[試合分析]インテルvsレアルマドリード~レアルマドリードの新たな姿~[CLグループステージ第1節]
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試合概要
メンバー
インテル 0ー1 レアルマドリード
【得点者】
レアルマドリード
89'ロドリゴ
(1)ハマらないマドリーのプレス
前半のマドリーはプレスが全くと言って良いほどハマらず、インテルに簡単に回避されてしまいました。マドリーのプレスはインテルの3バックに対してそのまま3トップを当てる形でした。ここは3対3の数的同数となります。しかし、マドリーはカゼミロを低い位置で固定していたため、インテルの中盤3人にはモドリッチとバルベルデのIH2人で対応しなければならなくなっていました。特にアンカーのブロゾビッチは中盤の噛み合わせ的にもフリーとなることが多く、ここから簡単にボールを運ばれてしまいました。
また、マドリーのプレスを更に機能不全にさせたのがインテルの可変を使ったビルドアップでした。マドリーの3トップとインテルの3バックで3対3になっているところにインテルはアンカーのブロゾビッチを降ろして3対4にしました。この時、ブロゾビッチが空けた真ん中のスペースにはチャルハノールが、そしてジェコが中盤に降りてきました。そうすることでマドリーの3トップと2IHに対して4バックと中盤3人となり、ディフェンスライン、中盤ともに数的優位となりました。特にマドリーはジェコに苦労させられました。マドリーのCBはハーフウェーライン付近までは降りていくFWについて行きますが、そこを越えるとマークを緩めるためジェコを捕まえることができませんでした。
(2)機能したインテルの右サイド
前半のインテルは右サイドからの攻撃がとても機能していました。右IHのバレッラはサイドに開いてマドリーの中盤3人の脇のスペースにポジションを取りました。この時、右WBのダルミアンがサイドで高い位置を取りマドリーの左SBのナチョをピン留めすることでバレッラはフリーでボールを持ち、クロスなどに繋げられるようにしました。
また、ナチョがピン留めされ、左WGのヴィニシウスが高めの位置を取っていたため守備時にモドリッチは孤立している状況となりました。その孤立しているモドリッチに対してインテルはバレッラに加えてブロゾビッチやシュクリニアルが攻撃に絡み1対複数を作り狙い撃ちしました。
インテルの元々の攻撃の狙いとマドリーの守備時の選手の立ち位置が合わさってインテルの右サイド攻撃が機能する結果となりました。
(3)アンチェロッティの2つの修正
前半試合を支配されたマドリーはハーフタイムで攻守で2つの修正をしてきました。
まず、守備での修正です。前半はインテルに数的優位を作られ、全くプレスがハマりませんでした。そこでマドリーは後半から守備をマンツーマンに変更しました。前半フリーになることが多かったブロゾビッチにはバルベルデがマークにつきます。そしてブロゾビッチがディフェンスラインまで降りた時に、代わりにアンカーの位置にポジションを取ったチャルハノール。ここは前半は誰が付くのか決まっておらず完全にフリーとなっていましたが、後半はカゼミロがマークにつきました。カゼミロが守備時にここまで高い位置を取る場面は前半はほとんどありませんでした。最後に中盤に降りてくるジェコにはCBがマークにつきました。前半はハーフウェーライン付近までしかついて行かなかったマドリーのCBでしたが、後半はそこを超えても厳しくついて行くようになりました。この修正によりインテルは明らかに前半よりもボールを運べなくなり、徐々にマドリーに押し込まれていきます。
次に攻撃の修正です。前半はモドリッチがディフェンスラインまで降りてナチョが上がって行く場面が数は多くないですが何度か見られました。しかし、後半はナチョはほとんど上がらなくなり、システムを数字で表すと3-3-4、または3-2-5といった感じです。これによって5レーンの使い方や選手の立ち位置が整理されました。
左サイドではヴィニシウスがサイドに張り、モドリッチがハーフスペースを上下に動く立ち位置。右サイドはバルベルデがインテルの中盤3人の脇に立ち、右SBのカルバハルが外、右WGのLバスケスが内という関係になりました。ただし、右サイドではSBとWGが逆になる場面は何度もありました。こうなるとLバスケスは苦手な中央でのプレーが増えるため、より中央でのプレーが得意なロドリゴとの交代は納得のいくものでした。
また、そのタイミングも絶妙でした。この立ち位置に変更してすぐに交代するのではなく、徐々に試合の流れをマドリーに引き寄せてインテルがなかなか攻撃に出てこれなくなった段階での選手交代でした。
攻守における2つの修正、そして途中出場のカマヴィンガとロドリゴから生まれた決勝ゴール。アンチェロッティの采配が光った後半となりました。
この試合のハイライトはこちらから↓
最後までご覧いただきありがとうございました。アザールを使わない選択、ハーフタイムの修正で流れをひっくり返す采配。今季はジダンマドリーにはなかった新しいレアルマドリードが見れそうですね。