
松木玖生がどんな選手か分かる記事【Jリーグ深堀選手名鑑#1】
皆さんどうも!ひかるです。
いつもはFC東京のマッチレビューを投稿していますが今回は新シリーズ、題して"Jリーグ深堀選手名鑑"です!1人の選手を深堀して解説していきます。
今回取り上げるのはFC東京の松木玖生。では早速、新シリーズスタートです!
プロフィール
松木玖生
生年月日:2003年4月30日
出 身:北海道室蘭市
身長体重:180㎝76㎏
所 属:2022- FC東京
・Memo
高校時代は名門青森山田高校で1年生の時から全国高等学校サッカー選手権に出場。2年連続準優勝で迎えた3年次ではキャプテンとしてチームを引っ張り悲願の選手権優勝を果たした。卒業後はFC東京に加入。開幕戦からレギュラーを掴み7月31日現在21試合に出場し1ゴールをあげている。
(1)高いプレー強度
松木玖生の特徴として真っ先にあげられるのがプレー強度の高さだろう。非常に高い走力、フィジカルを兼ね備えている。
まず走力の部分。走行距離は毎試合10㎞を超えて1試合平均11㎞を誇る。松木はFC東京ではIHで出場しているが、FC東京のIHには多くの守備タスクが課されている。
敵陣でプレスをかける時には相手CHのマークにつきながら、外切りでCBにプレスをかけるWGの背後のSBを取られた時にはそこにも対応する。更に自陣でセットした時にはバイタルエリアをケアしながら、SBがサイドにつり出された時のニアゾーン(CB-SB間)を埋めなければならない。このような多くのタスクを松木は開幕戦から任されてシーズン中盤の現在まで続けている。
次にフィジカルの部分。高卒ルーキーながらプロ相手に互角の渡り合うフィジカルの強さ、特にその強さを活かしたボール奪取が魅力だ。footballlabのデータを見るとボール奪取ポイント224.29はチームトップ、そしてリーグ21位と言う数値。更にタックルでのボール奪取28回はチーム2位だ。データにもその強さが現れている。
またよく見るのが相手を背負うプレー。腰を落として重心を低くし、相手をブロックしながらボールを相手の足が届かないところに置くキープは何度も見る。こんな感じのやつね。
松木は高校時代から体幹と上半身を重点に鍛える箇所を曜日ごとに変えながらトレーニングを積んでいたらしい。その積み重ねが今に繋がっているのだろう。
(2)強いだけじゃない
このように松木玖生を言い表すときには走力!とかフィジカル!とかメンタル強い!といった”強さ”の部分に焦点が当てられることが多い。しかし、強いだけでは高卒で1年目からJ1でレギュラーを掴むことはできない。松木の良さはただ強いだけでなく、頭を使いながら周りに合わせて自身の強度を活かすことができる点だと自分は考える。
まずポジショニングの面。松木を見ていると周りの選手に合わせて必要なポジションを取っていることがわかる。WGが内側に絞り、サイドに張る選手がいないと自らがサイドに開いてポジションを取る。そしてSBが高い位置を取ったことでCBとSBの距離が離れすぎている時にはCB-SB間に降りていき、パスの中継地点となって全体を繋げるポジションを取る。味方の立ち位置を見ながらかなり気の利いたプレーしている印象だ。
また、FC東京の3トップの降りてくる動きに合わせて相手の背後へと飛び出すこともできる。この2列目から飛び出す動きは松木の魅力の1つ。毎試合飛び出すプレーは見られるが、特にこの動きが効果的だったのが第20節のコンサドーレ札幌戦。
札幌戦18分40秒。アンカーの東が中盤でボールを持っている場面。CFのレアンドロと左WGのアダイウトンが足元へボールを要求しながら降りてくることで札幌のCBを引き付ける。この動きに連動して松木が中盤から飛び出しす。この時、松木のマークについているCHの背後に潜り込んでから飛び出すことで、マークを外して一気にディフェンスラインの裏を取った。

このように味方の動きに合わせて時には右サイドの方まで飛び出して行けるのが松木の魅力だろう。FC東京のCFだとディエゴオリヴェイラやレアンドロなど降りてくる動きをする選手が多い。特にレアンドロのゼロトップと松木の飛び出す動きは良い組み合わせだと感じる。信用してる選手にしかパスを出さないことでお馴染みのレアンドロから普通にパスを貰い、FKも譲ってもらえる松木。今後も松木-レアコンビに注目だ。
話が少しそれたがもう1つ松木が頭を使って味方と連動していると感じたプレーが第15節の清水エスパルス戦17分20秒。清水のCFがアンカーを切りながらCBの森重へプレス。これによりサイドに誘導されて左SBの小川にパスが渡る。CFのプレスに連動してSHが小川にプレス、サポートに行く松木にはCHがマークについている。清水のプレスがハマっている状況。

この状況から松木はサイドへ縦に抜ける動きをする。マークについているCHは松木の動きについてくる。これによってアンカーの東へのパスコースと前向きとなるスペースができた。味方をフリーのするための松木のオフザボールの動きだった。

味方の立ち位置に合わせたポジションを取り、3トップの動きに合わせて相手の背後に飛び出し、自身の動きで味方のフリーを作り出す。ただ走れるだけではなく、チームのために効果的な動きができるが松木玖生という選手だ。
(3)適応力の高さ
あと個人的には2つの点から松木の適応力の高さを感じる。
1つ目はチームのスタイルの点。松木は青森山田高校時代には4-4-2の2CHで現町田ゼルビアの宇野禅斗とコンビを組んでいた。攻撃時には宇野が後ろ、松木が前の縦関係となり、2トップにロングボールを当ててセカンドボールを拾っていこうというスタイルだった。
対してFC東京は最終ラインからビルドアップしていこうというスタイルに今季から取り組んでいる。その中で松木はアンカーやCBの横など低い位置でビルドアップに関わるプレーも求められてくる。その低い位置でのプレーにもしっかりとこなしているのは適応力の高さが現われている。
もう1つはプロ入り後の話。シーズン前半はファールが多めの印象で、遅れて守備が入ることも散見された。実際、開幕の川崎戦でイエローカードを貰い、6節の横浜FM戦ではイエローカード2枚で退場となっている。だが、その退場以降は危ないプレーもどんどん減っていった。しかし、強度が落ちたわけではない。開幕から5試合(2節が延期となった)で3枚のイエローカードを貰ったわけだが、それ以降は15試合で1枚しかもらっていない。プロのプレースピードに適応していったといえるのではないだろうか。
この適応力の高さは松木のプロ入り前の経験からくるものではないか。青森山田中学3年生の時には、高等部のトップチームでプレーを始め、高校1年生から名門青森山田高校でレギュラーを掴み、3年生の春にはフランスに渡ってオリンピック・リヨンの練習に参加。このように自分よりも上のレベルでプレーを経験してきたことが高い適応力に繋がっているのではないでしょうか!
(4)課題はボールの受け方
最後に欠点の部分。どんな選手にも欠点はあるからね。松木の今後の課題となる欠点はボールの受け方の部分だと感じる。
パスを受ける時に体の向きがボールホルダーに向きすぎてしまう場面がよく見られる。この体の向きによって相手に背後からプレッシャーを受けリターンでパスを戻すだけになったり、広い逆サイドに展開できずに狭い同サイドに戻ってしまう。
ここは1つ場面を取り上げて第19節アビスパ福岡戦の57分30秒。
中盤でレアンドロがボールを持った時、サポートに近づく松木の身体の向きが完全にボールホルダーに向いてしまっている。パスを貰った時、松木は逆を向こうとするような動きをするが、ボールが足元に入ってしまう。画面には映っていないが左サイドには佳史扶がフリーだったはず、しかしそのまま狭い同サイドの方でパスが引っ掛かりカウンターを喰らった。

この時、体の向きを上手く半身にしてパスを受けることができればより簡単に前や逆を向いて広い方のサイドに展開できただろう。このような体の向きが原因でボールを受けて逆サイドに展開できない場面は少し気になるなと言った印象。
あとは技術が少し足りないかなとかCB脇で受けた時に運ぶドリブルができるようになってほしいなとかあるが、そこはまだプロで半年しかたっていない選手。今後できることがどんどん増えていってスーパーな選手になってくれるでしょう!
最後までご覧いただきありがとうございました!
この先は新シリーズ「Jリーグ深堀選手名鑑」について、どう進めていくかなどの詳細についてまとめていきますのでこちらも読んでいただけるとありがたいです。
まず、ご存じの方もいると思いますが、自分はいつもFC東京のリーグ戦全試合レビューをやっています。そして今後もFC東京のレビューの方をメインでやっていきます。時間に余裕がある時やモチベーションが高い時にこのシリーズを投稿します。
あともう1つ。今回は最初ということで自分が応援するFC東京の松木玖生を取り上げました。ですが2回目以降は所属クラブに関係なく選手を取り上げていく予定です。そもそもこのシリーズ自体、昨年まで欧州サッカーの方ばかり見ていてJリーグのことをほとんど知らない自分の勉強を兼ねてやろう!という事で始めました。
いつも見て下さっているFC東京サポーターの方は「何だよ裏切りか!」と思うかもしれませんが、そこらへんはご理解いただければと思います。
また、この選手注目!やこの選手取り上げてほしい!などあればどんどんリクエストしていただけると非常にありがたいです。どのクラブでも構いません。それが見るキッカケとなればいいなと思っております。
ということでこれからJリーグ深堀選手名鑑をよろしくお願いします!!
参考
https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2022/07/27/kiji/20220726s00002179684000c.html
https://www.jleague.jp/sp/news/article/22758/