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ウェストハムvsリヴァプール~Simple is the best for West Ham~[プレミアリーグ第11節]
今季初のプレミアリーグ分析です!
試合概要
スタメン
【交代】
ウェストハム
22' オグボンナ→ドーソン
84' ボーウェン→ツォウファル
86' ベンラーマ→マズアク
リヴァプール
68' チェンバレン→チアゴ
76' ジョタ→オリギ
80'ファビーニョ→南野拓実
【得点】
ウェストハム
4'(1ー0) オウンゴール
67'(2ー1) フォルナルス
74'(3ー1) ズマ
リヴァプール
41'(1ー1) A.アーノルド
84'(3ー2) オリギ
(1)完璧なクロス対応
ウェストハムは4-5-1または4-4-1-1の守備ブロックを作り自陣、もっと言えばディフェンシブサードに引きこもって守ります。もともと引いて守る狙いはあったと思いますが、4分で先制点を取れたことでよりその傾向が強くなりました。
ミドルサードでのボールホルダーへの守備の最優先はボールを奪うことではなく、ドリブルで進ませないこと。そのためにプレッシャーをかける選手はかわされない程度の距離でボールホルダーの前に止まり、ドリブルでの前進及び中央へのパスを制限します。この守備をするのはボールホルダーが前を向いている時であり、後ろ向きの選手に対してはガツンと当たりに行きます。これが2点目のカウンターの起点となりました。このようなメリハリが非常に有効だったと思います。
この守備によってバイタルエリアへなかなか侵入できないリヴァプールはサイド攻撃、特に左SBのロバートソンからのクロスが攻撃の中心となります。ウェストハムが徹底していたのがこのクロスへの対応。右CBのドーソンがニアのポストの少し前で低めの位置にストーンとして立ち壁を作ります。これによってGKとディフェンスラインの間へのクロスを防ぎます。この壁を超えてくるクロスにはゴール前でヘディング鬼強のズマが跳ね返し、ファーサイドに入ってくるサラーには左SBのクレスウェルがしっかりマークにつき対応します。
ゴール前を防がれたロバートソンの次の狙いはマイナス方向へのクロス。しかしここもボランチのソウチェクがニア、ライスが中央に立ちケアしました。全てコースが消されたロバートソンは出すとこねえよ状態となっていました。
(2)難しいことはいらない
自陣にひく守備からもわかるようにウェストハムの攻撃はカウンターが中心。狙うのはリヴァプールのSB裏のスペースです。
ボールを奪ったウェストハムがSB裏の前に狙うのは2列目の3人。2列目のベンラーマ、フォルナルス、ボーウェンは全員ボールが収めることができ一度ここを経由してより正確なボールをSB裏に届けます。しかし無理してパスを出すことはなく、3人が厳しい状況なら省略してSB裏に大きく蹴り出します。
このSB裏のスペースに走り込むのがCFのアントニオ。スピードがあり、フィジカルも強いアントニオがサイドで時間を作っている間に2列目の3人が上がってきて攻撃に絡みます。カウンターにかける人数は多くてCFと2列目の合わせて4人のみ。他の選手は基本的にはカウンター時に攻撃には参加してきませんでした。
SB裏を狙うのはカウンター時だけではなくポゼッション時も同様でした。リヴァプールのプレスによってパスの出しどころがない時はとりあえずSB裏に向けて蹴り出します。このボールが味方に繋がる、相手のクリアによってスローインになるなどしてマイボールになれば全体を押し上げます。特に長身で得点力のあるソウチェクはペナルティエリアまで入ってきてクロスに対するゴール前の厚みをもたらしました。また、SB裏へのボールが繋がらなくても相手を低い位置まで押し下げることができるため、しっかりとセットしたところから守備をすることができます。
(3)破壊力抜群のコーナーキック
この試合のウェストハムの3ゴール中2ゴールはコーナーキックから。このコーナーキックにおいてウェストハムの工夫が見られました。
ウェストハムのコーナーキックではアントニオを相手のGKの前に立たせます。ここに立つことでGKは動きが制限され飛び出しづらくなります。1点目、2点目、そして56分のクロスバーに当たった場面もヘディングをしたのはゴールエリアの中。普通であればGKの守備範囲ですが、アントニオに動きを制限されたことでアリソンは飛び出すことができず、ゴールに近い位置でシュートを打つことができました。
組織が複雑化している現代のサッカーの中でウェストハムの構造は非常にシンプル。しかし、選手の良さを最大限に活かす構造であり、ウェストハムにはベストな構造です。難しいことはしない、シンプルに強いのが今季のウェストハム・ユナイテッドです。
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最後までご覧いただきありがとうございました!
プレミアリーグも1つ中心で見るチームを決めたいんですけどどこがいいかな?