TVアニメ 機動戦士Vガンダム

「この作品はとても見られた物ではないので買ってはいけません!」

見終わった。富野由悠季が描く戦争(というと物騒だが)、戦争の中に身を置く大人たちの感じが好きだな。ツイッターでファーストのクランプのことを優しすぎるとか書いてるのがバズってたけどそうじゃなくて、生身の人間、まして子供を見たら撃てないのが当たり前の大人なんだよ。大人は身近な人のために当たり前に命を捨て、それがその中で描かれる宇宙や子供への希望みたいなのを際立たせてて、本当に富野由悠季しか描けないものだと思う。

最終決戦では怨念に取り憑かれた大人達は錯乱して死に、老人も死に、女も死に、子供も死ぬ。だけど死んだ人達の思いがウッソを生かし、サイキック達の想いは戦闘を放棄した人たちとシャクティを生かし、健やかに育つカルルマンとマーベットの子供と罰を受けたカテジナが残るという、希望のあるラストだったと思う。

・最期に両親の心を感じるオデロ、ニュータイプの感応によって当たり前のように死んだ人と話すウッソなどエンジェルハイロウの最後の決戦はもろに人類補完計画で、イデオン発動篇と合わせて富野作品が庵野秀明に与えた影響がよくわかる。

・特攻に怖気付いて無言でジャンヌダルクを離れ、はしっこいやつと貶されたあげくその後が描かれないジン・ジャハナムことハンゲルグ・エヴィン、「若い者が生き延びれば、この名前は私のものとして語り継がれる」と嘯いて特攻するジン・ジャハナム(ジン・ジャハナムじゃないの)、若者のためにここを死場所と決める老人達。ドラマの中に富野の意思が見える。戦死を安易に悲劇にしないところも好き。

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