[試合分析]レアルマドリードvsシャフタール~名称たちの駆け引き~[CLグループステージ第4節]
1000ゴール!
試合概要
メンバー
レアルマドリード 2ー1 シャフタール
【得点者】
レアルマドリード
14'(1ー0) ベンゼマ
61'(2ー0) ベンゼマ
シャフタール
39'(1ー1) フェルナンド
(1)右サイドからの脱出
マドリ―のビルドアップ時、ボールが左サイドまたはGKが持っているとき、シャフタールは右SHのテテがメンディ、2ボランチでクロースとカゼミロ、左SHのムドリクが中央に絞ってモドリッチのマークにつきマドリーの左サイドからの攻撃を塞いできます。この形の場合、カルバハルは右サイドでフリーとなっています。ここにボールが渡ったらムドリクがプレスをかけ、それに続いてボランチもスライドしようという守備でした。
しかし、ムドリクのプレスにボランチ以降が連動できていない場面が多く、中央にフリーの選手ができてしまう場面が多くみられました。特にステパネンコより後の連動が間に合わないことが多くカゼミロがフリーになって、そこから運ばれてしまいました。
(2)デゼルビの2-3-5
シャフタールの攻撃時の形は2-3-5。2CBを残して2ボランチと右SBのドドで中盤3枚、前線4人と左SBのイスマイリーで5トップという形です。
特徴的なのは左サイド。SBのイスマイリーがCFの横にポジションを取り、SHのムドリクがサイドに張ります。こちらのサイドで攻守の鍵を握る選手が中盤3枚の左のステパネンコです。ステパネンコはサイドに開き気味でポジションを取り、サイドの選手を高い位置まで押し上げます。そうすることでマドリーのSBに対してサイドのムドリク、ハーフスペースのイスマイリーで2対1を作ります。この試合では右SBのカルバハルはイスマイリーのマークにつき、パスが出てからスライドしてムドリクへプレスに行くという一歩遅れた対応を強いられました。
また、マドリーはこのステパネンコへの対応が曖昧になっていました。Lバスケスが対応に出ていくとハーフスペースが空き、イスマイリーにパスを通されてしまいます。31分40秒のフェルナンドの決定機なんかがその場面です。そのため前半のマドリーはステパネンコになかなかプレスをかけることができず、ここがシャフタールの起点の1つとなっていました。
守備面で担う役割はカウンターに対するケアです。イスマイリーはCF横までポジションを上げているため当然カウンター時の戻りには時間がかかります。しかしボールを奪われた時には左にいるステパネンコがポジションを下げることでSB裏のスペースを埋めることができます。これは右のドドにも言えることで、この動きがあることで最後尾がCB2人だけでもカウンターのリスクを軽減できています。
前半のマドリーの守備で最も気になったのは左サイド。左WGのヴィニシウスは右WGのLバスケスよりも高めの位置を取り、クロースはシャフタールの中盤3枚の中央のマイコンへのマークが意識されていました。そのため中盤5枚のラインに段差ができる状態となっていました。また、シャフタールのCBに対してはベンゼマが間に立ちパスコースを切りますがプレスはほとんどかからないため、CBは簡単にドリブルで持ち運ぶことができます。左CBのマトヴィエンコにドリブルで持ち運ばれてカゼミロの左脇でAパトリキがフリーになり斜めのパスを通される場面がありました。17分20秒の場面とかです。
このアンカー脇のスペースに対応しようとして逆にやられたのが失点の場面です。モドリッチがアンカー脇のイスマイリーにパスを通させないようにポジションを下げたため、左CBのマトヴィエンコに高い位置まで運ばれてディフェンスラインの背後にパスを出されてしまいました。
(3)アンチェロッティの修正
前半の内容を受けてアンチェロッティはハーフタイムに守備を修正。自陣での守備時には右WGのLバスケスを右SBの位置で下げて5バックにしました。5バックにすることで前半イスマイリー、ムドリク対カルバハルで2対1を作られていた右サイドをサイドのイスマイリーをLバスケスが、ハーフスペースのムドリクをカルバハルが対応する2対2になりました。(前半からイスマイリーとムドリクの立ち位置が入れ替わっています)カルバハルがハーフスペースのムドリクにマンマーク気味についていたため、前半対応が曖昧になっていたステパネンコに対してモドリッチがプレスに出ていきやすくなりました。
また勝ち越した後には守備時に右CBに位なっていたカルバハルに代えてナチョを投入。ナチョの長所は前に出る守備の積極性、強さでありこのアンカー脇の選手をつぶす役割は適任といえます。5バックであるためエスパニョール戦のように入れ替わったときのリスクも少なくなります。そのため、ナチョの良さを出し、弱みを消す守備の形でした。
攻撃陣が点を取るのを待ち、勝ち越したらすぐに最適な形に選手交代。アンチェロッティの流石の采配でした。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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