また一つ、自分を好きになれた
夏休みに地元に帰省しました。
私が地元を離れたのは高校を卒業して大学に進学する時。兄とは歳の離れた末っ子で、それはもう大層両親に可愛がってもらいました。
にも関わらず、「地元は息苦しい!出ていきたい!」と県外の大学へ進学し、親元を離れていったことは、自分の人生とはいえ今でも少し親不孝の気持ちが湧いてきます。
ですから、時間の取れるときはなるべく帰省し、少しでも親と過ごせる時間が作れればと思っているのが大きな理由です。
そんなわけで今回の帰省も両親・兄と家族全員がそろって過ごす時間を楽しんできました。
帰省に際して聞いておきたかったこと
先日会社の同僚がめでたくご懐妊となり、名前をどうしようかと嬉しそうに悩んでいる顔を私に見せてくれました。
特に仲のいい同僚だったので私も頬をほころばせつつ、忘れていた記憶をふと思い出したのです。
私の地元の風習…なのか、家柄なのかはわかりませんが、兄に子どもが生まれたとき、母親からこんなことを教えてもらったんです。
「あんたらが生まれたときはおじいちゃんが病院まで飛んできてね、有無を言わさず勝手にあんたらの名前をつけていったのよ。私らの意見なんかは一切聞き入れてくれなかったわ。」
「お父さんは本当はこんな名前をつけたかった、っていうのもあったみたいだけどね。まぁそれは、画数の問題とかもあったから結局は関係ない話になっていたんだけど。」
そんなならわしがあるなんて全く知らなかった私は驚きました。
結局、兄の子供に関して名前をどうするかに関しては父親に尋ねていたものの当の本人が沈黙を貫いたため、兄夫婦が自分で決めた名前を子どもたちに授けることとなりました。
兄の子どもの名前は兄が決めたほうがいい、となんとなく思っていたので私はその選択と名前を嬉しく思いました。
ただ、以前のnoteでそのファザコンっぷりを全世界に知らしめた私ですから、なんとなく自分の父親の人生の中でそういう経験をすることがないことがちょっとだけ私の心には小さいトゲのように、チクリと痛みました。
父とドライブ中に話したこと
以前にはまったく芽がなかったお話ですが、私にもそういうお話の可能性(あくまで可能性)が出てきまして…
今回の帰省に際して、私は父にその話を思い出して話してみることにしました。
R「すごく先になるし、こればっかりはどういうことになるかはわからないけどさ。もし俺が結婚して子供が生まれるってなった時に、名前はどうすればいいの?やっぱりお父さんが考えるものなの?」
そうはさせてあげたいという気持ちがあるものの、自分も考えてみたいというちょっとだけ複雑な気持ちがありながら、父におそるおそる尋ねてみました。
父の答えは私にとっては意外なものでした。
父「いや、そんなん自分たちで決めるべきだよ。子どもの名前は親が決めるもんや。それが一番いい。」
ほっとしたような残念なような。私の心には二つの気持ちが共存していました。
ただそれでOKと安心して話だけ進めるのも忍びない。私が以前に聞いていたことも父に尋ねました。
R「でもさ、お母さんから前に、俺たち兄弟の名前は全部おじいちゃんが勝手に病室まで決めて勝手に決めたって話聞いたよ。小学生の時に学校の宿題で『自分の名前の由来を聞いてくる』って課題があって、その意味とおじいちゃんが決めたって聞いたことを今でも覚えているけど」
父「意味はあっているし、おじいちゃんがRの兄ちゃんの名前をつけたのは確かだけど、Rの名前はお父さんが付けたよ。」
父「兄ちゃんが生まれたときに職場から慌てて病院に行ってな、お母さんのベッドになんか紙が貼ってあったんだよ。」
父「それで意味がわからなくて『これなんや?』って横にいたばあちゃんに聞いたら、ニターって笑いながら『おじいちゃんが先に来て、名前つけていったよ』って言われてな。もうえらい悔しくて笑」
父「Rが生まれる前は、おじいちゃんたちと大喧嘩しながら『次に生まれてくる子は、絶対俺が名前つけるからな!!』って宣言してな。名前を付けたんだよ。」
父「だからもしそうなったら自分たちでしっかり名前をつけてあげなさい。お父さんは名前を付けたことがあるし、みんなそうするべきだと思うよ。」
父はそういう風に話してくれました。
おじいちゃんのことは幼稚園の頃に毎日のようにおじいちゃんの家で可愛がってもらったから今でも大好きだし、年齢を重ねておじいちゃんの好きだったものについて話してみたかったっていう気持ちはあるし、お墓参りも出来る限り行きたいと思えるくらいに大好きです。
だから語弊はあるようですが、おじいちゃんが自分の名前をつけていたとしてもなんの不満もない。
ただ、それを私にとってもっと意味のある父親が付けてくれたという事実は私にとっては代えがたい経験でした。
この一言を受けて、衝動的にアカウント名のすべてを自分の本名に変えてしまいそうになるくらいに嬉しい一言でした。
昔読んだマンガのシーン
何巻か、詳しい内容も完全に忘れてしまいましたが、漫画『キングダム』ですごく心に残っているシーンがあります。
主人公の信が敵の将軍を倒した夜に「お前と隊の名前は今この瞬間に相手の国に知れ渡っていった」みたいなことを言われて「こうやって武功や名前を重ねていくんだ。」「そうやってなっていくんだ。天下の大将軍に。」
当時は意味も分からずにただ心に残っていたシーンだったけど、今なら信と同じような気持ちにちょっとはなれる気がします。
父親がそうやってつけてくれた名前を呼んでくれる人がもっと増えてほしい。
自分を知ってくれる人が増えてほしい。悪名ではなくて、純粋な私の生き様として。
めくって自分の名前が出ることの責任とか、プレッシャーに耐えられるか?ちゃんとそれに恥じないように生きていけるか?
不安はあるけど、きっと大丈夫だと思います。こんなに大好きな名前なんだから。つけてくれた父さんがいつまでも自慢できるように私は頑張れるし、頑張っていきたいと思います!!
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