を成し遂げても自惚れず、謙虚であり続ける。ヒンズー思想では、謙虚さを「先入観を抱かず、すべての人や物事について学習し、熟考し、理解するのに最適な状態」だと定義している。謙虚でいるためには、「無知の知」を理解し、意識しておくことが重要。遊び心
永遠のルーキーであるために必須なマインドが遊び心である。職場に遊びの要素やユーモアを持ち込むことに対するメリットは、様々な研究で示されている。このような職場において社員は、他人のミスに寛容になり、人間関係が強化され、積極的に学習するようになる。計画性
永遠のルーキーは計画的であり、極めて意図的に仕事と向き合っている。ここでいう計画性とは、自分が「なに」を「どのように」実践しているかをよく理解していることを意味する。永遠のルーキーは衝動的に、あるいは唐突に行動したりせず、物事を決めつけて考えないように留意している。つまり、何を始めるにせよ、ビギナーズマインドを持っているということだ。
永遠のルーキーになるための具体策
クビになるつもりで行動する
あれこれ考えすぎず、直感的に正しいと思えることをする。「もし職を失うことを恐れずに済むなら、何をしたいだろう?」と考え、出てきたアイデアのいくつかを実践してみる。アンチョコを捨てる
アンチョコとは、教科書を予習するための手軽な参考書のこと。「Thinkers50」でたびたび高い評価を得ていたC・K・プラバラードは、毎学期に大学の講義ノートを捨てていたという。これら、学生に対して、自分の最新で最高の思考について、講義するためだという。このように、自分の行動を型にはめるアンチョコやひな形を捨ててみる。アマチュアと仕事をする
経験豊富なビジネスマンではなく、ルーキーと仕事をする。彼らがどのように取り組み、どのように遊んでいるのかを観察する。
第7章 あの頃に戻れる!
やる気が出ない本当の理由と、そこからの脱却方
ギャラップ社の世論調査によれば、アメリカの働き手の70%は、仕事が嫌い、もしくは全くやる気を感じないと答えている。別の調査では、激しい疲労感と無力感により、仕事上で強いストレスを感じていると答えた人が63%に達した。
では、そのストレスの原因はなんなのか? 通勤時間や業務時間の長さ、職場での人間関係がストレスの原因となることは、科学的にも証明されているが、それだけだろうか? 著者の調査の結果、いま取り組んでいる課題の手強さの度合いと、仕事への満足度の度合いの間には、強い相関関係があることがわかった。
あまりにも自分の実力とかけ離れた課題を与えられれば無力感を感じてしまうが、簡単すぎる課題では退屈と自身の停滞を感じてしまう。
日々の業務が退屈で、停滞を感じているのであれば、よりハードルを上げて働く必要がある。人は背伸びしないと対応できないような新しい課題に取り組むことで、精神が高揚し、再び学習に打ち込もうという気になれるのだ。
もちろん、「言うは易し、行うは難し」である。人はすでに持っている知識や技能にしがみつく。その原因は、恐怖心ではなく手間にある。苦労して手に入れた宝物を、自らのアイデンティティに関わる大切なものを捨ててしまうに等しい。
しかし、本記事を通して主張してきた、「経験が足枷になる場合がある」と言うことを思い出してほしい。新しい環境や課題において、自分の足枷になる経験、ならない経験を厳しく見極め、不要な物に関しては綺麗さっぱり捨て去り、初心者の思考を実践すべきである。
優秀な人がしている3つのこと
行動① リーダーから学習者へ
知識や成功を重ねると、人は「確証バイアス」に陥りやすくなる。また、このような人は新しいことを学ぼうともしない。なぜなら、「人はすでに知っていると思っていることを学ぶことは不可能」だからだ。
確証バイアスに陥らず、常に学び続けられる人たちが実践していることは以下である
「知らないこと」リストを作る
ある広告会社のCEOは、「私の知らない7つのこと」というリストを作成・更新している。これによって自惚れを捨てられ、常に学ぶことがあるのだということを意識できると言う。「知らない」と公表する
これは無駄なプライドを捨てることができる。また、リーダーがこれを行うことは、弱みをさらけ出すことを通じて、真のリーダーシップを強力にする効果もある。思い込みを捨てる
誤った思い込みのもとで行動するリーダーとそのチームは、努力しても好結果に繋がらないため、金と労力を無駄にする。部下にメンタリングしてもらう
最新のテクノロジーや異文化についてだけでなく、リーダーシップよあり方についても教わることができる。仕事を交換する
現場で働いている部下と、人事評価や会議を行なっているマネジャーの仕事を交換する。これにより、マネジャーは現場が持つ課題やボトルネックを知ることができる。部下は会議に新しい考え方を持ち込むこと、マネジャー達が行なっている不透明だった仕事を知ることができる。素朴な問いかけをする
質問していいこと、ダメなことが曖昧な会議において効果を発揮する。素朴な問いかけにより、他メンバーの質問に対する不安を取り除き、意見や質問が飛び交う会議にすることができる。
行動② 非快適ゾーンに足を踏み入れる
自己研鑽は「ポジティブ思考」と「意志力」によって実現すると思われがちだが、2007年に行われた大規模調査では、意志力に頼った目標は達せされない場合が多いと言うことが分かった。一般に、人が物事を学ぶのは、「学ばざるを得ない状態にいる」ときと、「予期せぬ失敗」を経験したときである。
「資材不足」または「フロンティアの境界」に身を置くことで、これらの経験が得やすくなる。必要なのはコンフォートゾーンから一歩足を踏み出すことである。
行動③ 小さな行動をとる
いざ足を踏み出してみても、難易度を見誤り、難しすぎる課題に手を出したら意味がない。いわゆる「フロー状態」になる為には、今の実力では少し足りないぐらいの課題に挑戦する必要があるという。
大きすぎる課題に直面したのであれば、その課題を小さなステップに分割すること。
永遠のルーキーであり続けたいなら、学んだことを一旦捨て、学び直し、前進を続けることを学ばなければならない。