ルイスディアスがどんな選手かわかる記事[選手解説]
1月の移籍市場でリヴァプールはポルトからルイス・ディアスを獲得しました。この記事ではそんなルイス・ディアスの経歴やプレースタイルなどについて書いていきます。
プロフィール
本 名:ルイス・フェルナンド・ディアス・マルランダ
国 籍:コロンビア🇨🇴
生年月日:1997年1月13日
身 長:178cm
体 重:65kg
所 属:FCポルト → リヴァプール
経歴
ルイス・ディアスは1997年1月13日にコロンビア北部に位置する人口3万人余りの小都市バランカスで生まれました。
5歳の時に父ルイス・マヌエルの運営するサッカースクールに入ったディアスでしたが、設立当初のスクールは練習生が多く、月謝滞納が続出している状況でした。そのため、一家の収入は少なく、家計は火の車でした。食事もろくに取ることができずに栄養失調気味なディアス少年は小柄で痩せていました。
それでも当時から同世代の中では群を抜いていた存在のディアスでしたが、父マヌエルは試合で先発させずにベンチに座らせることがしばしばあっりました。その理由を父マヌエルはこう話しました。
父の厳しい指導のもとで成長を続けたディアスに18歳の時に転機が訪れます。南米サッカー連盟が2015年7月にインディオ(スペイン語・ポルトガル語で先住民を指す)出身の選手だけで構成された代表による南米選手権を開催。そのコロンビア代表をレジェンド、カルロス・バルデラマが選手選考に加わり選出しました。ディアスは代表に選出されキャプテンを任されます。大会でコロンビアは準優勝を成し遂げ、ディアスも全5試合に先発し1得点を挙げました。この大会はこれ以降、一度も開催されておらず、ディアスにとって非常に幸運だったと言えます。
バルデラマはディアスの才能に惚れ込み、大会後にコロンビアの強豪クラブの一つジュニオールに推薦し、初のプロ契約を結びます。
しかし、パワー・スタミナ不足によりその後1年半はBチームにあたる2部のバランキージャでプレーします。クラブはディアスに栄養価の高い食事を与え、筋力強化のトレーニングを課して成長を促しました。
バランキージャでのデビューは2016年4月で翌月の試合で初ゴールを挙げます。そこで成長を遂げることができたのは、自身の才能を疑わずにハングリーだったからです。当時ジュニオールを率いていたフリオ・コメサーニャはディアスについてこう語りました。
コメサーニャのもとでさらにその才能を育んだディアスは2018シーズンの国内リーグで38試合13ゴールを記録しブレイクを果たします。これにより欧州のクラブから複数のオファーが舞い込みます。最も良い条件を提示したのはゼニトでしたが、父マヌエルはポルトを強く勧めます。その最大の理由はこれまでにファルカオやハメス・ロドリゲスなど多くのコロンビア人選手をトップクラブに飛び立たせている実績でした。
こうしてディアスは2019年7月に移籍金722万ユーロ(約9億7470万円)でポルトに入団。1年目から29試合に出場して6ゴールを挙げます。そして3年目となった今シーズン、18試合で14ゴール5アシストと飛躍を遂げます。
この活躍により1月にイングランドの名門リヴァプールに移籍。移籍金は4500万ユーロ(約58億5000万円)+ボーナス1500万ユーロ(約19億5000万円)で最大6000万ユーロ(約78億円)と伝えられています。
加入後のインタビューでディアスはこう語っています。
ジュニオール時代と同じようなこと言ってますね笑
経歴は下の2つの記事を参考にしています。もっと詳しく知りたいという方はぜひ読んでみてください。
次からはルイスディアスのプレーの特徴を分析していきます。
得点力を兼ね備えたドリブラー
ルイスディアスの攻撃面の特徴としてまず挙げられるのはドリブルです。
ルイスディアスのドリブルは右足の親指辺りを使いながら、上の画像のように相手と正対することができています。そのため、相手と駆け引きをして右のアウトサイドでのカットイン、右の親指かインフロントあたりでの縦突破と縦・中どちらにも突破することができます。カットインからは強烈なミドルシュートを持っていますが、縦突破からの左足のクロスはあまり精度が高くなく、切り返して後ろに下げる場面が目立ちます。
ドリブルのデータとして次のグラフを見てください。
上のグラフはプリメイラ・リーガ(ポルトガルリーグ)のドリブル成功数と成功率です。グラフで取り上げている選手はリーグの1試合当たりのドリブル成功数が多いTOP20人の選手です。ルイスディアスは成功数、成功率ともに3位と好成績を残しています。
今シーズンのリーグ戦で14ゴールを挙げている得点力の要因として裏に抜ける動きがあります。右サイドにボールがあるときに、左サイドからCBの背後(視野の外)を取りながら斜めに抜けていく動きがルイスディアスの特徴です。視野の外を取ることができているため、DFは対応が難しくなります。
また、身長は178㎝とWGとしては高さもある方で、ヘディングの強さも持ち合わせています。今シーズンの14ゴールは右足で8ゴール、左足で3ゴール、頭で3ゴールとなっています。
リヴァプールで左WGのポジションを争うライバルとなるマネとの最大の違いはプレーエリアです。下の図は今シーズンのプレミアリーグでのマネのヒートマップです。
このようにマネはサイドだけではなくハーフスペース、時にはセンターレーンと内側でのプレーが多くなっています。これは左SBのロバートソンが高い位置を取るので、外のロバートソン、内のマネとレーンを使い分けているためです。ではルイスディアスのプレーエリアはどうなっているのか?というのが下の図です。
このようにサイドに張ってのプレーが多くなっています。実際に試合を見ていてもサイドに張りっぱなしのことが多いです。右サイドにボールがあるときは上で書いたような斜めに裏を狙う動きが見られますが、左サイドにボールがあるときはサイドに張って足元でボールを要求する場面が多いです。そのため、左CBや左SBからのロングボールに縦に抜け出すというプレーはあまりありません。
ルイスディアスとロバートソンのヒートマップを比べてみると下の図のようになります。
このようにルイスディアスとロバートソンはプレーエリアがかなりかぶっています。ポルトの左SBのザイドゥはあまり高い位置を取らないためサイドに張りっぱなしでも問題ないですが、リヴァプール加入後はそういうわけにはいかなくなると思います。かといってマネのように内側のレーンではドリブル突破という特徴が活かしづらくなります。どれくらいロバートソンと連携を取りながら内外のレーンの使い分けをできるのがが攻撃面の課題となりそうです。
ポルトでの守備の役割と献身性
ポルトのフォーメーションは4-4-2ですが、左SHのルイスディアスはある程度守備が免除されており、守備時には左SHが前残りになる変則的な4-3-3のようになります。そのため、ルイスディアスが戻ってこない左サイドから侵入されたり、サイドチェンジに対してスライドが間に合わずにピンチを招くことが多くなります。ですが、チャンピオンズリーグ第5節、アンフィールドでのリヴァプール戦ではそれまでの試合に比べてかなり守備に戻っていたのでチームとして戻る必要があるならしっかり戻って守備をする印象です。
守備に戻って4-4-2の左SHに入ったときに気になるのがSH-CH間のゲートを開けてしまいがちなことです。低い位置にいるSBなどに意識が行って数歩寄ってしまうことでCHとの距離が広がり、その間を通されてしまう場面が目立ちます。
ですが、このポルトで守備が免除されていることとSH-CH間のゲートを開けてしまうという2つの要素は4-3-3のリヴァプールでは起きにくくなるのは、ルイスディアスにとってもリヴァプールにとっても良い点となります。
また、リヴァプールではFWでも守備の献身性が重要になります。ルイスディアスの献身性は曖昧な表現になりますが「低くはない」という感じです。
相手のCBやSBにプレスをかけに行く前向きの守備は献身的に行います。特に、自分がボールロストをした時にはスプリントをかけて奪い返しに行きます。こういうところを見ると真面目なキャラクターなのかもしれません。
後ろ向きの守備になっても素早いネガティブトランジション(攻撃から守備への切り替え)から守備を行うことができます。チャンピオンズリーグ第3節、ホームでのACミラン戦の41分15秒の場面のは素晴らしい切り替えからスプリントをかけての守備でした。
「低くはない」という表現にしたのはリヴァプールの選手と比べてしまうと高いとは言えないためです。ポジション争いのライバルとなるマネと比べてしますとやはり守備の献身性は落ちます。クロップの指導のもとどれだけ守備の貢献度を挙げていけるかも注目ポイントとなりそうです。
おわりに
今回はルイスディアスの選手解説でした。今のリヴァプールのFW陣にはいないタイプのドリブラーだと思います。サラー、マネ、フィルミーノ、ジョタと強力なライバル相手にどのようなプレーを見せてくれるのか注目です!
最後までご覧いただきありがとうございました!
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