チェルシーvsビジャレアル~戦術家による主導権の奪い合い~ [UEFAスーパーカップ]
今回はUEFAスーパーカップチェルシー対ビジャレアルの分析です。
戦前の予想ではチェルシー有利かと思われましたがビジャレアルが健闘しPK戦までもつれ込む熱戦となりました。前半はチェルシーが主導権を握り先制点を奪いましたが、エメリの修正により後半はビジャレアルが主導権を握り返しました。
この記事では前半のチェルシーの攻撃とエメリの修正によるビジャレアルの攻撃について解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!
試合概要
メンバー
得点
チェルシー
27'(1ー0)シエシュ
ビジャレアル
73'(1ー1)ジェラール・モレノ
PK戦
チェルシー ビジャレアル
❌ハヴァーツ ⭕️ジェラール・モレノ
⭕️アスピリクエタ ❌マンディ
⭕️Mアロンソ ⭕️エストゥピニャン
⭕️マウント ⭕️モイ・ゴメス
⭕️ジョルジーニョ ⭕️ラバ
⭕️プリシッチ ⭕️フォイス
⭕️リュディガー ❌Rアルビオル
(1)ゲートを通すチェルシーの攻撃
前半はチェルシーがビジャレアルを押し込む展開となりました。ビジャレアルは右SHのピノがチェルシーの左WBのMアロンソに対応するためディフェンスラインまで下がり5-3-2の守備ブロックを作りました。この時、右SHがディフェンスラインまで下がっているため中盤の3枚が左に偏ったいびつな形となり、中盤の右のトリゲロスの横にはスペースができました。このスペースにチェルシーの3トップが降りてきた場合には右CBのフォイスが前に出て対応します。しかし、フォイスが引き出されることで5バックの中CBと右SBの間のゲートを通されやすくなります。下の画像は5分15秒の場面です。ここではスペースに降りたヴェルナー(11)にフォイス(8)がついて行ったため中CBのRアルビオル(3)とピノ(21)の間のゲートを通されてしまいました。これに似た攻撃が前半は何度か見られました。
(2)半歩足りなかったエメリの修正
前半のビジャレアルは基本的には4バックのままビルドアップをしましたが、なかなか機能しませんでした。また、自陣の深いところまで押し込まれた際には両SHがディフェンスラインまで下げられ6バックになることもあり、2トップも中央にいることが多かったため、サイドで起点ができずにボールを奪っても中央ですぐに奪い返されてカウンターに繋げることがなかなかできませんでした。
そこで後半からエメリはビルドアップの形を修正してきました。4バックだった最終ラインをCBとフォイスの3バックに変え、中盤はトリゲロス、キャプー、Aモレノ、そしてジェラールモレノがチェルシーのボランチ2枚の間と両脇に立ちました。こうすることでチェルシーのボランチはマークにつく相手を絞ることができなくなり前半よりも縦パスが入るようになりました。
後ろを3バックにするとチェルシーの3トップに対して3対3となるため、一見プレスがハマっているように感じますが、中盤で2対3または4を作ることでパスコースを多く作り数的同数でもプレスがハマらない構造としました。
ビジャレアルがもったいなかったのは高い位置を取った左SBがチェルシーの右WBをピン留めできていなかった点です。右WBをピン留めできていなかったためチェルシーの右ボランチの脇に立つAモレノに対して、右WBが縦にスライドしてプレスに行けるようになってしまいます。ここがピン留めできていればAモレノがフリーになるか右CBのチャロバーを引き出すことができます。右CBを引き出せれば(1)で解説したチェルシーの攻撃のように右SBと中CBのゲートを通してディフェンスラインの背後をとりやすくなります。ビジャレアルの左SBは低い位置まで下がってくる場面も何度か見られたためWBをピン留めしろという指示は出ていなかったのかもしれません。
ちなみに右サイドのピノはこれができていました。下の画像は2つ上の画像と同じ場面です。ピノ(21)は常に高い位置を取り左WBのMアロンソ(3)をピン留めできていたため中盤に降りてきたジェラールモレノ(7)はフリーでボールを受けることができました。この形を左でも作ることができていればビジャレアルはより主導権を握ることができていたと思います。
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