『モダン・ラブ』シーズン1・5話がグラは大好きで何回も見返しちゃいます。
ただのバズったツイートですけど、なんか羨ましい光景だなって思っちゃいました。公園で目の前の景色をありのままに受け入れながら、2人で時間の流れをゆっくりと穏やかに感じているのかな、と。
それで浮かんだのがPrime Video『モダン・ラブ』シーズン1・5話の『デートの幕あいは病院で』でした。僕の中でラブストーリーとしてトップクラスに好きな話なんです。ちなみにオムニバスなので単体の話として観れます。
■あらすじ
■弱い自分をさらけ出すことができるかどうか
この物語の素晴らしさは、他者からの見られ方を気にする2人がお互いに弱みをさらけ出した上で共感し合い、まるですでに長い付き合いかのような関係性へ変化することだと思います。
・他者からの見られ方を気にする2人
この物語は、2人とも他者からの見られ方を気にしている人物であることが描かれているように感じました。
ヤスミンは、デート中も随時SNSの更新とその反応を気にしていることに加えて、実生活においても男性からの視線を集めたがっているという、他者からの承認欲求を抱えるキャラクターです。
また、自己肯定感が低いロブは、街行く男性たちのヤスミンへの視線を感じ取っており、自身が彼女に釣り合っていないのではないかという、他者からの見られ方を想像しては自己嫌悪に陥るキャラクターとして描かれます。
そのため、物語の序盤で2人が二択式の質問を投げかけ合う軽い話ばかりを続けて、深い話をできずにいるのは、2人とも見られ方を気にしているからこそ、弱さを含めた本当の自分をさらけ出せないから、だと思いました。
・さらけ出されていくお互いの弱さ
そして物語は、デート中のロブの怪我をきっかけに病院に舞台を移します。
ロブは、服用薬の話題をきっかけに不安発作を抱えていることや自身がヤスミンに比べて平凡であることを気にしていること、を打ち明けます。加えて怪我におびえてしまい「軟弱な一面を見られた」ことを気にかけています。
弱さをさらけ出すことは、他者からの見られ方が変わってしまうのではないか、という恐怖心を伴うと思います。ですがそんな弱さを見せたロブに対してヤスミンは、彼の弱さを受け入れる「いいじゃない」というセリフを返します。一言だけど、思いやりと誠実さに溢れた、僕が大好きなセリフです。
ちなみに着替えのために病院でロブが全裸にさせられるシーンは、彼が見られ方を気にするキャラクターだからこそ文字通り丸裸にすることで、ここから内面をさらけ出していくメタファーかな、と深読みをしてしまいました。
そしてヤスミンもまた、SNSの反応の少なさへの落胆や、街行く男性から視線を集めるよう自ら誘っていることを打ち明けます。ですが元彼が彼女を責めたのとは対照的に、ロブは共感を示します。きっとロブは、見られ方を気にするのは自分もヤスミンも同じだということを感じたのかもしれません。
・共感を経て生まれる精神的つながり
お互いが弱い面をさらけ出し、精神的なつながりを感じさせたところでシーンは朝に変わり、平穏を感じさせるムードになります。
ここで好きなのはヤスミンの描写です。退院の準備で服を着ていくロブに対して、ヤスミンはウィッグやつけまつげを外していきます。他者からの見られ方を気にするヤスミンにとって、ロブに対しては"本当の姿"を見せられるようになったことを表したシーンだと思いました。
その後2人は公園へ移動したところで、ロブはヤスミンの気遣いに対する感謝を述べますが、うたた寝をするヤスミンは「少し黙ったら?」と返すのがめっちゃ素敵なセリフです。
物語前半(救急車内のシーン)でも出てきたこの「少し黙ったら?」というセリフですが、このシーンでは意味が全く違って聞こえ、精神的なつながりを経たからこそ「言葉は必要ない」と言っているように感じちゃいました。
■まとめ
僕がこの物語が大好きなのは、結局のところ自分自身があまりさらけ出すタイプではないし、上手に話をできずに軽い話題しかできないさえない男ということが、重なっているからかもしれません。
だからこそ、弱さへの共感を含めてつながることができた2人で、ゆったりとした時間を感じることができるとしたら、それはめっちゃ素敵なことだと思います。そんな訳で、公園でマックを食べられるような関係性が羨ましいって思っちゃったのかもしれませんね。
まあ深読みしすぎているかもしれないですけどね。ちなみにあと『モダン・ラブ』で好きな話はシーズン1の1話『私の特別なドアマン』・3話『ありのままの私を受け入れて』・4話『夫婦という名のラリーゲーム』です。