月花美人開花 no59
とても美しい! 一晩しか咲かないと言う月花美人‼️ 美し過ぎる!
月下美人とは、サボテン科・クジャクサボテン属に分類される着生サボテンの一種です。自生地のジャングルでは、老樹の幹や朽ちた木、腐葉土の上などに根を張り育ちます。
波打った昆布に似た茎を生やし、1~2mほどの大きさに生長すると花を咲かせます。クジャクサボテン属の仲間は、2~3日の間日中に花を咲かせるものがほとんどですが、月下美人は夜。しかも一晩だけしか花を咲かせないことが特徴です。日本では6~11月に花を咲かせることが多いです。
昭和天皇がまだ皇太子だった頃、台湾を訪れた際に、月下美人の花に目を奪われたそうです。
このとき、昭和天皇に連れ立っていた田氏という駐在大使に名前を聞いたところ、田氏が「月下の美人です」と答えたことから、「月下美人」という名前が付けられました。
たしかに、花の性質や姿をよく捉えている表現で、納得してしまいますよね。英語でも「A queen of a night(夜の女王)」と呼ばれているんですよ。
月下美人は1晩しか咲かないことや、夜に咲くことから神秘的なイメージを持たれがちです。そのため、月下美人にまつわる俗説はたくさんあります。以下にその俗説をいくつかご紹介します。
同じ日に咲く 竹や桜で有名なソメイヨシノなど、一部の植物には同じ株の挿し木や地下茎で育った株のため、同時に花を咲かせるものがあります。
月下美人も日本に持ち込まれてから普及していく中で、挿し木や株分けによってクローンを作り、数を増やしたという経緯があります。そのため、全ての花が同じ時期に咲くという俗説が出回りました。
ただし実際は、株ごとに体内時計があり、栽培環境が似ていない限り、同じ日に花を咲かせる方が珍しくなっています。
1年に1回しか咲かない
神秘的な生態と、寿命が短いことと結びついて、1年に1回しか花が咲かないという俗説が広く知られています。
しかし、株がしっかりと生長し、生育しやすい環境であれば、年に3~4回花を咲かせます。ただ花を咲かせるために株は消耗するので、その株の充実度合いによって開花する回数は変わります。また、一度も花が咲かないということも珍しくありません。
新月や満月の日にしか咲かない
新月や満月の夜に、華麗な花が咲く姿は、想像するだけでも美しいものですよね。ただ、月下美人は月の満ち欠けと連動して花を咲かせる習性は持っていません。
花の特徴
6~11月になると、月下美人の花が咲きます。直径20〜25cmほどもある大きな白い花は、つぼみのときは下を向き、開花日が近づくにつれ上にもちあがって、当日になると大きく膨らんで花びらがのぞきます。
開いた花は、重なり合った薄い花びらの根元に長く突き出た雌しべがあり、その周りを取り囲むようにして絹糸状の雄しべがびっしり付くのが特徴です。
どんな香りがする?
月下美人の花は、強い香りを放つことで知られています。「甘く気持ちのよい香り」「上品な香り」「優雅で心地良い香り」と表現される、ジャスミンに似たやわらかい香りで、香水のように鼻をさすような刺激がないことが特徴です。
また、ベランダで咲いていると、一瞬で部屋いっぱいに広がるほどの強さがあります。香りは、周囲10mくらいの範囲に広がるようですよ。一晩しかかげない儚さがあるので、花が咲いたらぜひ香りを堪能したいですね。
花の香りはなんのため?
月下美人の花は、夜に咲いて翌朝にはしぼみ、その後二度と開くことはありません。夕方から香りを放つようになり、満開になる20時頃には香りがピークを迎えますよ。
その後2~3時間が最も見頃となっています。夜に花を咲かせるのはライバルが少ないためで、暗闇で目立つ白い花と強力な香りによって、花粉を運んでくれるコウモリを引き寄せます。日が昇る頃には昨夜の美しさが嘘のように、色も香りも失われてしまいます。
月下美人の若い茎は縁がゆるやかに波打ち、古くなると徐々に木質化していきます。見た目が平べったく、葉っぱのような茎から花を咲かせる姿がユニーク。夏〜秋になると茎の節につぼみを付け、花を咲かせます。
『あでやかな美人』
月下美人は、サボテン科・クジャクサボテン属に分類されるサボテンの仲間です。開花期は6~11月にあたり、下向きに付いたつぼみが徐々に立ち上がっていきます。
開花当日は、直径20~25cmほどの大きさの白い花を咲かせ、よい香りをあたり一面に漂わせます。この花の姿が、華やかで、女性らしい雰囲気を持っていることから、「あでやかな美人」という花言葉が付けられました。
『はかない美』『はかない恋』『秘めた情熱』『強い意志』
クジャクサボテン属に分類される多くの種類は、2~3日の間、日中に花を咲かせます。それに対して月下美人は、夜の暗くなってから花を咲かせます。
また、花の寿命は1日と短命。「はかない恋」「はかない美」とは、この花の美しさと、すぐに枯れてしまう儚さに由来しています。そして「美しい女声は寿命が短い、または病弱」という意味の「美人薄命」の語源にもなったといわれています。
古くから月下美人の花や実は、食用や薬用にされてきました。咳、喘息、肺炎など呼吸器系のトラブルや高血圧、体脂肪の改善に有効で、台湾では乾燥花をスープに入れて薬膳料理の具材にします。
また、熟した実は、生で食べるとほんのり甘みのあるサクサクとした食感。生花は、葉っぱの変化した萼から雄しべごと縦に引き裂き、ゆがいて三杯酢和えや水気を切って天ぷらにするとおいしく食べられますよ。
近年は昼咲きの近縁属と交配され、様々な園芸品種が生み出されていますが、日本に古くからある月下美人は、もともと1株の原種から増やされたクローンでした。
20種ほどある原種の仲間はすべて白花で、ピンク、赤、黄といった色とりどりの花を咲かせるものは、近縁種やその園芸品種にあたります。以下に、月下美人の種類や品種をいくつかご紹介します。
歌麿呂美人(ウタマロビジン)
月下美人と宵待孔雀(ヨイマチクジャク)を交配して作られた園芸品種です。花は直径17〜18cmほどと月下美人より小ぶりで、やや平べったい形をしています。
宵待孔雀(ヨイマチクジャク)
花びらは細長い線状で、雌しべの軸が紅色をしています。つぼみは薄緑色で上向きにつき、直径17cmほどの大きな花も上向きに咲かせます。
十三夜美人(ジュウサンヤビジン)
宵待孔雀とよく似た花姿で、すらっとした花は萼が淡いクリーム色、雌しべの軸は紅色をしています。花が咲いた後、鮮やかなピンク色の実を付けます。
姫月下美人(ヒメゲッカビジン)
香りの強い、丸みを帯びた花が特徴の小型の原種です。多花性で一度にたくさんのつぼみを付け、夜を越えて翌日の日中まで花が咲き続けます。
満月美人(マンゲツビジン)
月下美人と姫月下美人の交配種です。小輪ですが、華やかさは月下美人に見劣りしません。美しい花がたくさん咲く、交配親両者の長所を兼ね備えています。
食用月下美人(ショクヨウゲッカビジン)
1980年代に月下美人の別のクローンが持ち込まれたことで、果実ができるようになった月下美人です。ドラゴンフルーツに似た赤い果実は、開花から40〜50日ほど経って、少し割れてきたときが食べ頃です。
白眉孔雀(ハクビクジャク)
シダ状のギザギザした葉っぱをもち、低温に比較的強いといわれている品種です。白い花の下に、オレンジ味を帯びた鮮やかな黄色をした萼が付き、甘酸っぱい香りを放ちます。
月下美人は、「1年に1回しか咲かない」「新月や満月の夜にしか咲かない」といわれているサボテンです。
ただし実際は、株が充実していて環境が合っていれば、年に3〜4回ほどまとまって花を咲かせます。これは挿し木などのクローンによって増やされたものが流通しているので、開花日が近いこともあるようです。
そんな月下美人は、ちょっと個性的な植物を育ててみたい方におすすめです。もしかしたら、近所の月下美人が一斉に咲くという、ロマンチックな光景が見られるかもしれませんね。「あでやかな美人」などの花言葉をもつ月下美人の花を咲かせてみてください。
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