9時のクジラVSグランピング 4
これはシリーズだよ。
1から読もうね。
あと、スキも押してね。
その後、フォローもするんだよ。
約束だよ。
10.アツい
目が覚めた。
喉がカラカラだ。
陽が昇り始めているのがうっすらと窓の外に見えた。
暖かな景色とは裏腹に、ここはすごく暑い。
暖房が効きすぎてる。
横に目をやると気持ちよさそうに眠る野郎。
「でも見たい 隣で目覚めて おはようと笑う君を」(高嶺の花子さん back numberより)
ちっ、なんで野郎なんだ。
あ、でも、よく考えたらこいつが目を覚ました時、横でおはようって笑うのはぼくなのか。
こっちこそごめんな。
横で眠る野郎はマスクをしていた。
喉の潤いのケアできてる。ズルすぎ。
いや、そんなのはどうでもいい。
早く寝すぎだろ!!!
16000円払って、ベッドを満喫しすぎてる!!
よし…ここから、取り返すしかない…!!
時計に目をやる。5時前。
いや、早すぎだろ…
気合を入れて、起き上がる。
ベッドサイドのランタンが眩しい。
電気を切ろうとする。
あれ…
あれ…?
つまみをクルクル回すが、灯りは大きくはなるだけで、小さくならない。
え、何これ。
しかも、消えない。
なんでやねん。
おしゃれだと、間接照明を強要されるのか。
朝からすごい嫌な気持ちになった。
アホみたいに広いお風呂に向かう。
お湯を張って、湯船にでも浸かろう…
素晴らしいことに、風呂が自動だった。
しかし、初めて使うので、何もわからない。
ボタンをぽちぽち押す。
「16分目まで42℃でお湯を張りマス…」
うおっ、びっくりした。
なんか喋った。
マックスを20としてるのなんか気持ち悪いな
これで多分お湯が溜まるっぽい。
数分待つ。
いや、溜まるのおっそ。
待ちくたびれて、せっかちなぼくは、湯船に入る。
熱っ…!!
これ、横の丸いところからお湯が溜まってくタイプのお風呂だ!!
噂には聞いていたけど、人生で初めて入りました。貧乏人すぎるだろ。
と、いうことで、午前5時、昇り始めた陽に照らされながら、横のお湯が出てくる丸いところで、ぼくはかかとをやけどした。
毎ターン16分の1ダメージかつ、物理攻撃半減である。
い、痛え〜…
風呂から上がり、外で涼みながら、海を眺める。
心地よい風が吹き付ける。
かかとを冷やす。めっちゃ痛い。
こんな時にかかと火傷する奴が、どこにいるんだよ。
あっ…ジャグジーで足湯しながら酒飲むの提案したのに、めっちゃ無視されてんじゃん…
かかと火傷したし、まあいっか…
11.焚き火
ぼく、マジで何しにし来たんだろう…
かかとの火傷と、爆速で寝てしまったことが悲しみをじわじわと心に広げてくる。
ああ、ぼくの16000円…
部屋に戻る。
隣の野郎が目を覚ます。
ニチャァ…
「おはよう」とぼくが笑う。
素敵な目覚めになんてしてやらないからな。
やることもないので、焚き火でもしようという話になる。
まだ寝ている、「おはようと笑う君」だったら嬉しい方の人たちを起こさないように、そっと部屋を出る。
なんだかんだこいつとぼくは仲良しすぎて、いろんなレジャーをしすぎている節があるので、
焚き火なんてお手のもの。
ただ、火種となる、新聞紙がない。
なんか設備めっちゃおしゃれだけど、さっきから痒いところに手が届かなすぎる。
と、まあなんとか火を起こし、少し寒い外で、暖を取る。
この火を見ながら、コーヒーでも飲もうとするが、コーヒーがない。痒いところに手が届かn...
紅茶があった。
おほほ、素敵な朝ざますね。
お湯を沸かして、それを飲むことにした。
それはそうと、「ティーバッグ」と、「ティーバック」って、めちゃくちゃ似てて、どっちかわからなくなっちゃうくせに、
2択でエロを引いてしまう可能性あるのトラップすぎるだろ。
名付け親、みんなでボコボコにしに行きませんか?
とか思っていたら、お湯がわく。
お紅茶を飲んでいると、女子たちが起きてくる。
紅茶を淹れるように言われる。
いや、白湯とか飲むんちゃうんかいお前ら。
おしゃれな人は、白湯飲むんちゃうんかい。
寝起きみてえな顔しやがって。
いや寝起きだからそりゃそうなんだけど、めちゃくちゃ寝起きだった。
おはようと笑う君とか言ってる場合じゃなさすぎるだろ。
「素敵な朝」を整えた僕らを見て、
「モーニングルーティンの動画撮ろうよ」とか言ってくる。
一度しか経験しないような朝のことを、「ルーティン」とか言うなよ、バカがよ。
ユーチューバーに言ってやりたいなと深く思う。
お紅茶とパンで、素敵なブレックファストを過ごしましたとさ。
12.グランピング終了
女子たちが化粧をしだす。
それを見ながら話は続く。
メンバーの中に、春から小学校の教員になる人がいたので、着任した時にみんなの前でする挨拶を考えてあげることになった。
(ぼくが勝手に考えだした)
「みんなと楽しい思い出たくさん作りたいです」は絶対に入るよね。
あと、「みんなの方が先生より先輩だから、この学校のことたくさん教えてください」も入る。
そんなことを話し、めちゃくちゃ盛り上がった。
対策スペースで「トークを用意していく」と言うことになって、用意したトークが全然盛り上がらなかったくせに、こんなことが、1番盛り上がる。
こんなこと盛り上がるなよ。
化粧が完成して(可愛くなろうと頑張ってる女性は、非常に可愛い。いつもお疲れ様です)、
片付けを始める。
で、気づく。
ぼくには、雑用がお似合いです。
ぼくが荷物を運んだりしていると、メンバーの1人が昨日やったUNOを整理していた。
番号順、色別に。
要らねえだろその整理!!!
おしゃれぶりやがって!!
おしゃれなのか…?
片付けが終わる。
ゲルを後にする前にぼくは、ブランコを漕いだ。
ぼくは思い出した。
去年グランピングに来た時、メンバーの1人が、
DIYにより作られた椅子を破壊したことを。
このブランコも壊すんじゃないかと怖くなり、
隠れてブランコを漕いで、そそくさと後にした。
フロントに行く。
昨日と違うタイプのキラキラしたお姉さんが迎えてくれる。
「おはようと笑う君」だと嬉しい方の人だ〜!!
ここにいたのか!!
早くグランピングから、退散したくなっていたぼくは、ここで名残惜しくなった。
グランピング編おしまい。
9時のクジラVSキャンドル作りへ続く。