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#2-1 組織の一員として、適切な内省とは何か?【対談リフレクション】

みなさんこんにちは。MAWARUリフレクション事務局です。MARARUリフレクションでは、今回新しい試みとして「対談リフレクション」を企画しました。リフレクションの実践者と対談しながら、ざっくばらんにリフレクションを深めるイベントです。

今回は、組織開発をされている一般社団法人ポリネの徳里政亮さんと事務局で2つの問いをテーマに対談をしましたので、その様子をお届けします。

お忙しい方は概要だけでも、ご興味ある方はぜひ対談本編もご覧ください。


ゲストプロフィール

徳里 政亮

一般社団法人ポリネ 理事・共同創設者・ボーダー
産業カウンセラー、健康経営アドバイザー、 MBTI認定ユーザー

1986年、沖縄県生まれ。琉球大学工学部卒後、2009年に日本トランスオーシャン航空(株)に入社後は客室乗員部の乗務スケジュールマネジメントや財務担当を担った。2013年からは株式会社BowLの設立メンバーとして、沖縄県では民間初となる「うつに特化した復職支援(リワーク)」の事業を立ち上げた。現在は人材育成、組織づくりの専門家として県内企業や官公庁向に出向き、各種研修、経営管理者向けコンサル、ファシリテーション業務に特化して活動している。
https://www.poline.or.jp/about/#a1
https://www.bowl.co.jp/member

事務局側プロフィール

山下 徹(東京都小学校教諭)
山下さん紹介記事はこちら
https://www.sensei-no-gakkou.com/article/no0029/
https://note.com/sensei_no_gakkou/n/n31bc7b9ca666
https://toyokeizai.net/articles/-/475396

中島 久樹(RML代表)
リフレクションをテーマに、様々な活動を展開している。リフレクションメソッドラボラトリーを立ち上げ、リフレクションカード®やモニカなど、リフレクションを促進させる数々のツールや手法を開発している。


今回のテーマ

テーマ1:組織の一員として、適切な内省とは何か?(今回)
テーマ2:適切な内省を促すには、どのような条件や要素が必要か?どうやったら自身で適切さを評価できるのか?(次回)

対談から見えてきた知見(今回分)

・他者に内省の問いかけをすることはとても難しい
・内省を促す問いかけをすると「私が悪いんですか?」と被害者側に立ってしまう方もいる
・適切な内省にはゴール感が必要
・でも、「自分たちでこうなりたい」より「あなたにこうしてほしい」というゴール感を持ってしまいがち
・その背景には「会社は自分たちでは変えられない」という無力感がある。自分に対する自信のなさもある
・私たちは被害者ですっていう立場を取ることで、リーダーが加害者になり、加害をする人が悪いっていう構造が出来上がる
・自己肯定感を持つためには悩みは大したことではない、と思えることが大切
・メタ認知のトレーニングと、継続することが必要
・適切な内省には自分に問いを投げてくれる媒介者が効力を発揮する
・外圧に負けてしまうのは、自分が何たるか?を持てていないからである
・どうしようもない状況と、それを打破したいと思うゴール感が、内省のレディネス(準備)を整えてくれる

組織の一員として、適切な内省とは何か?(今回)

中島)
それでは本日もよろしくお願いします。

本日のテーマは2つですよね。

①組織の一員として、適切な内省とは何か?
②適切な内省を促すには、どのような条件や要素が必要か?

リサーチクエスチョン(探求すべき問い)として、まずは「適切な内省とは何か?」みたいなところを話していければいいと思うんですけど、徳里さんよろしいですか?

徳里)
はい、思いつく感じでしゃべるんですけど、内省って自責でも多責でもないっていうのがやっぱりあると思うんですけど、どうしても組織支援に入る中でメンタル不調になる方は自責が強くて、もう少し自分を俯瞰して見ることが必要だなって思うんですね。

組織支援をしながらチームビルディングをしていく上で、メンバー一人一人がすごく経営者に対する要求が大きかったり・・。逆に経営者に対して支援するときには、メンバーが求めることをやれてないという発言があったり・・。

経営者に対して内省に向ける問いっていうのはすごく出しやすいんですけど、一方でメンバーになるとすごくばらつきがあると思います。メンバーの中には被害者側の立場に立ってしまう方もいて、ずっと被害者側の立場を取ってしまうと、内省がすごく難しい感じがするんですよ。

内省をするような問いかけだったり関わり方をしても、何でしょう・・(メンバーの方は)時に僕らが経営者の擁護をしているように感じてしまっていると思うんですよね。だからすごく難しいんですよ。メンバーの方が「結局は、何ですか・・それって私が悪いんですか」みたいな・・感じになってしまうこともあって。

経営者を擁護する側だけではなくて、メンバーの立場に立って一緒にどうにかできないかなと思うんです。

これがすごく難しい。

だから時間をかけて関わりながら僕らの言葉を受け取れるような状態まで作ろうと、まずは心がけをします。最初はただただ受容する。内省もせずに。

ただ一歩踏み込むとき、多分僕らもすごく勇気を持って踏み込んでフィードバックしていくんですけど、受け取る側の、何でしょう・・ちょっとしたこの本人のコンディションとかが、僕らが知り得ない彼らの過去、何かに触れたときにその問いが、内省と大きく離れたところに行ってしまって、「自分たちに寄り添ってくれていない」みたいな。

ある場面では、1時間ぐらいかけて電話で話を聞いていたのに結局は、寄り添ってくれてなかったみたいな感じの流れになってて、ここは、とっても難しいなって・・内省するって相当ハードル高くないかって少し思ったわけです。

その愚痴とか不満を聞いても、それを僕らがリーダーに代弁しても何の意味もないじゃないですか。その話を聞くのはできるけど、自分たちが何を課題に感じてて、それをどう自分たちでリーダーに伝えるかっていうことが重要だよね。っていう内容をお伝えしました。

そのためにどういう風に言えそう?って自分で課題解決するための関わりをするんですよ。

でもここら辺がね難しい。ちょっと前まではずっと話を聞いてくれてた人が急に返してくるっていう感じになってしまって。

僕らは「支援者」ではなく、「解決してくれる人」だと思われてるんですよね。

この辺りがね、僕の感覚だと3年生の娘と喋ってるような感じでした。

中島)
なるほどね。すごいよくわかります。山下さん、ここまでの話を伺ってどうですか?

山下)
今までの話を聞いて思ったのは、メンタルモデルじゃないですけど、実際その人のメンタルモデルが変わらない限り、物事って変わらないっていうことを知らないといけないっていうのを思いました。

リフレクションの中で言うと、それこそ熊平さんというリフレクションの本を出されている方が認知の4点セット仰ってますけど、自分の意見っていうものは、どういう経験を元にして、その背景には、どんな感情があり、どういう価値観を持っているのか、やっぱりそのようなことを知らないといけないんじゃないかな、と思います。

その中でも、聞いていて感情だなって思うんです。負の感情って強いものでそっちに思考が流されちゃうんですよね。プラスの感情って言うと、そこまでいかないんですけど、負の感情ってすごい思考を揺さぶりますよね。でもその人が、自分で自己認識していくっていうのは、相当、骨のおれる仕事で。。そこに気づくっていうところが大変で。どうなんでしょう。っていうのは聞いててすごく思います。

中島)
なんかこんなのもあるのかなって思ったんですけど。内省の場っていうのは実はやっぱりステップがあって、最初は理解と共感の場みたいなところが必要じゃないかと思いました。
経営者の方は最初から内省を目的に場に参加できてるけど、従業員の方々は、そういうことに慣れてないこともあって、内省の場にいきなり参加するのは難しい。その前に、理解と共感をやっていかないといけないところもあるのかなって。

今日のテーマは「適切な内省とは何か?」なので、それを自分なりに考えてみたんですけど、いろいろ条件はあると思いますが、ゴール感ってのも絶対大事じゃないかと思うんですよ。内省をやった結果、そのゴールとして「今より良くなろう!」という気持ちを持つことがすごく大事だと思うんです。

なので、まずは理解と共感の場をこなした後、この先のどんなゴールを目指すの?というゴール感が必要。それがないと、適切な内省はできないなって感じています。

徳里)
その意味ではまだ、そういうゴール感がないのかもしれないです。ここでゴール感って「自分たちで良くなろう」ですよね。でも、実際は「経営者や組織開発コンサルタントの、『あなた達』が良くしてください」なんです。組織を良くするのは、私たち(自分たち)じゃないわけです。あなたたち(経営者、コンサルタント)って構図が、あるのではと感じています。

経営者に対して、今後何をしてほしいか?ではなく、チームがより良くなるために今後何が必要か?っていう問いに切り替えたんです。
それでもすごく引っ張られて、リーダーの何々さんは、いつも話を聞いてくれないみたいな感じになって、すぐ引っ張られるんです。

だから自分たちのゴールがないっていうのは、『自分たちで』より良くできるというゴールがないっていう感じはやっぱりあります。能動的なゴールなのかな・・・。

なんかね今日ふと、思い出すことがあって・・・これと関連しながら小学3年生の娘が言ってたことを思い出して。
例えば今、いじめ問題があったりとか何かあった時に、直接児童同士でやり取りをするな・・なんですけど「必ず先生に言ってください。先生が注意します。」なんですね。当人同士でやり取りさせないんですよ。要はリスクが広がるから。

で、娘ですけどね。トイレ掃除で便器にうんこがこびりついてたと。で、この学校のルールでは、先生に言いに行って先生がやってくれるらしいんです。汚いものだから、みんな嫌がるみたいで先生たちがやってくれるらしいんですけど。

なんかこんな感じで解決するんです。目の前の困難なものとか見たくないものとか、汚いものは、自分たちじゃなくて誰かが解決してくれるものみたいな。今の小学校の中でもあるんだな。って感じていて・・なんかね。それに近い感じなんですよね。

中島)
なんか感覚的に、消費者マインドな感じがしますね。

徳里)
そうそうそう、そんな感じ。言われたことだけしとくのが仕事でしょ。っていう感覚って結構あると思うんですよね。

中島)
「会社は自分たちが変えられるものじゃない」っていう前提がある気がしますよね。自分たちだけでは会社は変えられない。だから要望するんですよ、リーダーとか経営者に。そう思いますね。

山下)
なんか子供の文脈じゃないけど、なんかお話を聞いていて、自己肯定感が低い方々の会話だなって思います。要は、自分で何かを変えられるとは思ってないっていうのは、本当にそうだと思いますし、苦や、負の経験しか多分していない、またはその記憶が強いんだと思うんですよ。今までやってきたとしても全然できなかった。その負の感情がたまってる感じがするんですよね。
だから、やっぱりスモールステップが必要ですよね。よく言われるんですけど。その小さな成功体験から始めていくっていう部分がすごくあるような感じがしますね。

徳里)
そうかもしれませんね。ちなみに、そこにいるメンバーは全員転職してきてるんです。で、前職では多分それが言えなかったわけですよ。中々物事が言えなくて、それで自己肯定感も低い状態が前の会社ではあったんじゃないですかね。

でも、実は今の会社はかなりものが言える会社なんです。リーダーに対してこんなふうに不満を言えるし、対話しようって会社が言ってるし。

で、他の会社から転職してきましたってなると、もちろん言えない構造から来てるわけですけど、実は、十分言えてるんですね。

さっき弱者(消費者)マインドという話がありましたけど、なんかハラスメントと似てると感じました。

というのは、「それってハラスメントですよね?」って言うと途端に弱者が強くなるじゃないですか、今の時代って。なんかそれに近い感じですよね。

私たちは被害者ですっていう立場を取ることで、リーダーが加害者になり、加害をする人が悪いっていう構造が出来上がっている、そう思いますね。

だから自分の殻に閉じこもってるって感じです。だから他者を非難してる以上、自分は傷つかないんで、だからそこなんだって思って、まあだからすごく自信がないんだと思うんですよね。

山下)
自信がない状態を回復させるのって、子供もそうなんですけど、「これってそんな大したことないじゃん?」っていうところが思えるかどうかだと思うんですよね。

子供って特にそうなんですね。例えば、みんなの失敗経験を話すとか、そういう話をしてみて、「辛かった経験は実は大したことないよね」って思うことが大切です。それがないと、自己肯定感ってなかなか回復していかない。

実際なんていうんですかね、そういうのがすごくあるのが小学6年生の人間関係の悩みなんですよ。女の子のね。で、リフレクションカードをやっていると、その対話の中で「自分だけじゃないじゃん・・こんな悩み持ってるの」っていうところが共有されていくんですよ。

チームビルディングとしてのリフレクションカードってそういうところでは凄くいいなと思うんですよね。自分の悩みをそこで相談してみるんですよ、そしてそれを皆が受容してくれる構造をつくること。そこってすごく大きいなと思ったりします。

徳里)
なんか、最近フォローしてる人の投稿で、なんだろうな・・命は大切ですって語っても、みんな命の重さはわかってるよ、ということになる。でもその命の重さよりも辛いことがあって、自死の道を選んでしまう方もいるわけじゃないですか。重要なのは、命の価値の重さを伝えるのではなく、外側に問題の価値を下げることだと。大したことないよって。あなたの悩みは、そんな大したことではないと。よく言われるのは、人は自分で思うほど、自分のことを見てない。みんなそんなに見てないから大丈夫だよみたいな。よく変わりますし、本当にそうです。

山下)
そうですよね。適切な内省というところの文脈で言うと、メタ認知が低いと思うんですよね。
メタ認知が高くないと適切な内省っていうのはできないと思うんですけど、この部分で皆さん、俯瞰していないというか・・。だから、多分大したことないと思えるっていうのは、大局的に見て、俯瞰して見れたからだと思います。だから、適切な内省のためにはやっぱり、大局的に見る、俯瞰するっていう視点を与えるべきなんじゃないかっていうところです。

中島)
あとそれと、他と比較してってことも必要かもしれないですね。比較しないと、それが高いかどうか分からないわけですから。それがさっき言った「みんな同じつらい思いをしてるんだね」ってところだと思うんですよ。他の皆とも比較して、じゃあ私のこれもそこまでではないのかなって。そんなもんなんだって思えることって大切ですかね。

徳里)
確かに俯瞰してみないと難しいですね。今そういうつらい思いとかを共感する、共有する場っていうのはなかなかないですものね。弱みを見せてはいけないみたいなところがある。

会社組織とかの中ではそこをすごくやってきてはいるんです。でも今振り返って思うのは、例えばリフレクションカードをやっても、一回こっきりでは変わらないじゃないですか。多分何度も何度も繰り返ししていくことが、重要なんですけど、どうしてもその企業の中でずっとリフレクションカードを繰り返すっていうのは、それだけでもハードル高かったりするんですよね。同じことを繰り返してやってるっていう風に。でも、すごく意味のあることなんですよね、やっぱ反復って重要かもしれない。今改めて気づかされました。

中島)
そうだと思います。適切な内省の一つとして、継続性ってあると思うんですよ。
継続してちゃんとできるかどうかっていう、何回も繰り返すかどうかっていうところなんですけど、それを繰り返さないと。

さっきゴール感を持つことが大切と言いましたけど、ゴールを持つ力とそれをちゃんと何回もやり続けられる反復性継続性っていう2つが大切だと思います。

徳里)
内省って、分かりやすく言うと「自問自答スキル」って言えると思います。多分、哲学的な哲学対話みたいな問答だと思う。

でもそれって、それができる人は全人口のすごくマイナーな人たちなんだろうなと思うんです。大抵の人はそういう、一個一個に問いをかけるってやってこれてないなって。その一人が僕なんですけど・・。

でも、僕の場合は、リフレクションカードの出会いもそうだし、いろんなメンタルモデルっていうものを教えてくれた人とかいろんな人たちの関わりの中で、内省に誘ってくれる人がいたわけですよ。メンターが。

そうすると、何々さんだったらこの時にこう言うだろうな、みたいな自問自答ができるようになりました。実際その場にはいないけど、自分の中にリトル何々さんみたいな人がいっぱいいるわけです。

リトルメンターが自分の中にいるんですよ。だからその人とも、対話によって内省してる感じもするんですよ。もちろん、まだ自己否定と他者否定を繰り返すことがやっぱりまだあってだから勝手にイライラしてるわけですけど。

でもやっぱり内省ってことを考えると内省しよっかってふと感じる時に何々さんだったらこう言うだろうなって・・問答するんです。

から適切な内省は、なんだろうな・・媒介者が必要なのかなって思ったりするんですよ。

中島)
そうですね。リフレクションカードも、その役割を担ってくれるツールだと思います。
媒介者と言えば、山下さんも以前同じようなことを言われてましたよね?

山下)
そうですね。私の場合は、上司が媒介者でした。前職で、営業マンをしていた頃、ずっと商談後フィードバックを上司から受けていて、その上司だったらこう考えるなという・・自問自答をしていました。

私の感覚では、問いがブーメランのように回ってくるような、だんだんとそんな感覚になっていきました。当時はしんどかったんですけど、しだいに私自身の行動が変わっていったんですよね。

ブーメラン中は、それはしんどいんですよ。でもそのしんどいのを抜けないといけないんですよね。

徳里)
そうですね。内省するときは、しんどいんだけど、続けていればそのしんどさの間隔がどんどん短くなっていったり、軽くなっていくっていう感覚はやっぱあります。

でも、なんだろう・・さっきの話で言えば、内省じゃなくて反応して、怒ってしまったりだとか、化石になってしまったりしたみたいな・・そういうパターンもあるわけであって。

媒介者とか、いざなう人ってさっきのキーワードかな。いざなう人に出会った時に、そこで、いざなえない時もあるじゃないですか。僕らとしては、僕らがいざなう人になって、いろいろな場で関わってみて、いざなわれてくれる人もいれば、全然いざなわれてくれない方もいるなと思って。

〇〇さんがその時に、ちゃんといざなわれたのはなぜだろう?山下さんがいざなわれたのはなぜだろう?って考えたんですけど、何がポイントなんですかね。

・・レディネス? 準備?そっか、準備が必要なんでしょうね。

思えば、リフレクションカードの研修だって、そんな大層なことはやってないのに超称賛される時があるんです。本当に今日の研修は、素晴らしかったです!って。それって本人が、僕らが意図しないところで、勝手に受け取り、内省する準備があったんだろうなと思う。

内省の準備といえば、仕事をしていたら、どっかで壁にぶち当たるじゃないですか。

例えば、管理職になった人が、これまで自分でプレイヤーしてればよかったのに、それに加えて誰かも見ないといけないとか、そういう視点や視野・視座が拡張した時に、どうしても今までのやり方では無理だ!ってなって。そういう「どうしよう??」っていう段階に来たら、無意識に内省の準備が整っているのではないですかね。そういうのがない状態なのかなと思ったんですよ。そういう段階に行かないんですよね、多分。

山下)
なんか価値観として、それを持っていることが一つと、もう一つその人自身の目的、目標も必要だと思います。

町支先生が言ってたキャリアのモデルで、要は将来的なキャリア感を持っている人がリフレクションの成長、促進が早いという研究があります。つまり目的をもっていないと、リフレクションが促進されないという・・。目的をもっていなければ、そこに問いが壁打ちとして当たっていかないので、効果がないんですよね。

もう一つ思うのは、コルトハーヘンの玉ねぎモデルというのがあるのですが、その中で外圧に負けてしまうっていうのは、自分の価値観が何たるかを知らないからだ、ということだと思っています。自分が何たるかを土台として持てていないので、外側に全部反応してしまうんではないかなと・・。

社長の言葉然り、他の(自分の)外側の出来事然りです。

教員の退職者が多いっていうのもその辺かと思ってて「こうあらねばならない」のような外圧に自分自身が押し潰されてしまうのではないかと思います。
自分はどういうところにイライラするのかとか、自分はどういうところにワクワクするのかっていう・・そこから自分の何たるかを見つけていければいいのですけど、難しいですね・・。

徳里)
自分でも言語化してないから、その正体が分からないってやつですね。その正体に気づくのって、何年生ぐらいからできます?リフレクションカード、コーチングしていって自分のイライラの根源に気づくって何年生ぐらいから可能なのですかね?

山下)
中学年ぐらいからは可能だと思いますけど、結構できると思うんですよね。

たとえば、イライラしている子がいて「どうしてイライラしているの?」「じゃあどうしたいの?」「どういうふう になりたいの?」「先生にも手伝えることある?」こんなことを聞いてあげて、その解決状態と現実の差分を埋めることをしてあげるとよいと思います。

子どもたちでも、これぐらいは全然答えられるんですよね。イライラしている原因がわからない!となったとしても「どうしていきたい?」と聞いたら「〇〇ちゃんと喧嘩をしたくない。このイライラ を収めたい」とか答えてくれます。

徳里)
なるほど、子供の場合は仲良くしたいだとか、喧嘩したくないだとか、そういう話なら通りそうですよね。そのために何ができるか?って話につながりやすい。
でも、社会人の場合、じゃあどうしたい?のって言って、どうしたいがなかなか出てこない人も結構いるだろうなと思って。出てきたとしても、◯◯さんが言動を変えて欲しいとか、結局 そこで他責になってしまって、自分がどうしたい?ってなりにくいなと思ったんです。

どうしたい?って言ったときに、意外と子供たち純粋だなって思うのは「自分がどうしたい?」って「自分」じゃないですか。それに多分素直に答えるんですけど。
それを大人に問いかけると、「他人」に何にして欲しいになるんですよ。こちらのコントロールじゃなくなるんですよ。それはなぜだろうなぁ。

防衛本能なのかなぁ。。

そこをクリアするには、多分、自分のファイアウォールを一旦横に置かないといけないですね。他人のファイアウォール内に侵入するのが怖い。自分のファイアウォールに侵入されるのも怖い。でも、ガード下げてみるというのは、それは自分を傷つけるわけではなくて、自分がより自分を理解するための、その結果として自分がより成長するための何かしらのサインだったりすると思うんですけどね。

でもやっぱり怖いから、攻撃だ!と判定したら、ファイアウォールを解除できないんだと思うんですよね。

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