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ベティスvsカディス~カディスが格上相手でも互角に戦える理由~[ラリーガ第2節]

今回はリーガエスパニョーラ第2節ベティスvsカディスの分析です。

両チームとも開幕戦を1-1で引き分け終え初勝利を狙った一戦は、自陣で守りを固めるカディスに対してベティスが攻め込む展開となりました。結果は又も1-1の引き分けで初勝利はお預けとなりました。

この記事では問題点を見抜くセルベラ監督の采配について解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!

試合概要

メンバー

得点
ベティス
 22'(1ー1)フアンミ

カディス
 11'(0ー1)ネグレド

(1)修正前の問題点

カディスの守備は4-4-2の4枚の中盤をコンパクトにしてベティスを中央へと侵入させない狙いがありました。それに対してベティスは両サイドはSBやSHが幅を取ってカディスを横に揺さぶり、さらに2列目の3人とボランチのカナレスが攻撃に絡みました。この人数をかけたベティスの攻撃にカディスは中盤4枚では対応しきれずに局地的に数的優位を作られてしまいました。

15分40秒の場面ではボランチのグアルダード(18)からサイドに張っているロドリ(28)にパスが通ります。サイドではカディスのSHのAペレア(10)に対してベティスはSHとSBで2対1になっています。この時、ロドリは中へ切れ込むドリブルとオーバーラップしてくるSBを使う2つの選択肢があります。そして、Aペレアとボランチのイェンセン(2)の距離が遠いためAペレアはこの2つの選択肢を1人で対応しなければならなくなっています。

もう1つは23分50秒の場面です。ここではベティスの3枚に対してカディスはボランチ2枚の3対2になっています。ライン間にいるベティスのフアンミ(7)とカナレス(10)への2つのパスコースをアラルコン(12)が1人で見なければならない状況になっておりライン間へ縦パスを通されてしまいました。この場面の直後にセルベラ監督は修正を加えます。

(2)セルベラ監督の素早い修正

(1)のような問題があり、カディスは中盤でボールを奪うことがほとんどできませんでした。そこで前半25分あたりからカディスはFWのロサーノを左SHに下げて4-5-1のシステムへと変更しました。5枚に増やした中盤はペナルティエリア幅くらいの距離感でコンパクトにして4枚の時よりも縦パスのコースをより限定しました。また、5枚にしたことでベティスの横への揺さぶりにも対応しやすくなりました。

(3)修正後の問題点

システムには必ずメリットとデメリットが存在するため、修正後にはまた別の問題点が生じます。中盤を5枚にしたことでFWは2枚から1枚に減っています。そのため、ベティスのCBやボランチに対してプレスがかからなくなります。1トップのネグレドのプレスの強度は高くないためベティスはほぼノープレスで中盤5枚の前までドリブルで持ち運ぶことができます。

後半開始早々のベティスの決定機の場面ではカナレスが自陣からドリブルで持ち運んだ所から始まっています。ネグレド(18)がプレスに行けないためカナレス(10)は簡単にドリブルで持ち運ぶことができます。中盤の前まで持ち運んだことでカディスのアラルコン(12)の意識がカナレスの方に向きます。そのタイミングでライン間のフアンミ(7)が顔を出すことで縦パスを受けることができ、そこからフェキルへと繋げてゴール前まで侵入されました。

また、カディスの中盤の前まで降りてきたフェキルがボールを受けてドリブルで2人3人をかわしてチャンスを作る場面も何度か見られました。このようにいくら中盤を厚くしても、その前で簡単にボールを持たせてしまうと対応するのが難しくなります。

このことについてはセルベラ監督も試合後のインタビューで触れています。↓

「ベティスがどんなプレーしてくるかっちゅうんは予想はしとったで。選手間の距離をもっととって前目にいくパターンもできたんやけど、データで見るとそのシステム組むと失点しやすいんよ。とにかくまずは勝ち点を取るんが目的やったから、それを達成したまでやな。もうちょっと前線で守備したいんやけど、同じように前に出てきたいチームはむっちゃおるしやな。」

チームの問題点を素早く見抜いて、修正後の問題点もしっかりと把握した上で采配できる監督がいるからこそカディスは格上相手にも互角に戦うことができ、昇格1年目の昨季を12位で終えることができています。カディスの2年目の今季にも注目です!

この試合のハイライトはこちらから↓

リーガの面白さを広めるために今後は中堅以下のチームも紹介していきます

最後までご覧いただきありがとうございました。このようなサッカーの記事を書いています。またtwitterの方では試合全体ではなく、ワンプレーの解説もしていますので、気に入っていただければnoteとtwitterのフォローをぜひよろしくお願いします!

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